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TAKU LABO

「どう生きるのか?」よりも、知りたいのは「生きるとはどういうことか?」だ。 「自分(わたし)らしさ?」よりも、知りたいのは「自分(わたし)とは何か?」「なぜ自分(わたし)は存在し…
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#レンマ学

AI時代のレンマ的知性の発見

『憲法九条の「損」と「得」』(太田光、中沢新一)を読んでいて、AIについて書かれていることがとても印象的だったので、今日はそのことについて書きたいと思います。 本書の中で、ベルクソンの「純粋持続」の話が出てくるのですが、そこからAIの話が出てきます。 中沢: AIがここまで発達してきたっていうのも、このギリギリのところで別のことを考えましょうという時期に差し掛かっていることの証しだと思う。AI自体は、脳で行われているロゴス(論理)的な働きを外にコピーして取り出して発達させ

イルカ的知性とレンマ的知性

タヒチに行って美しい海を潜っていたら、もっと海の中で「自由になりたい」と思った。それであれば、一度プロに教えてもらうのがいいのでは、と考えて調べているうちに日本にジャック・マイヨールの弟子だったという人がいることを知る。ジャック・マイヨールがモデルとなった映画『グラン・ブルー』を過去に見たことがあり、彼のエッセイも読んだことがあった。あんなに海の中で自由になれる人を僕は他に知らない。 僕の中では、そんな素潜りとイルカというイメージが強かったのだけど、他の本も読むうちに彼は色

日本人とは何か。心の考古学から読み解く 『アースダイバー 神社編』(中沢新一)

『アースダイバー 神社編』(中沢新一) 僕たちはずっと知りたいと思っている。日本人とは何かということを。それは私は誰か、何者かということにも通じるのであるが、日本人とは何か? と問うときは、それとはまたちょっと何かが違う感じがする。それはただ哲学的な存在論の話ではなく、僕たちのこころというものに密接に関係しているからではないだろうか。こころとは何か? と問うと、なぜだか出てくる民族的な形式。形式と呼んでいいのかわからないけれども、でも、そういうこころの型や形みたいなものが現

目指すは「存在の庭師」

現在『TAKU LABO』という月刊マガジンで書いていること(研究していること)について、書いてみました。 20年間ずっとつきまとってくるライフテーマ?ちょうど、約1年前にたまたま池田晶子という哲学の巫女(の本)と出会い、20年前くらいからずっと考えて続けてきた自分の中にある「あらゆる思い込みを見抜いて自由になるには?」ということにちゃんと向き合ってみよう、考えてみようと思い、哲学(池田晶子、プラントン…)、常識について(ここで言う常識は社会通念というよりも「本質」「本当の

生きる意味は無い 『未来のルーシー 人間は動物にも植物にもなれる』中沢新一・山極寿一

『未来のルーシー 人間は動物にも植物にもなれる』中沢新一・山極寿一 人類学者中沢新一、霊長類学者山極寿一の対談本。話は哲学者西田幾多郎や生態学者今西錦司などに及びそして、人類学はもとより、考古学、宗教学、生命科学、AI…と非常に広範囲な話となる。しかし、それらを横断的に語られることが本書の本質ではないだろうか。最後の方では中沢新一氏の「レンマ学」の話へと進んでいき、「華厳的進化」という言葉が現れる。レンマ的知性の観点から日本の知性を振り返りながら、今後の未来を模索する。