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TAKU LABO

「どう生きるのか?」よりも、知りたいのは「生きるとはどういうことか?」だ。 「自分(わたし)らしさ?」よりも、知りたいのは「自分(わたし)とは何か?」「なぜ自分(わたし)は存在し…
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#レビュー

分散の幸せ 『多拠点ライフ』石山アンジュ

石山さんは『シェアライフ』という本を書かれていますが、シェアする概念を広く普及させようと活動されている方です。今ではシェアリングサービスは当たり前になってきましたが、これはわりと最近のことで、テクノロジーが追いついてきたからこそ可能になったのだと思います。しかし、もともとは地域の中では、昔からシェアリングの概念はありましたが、テクノロジーを活用することで、身近な地域だけでなく、全国、全世界とシェアできるようになった点が非常に面白いと思います。 私は現在基本的にリモートで仕事

精神のはじまりは存在する『精神の考古学』(中沢新一)

『精神の考古学』(中沢新一) いつの時代も探究者を魅了してやまないのは「はじまり」である。宇宙のはじまり、人類のはじまり・・・と、人はその「はじまり」を想う。 そもそも、人の精神、心というものにも「はじまり」があるのだろうか。きっと誰もがあると思うだろうが、では、どうしてそれが発生したのか、そして、それがどう変わってきて、今、ここにいる僕たちの心はどうなってきたのか。 歴史学者は歴史から、物理学者は物理から、心理学者は心理からそのはじまりの探究を進めてきた。それは、宇宙

日本人とは何か。心の考古学から読み解く 『アースダイバー 神社編』(中沢新一)

『アースダイバー 神社編』(中沢新一) 僕たちはずっと知りたいと思っている。日本人とは何かということを。それは私は誰か、何者かということにも通じるのであるが、日本人とは何か? と問うときは、それとはまたちょっと何かが違う感じがする。それはただ哲学的な存在論の話ではなく、僕たちのこころというものに密接に関係しているからではないだろうか。こころとは何か? と問うと、なぜだか出てくる民族的な形式。形式と呼んでいいのかわからないけれども、でも、そういうこころの型や形みたいなものが現

生きる意味は無い 『未来のルーシー 人間は動物にも植物にもなれる』中沢新一・山極寿一

『未来のルーシー 人間は動物にも植物にもなれる』中沢新一・山極寿一 人類学者中沢新一、霊長類学者山極寿一の対談本。話は哲学者西田幾多郎や生態学者今西錦司などに及びそして、人類学はもとより、考古学、宗教学、生命科学、AI…と非常に広範囲な話となる。しかし、それらを横断的に語られることが本書の本質ではないだろうか。最後の方では中沢新一氏の「レンマ学」の話へと進んでいき、「華厳的進化」という言葉が現れる。レンマ的知性の観点から日本の知性を振り返りながら、今後の未来を模索する。