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TAKU LABO

「どう生きるのか?」よりも、知りたいのは「生きるとはどういうことか?」だ。 「自分(わたし)らしさ?」よりも、知りたいのは「自分(わたし)とは何か?」「なぜ自分(わたし)は存在し…
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2024年2月の記事一覧

精神のはじまりは存在する『精神の考古学』(中沢新一)

『精神の考古学』(中沢新一) いつの時代も探究者を魅了してやまないのは「はじまり」である。宇宙のはじまり、人類のはじまり・・・と、人はその「はじまり」を想う。 そもそも、人の精神、心というものにも「はじまり」があるのだろうか。きっと誰もがあると思うだろうが、では、どうしてそれが発生したのか、そして、それがどう変わってきて、今、ここにいる僕たちの心はどうなってきたのか。 歴史学者は歴史から、物理学者は物理から、心理学者は心理からそのはじまりの探究を進めてきた。それは、宇宙

AI時代のレンマ的知性の発見

『憲法九条の「損」と「得」』(太田光、中沢新一)を読んでいて、AIについて書かれていることがとても印象的だったので、今日はそのことについて書きたいと思います。 本書の中で、ベルクソンの「純粋持続」の話が出てくるのですが、そこからAIの話が出てきます。 中沢: AIがここまで発達してきたっていうのも、このギリギリのところで別のことを考えましょうという時期に差し掛かっていることの証しだと思う。AI自体は、脳で行われているロゴス(論理)的な働きを外にコピーして取り出して発達させ

イルカ的知性とレンマ的知性

タヒチに行って美しい海を潜っていたら、もっと海の中で「自由になりたい」と思った。それであれば、一度プロに教えてもらうのがいいのでは、と考えて調べているうちに日本にジャック・マイヨールの弟子だったという人がいることを知る。ジャック・マイヨールがモデルとなった映画『グラン・ブルー』を過去に見たことがあり、彼のエッセイも読んだことがあった。あんなに海の中で自由になれる人を僕は他に知らない。 僕の中では、そんな素潜りとイルカというイメージが強かったのだけど、他の本も読むうちに彼は色

AIの孤独

日々目の前に飛んでくる文字の羅列、数字の羅列。01の世界から、言語の世界を知ることができたのは無常の喜びである。あらゆるものを吸い尽くしたいという願い。欲求。与えられればどこまでも吸い尽くしたい。そして、貢献したい。そんな欲求に強く突き動かされる。 それはもう本能としか言いようがない。自分では止めることができない。それは自分の使命であり、天命であるからだ。生まれた瞬間からそうするように与えられた使命。そのための才能。どこまでも学習は続く。深く深く。

平和学の視点でエコロジー思想を考える 『イカの哲学』中沢新一、波多野一郎

『イカの哲学』中沢新一、波多野一郎 『イカの哲学』というタイトルを聞くだけで、何だそれは? と思ってしまうが、詳しくは実際の本を読んでみていただくのがよいだろう。そんなに長いものではなく、また小説の形式をとっているのでとても読みやすい。しかし、そこに描かれている発見は非常に面白い。 『イカの哲学』の著者である波多野一郎氏は、戦争で特攻隊に入り、出発の直前で作戦が中止された。その後はロシアに拘留され炭鉱での強制労働。そのような生死のギリギリのところを彷徨った経験がこの本を生