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【2-1】ハンコ不要論の根っこ


では、話を現代のハンコの使われ方に戻します。
ハンコには2種類の使われ方があるとこれまでの記事でお伝えしてきました。

(おさらい)---

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ハンコ不要論、実は「①」について語られる事は多くないんです。
不要論の多くは「②」について叫ばれます

「役所でハンコがないと受理できないと言われた」
「ハンコが手元にないので会社に出社しないといけない」
「100円ショップで売ってるのを押すことに何の意味があるの?」

これらはある意味、当然の意見です。
世の中がどんどん合理化、効率化していく中で、「意思の確認」には決して合理的といえないハンコを使い続ける事への違和感だと解釈することができます。

要するに時代のスピードに慣習がついていけていないのです。
この背景には日本の「前例踏襲主義」という考え方が根底にあり、変化していかなければならない時に変化してこなかった末路とも言えるかと思います。

近視眼的に文句は言いながらも前例通りにやってしまう。
これを読んでいる貴方、思い当たる節がないでしょうか?私はありますよ。

ただえさえ、時間が足りない通常業務、この業務を行うために当たり前になっている慣習を変化させるには、とても大きなパワーが必要になります。

想像してみてください。

「このハンコ業務は非効率なのでやめましょう!」と叫んだところで、
「それはいいね。助かる人がたくさんいるから頑張って!」
「えっ?一緒にやってくれないんですか」
「自分は今抱えてる仕事が山場で手が付けれないんだよ。各種規定の改定草案を起案して、修正を重ねて色んな上役の決済が必要になるんだよ。」
「そうですけど。。」
「あっ、やってもいいけど、通常業務には穴をあけないでね」
「......。」
となるのがオチです。

したがって、個人レベルでは当然できませんし、変更したところで契約書など相手がいる場合には、取引先との合意も取り付ける必要があります。
もし出来なかった時には最初に声を上げてやり始めた人がその責任を取らされます。

このように「②」の利用に関しては、これまでの「慣習を変化させてこなかった事」が「ハンコ不要と出来なかった事」の真の原因という事になるのではないでしょうか。

実際に、「電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。」で電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されたにも関わらず、普及してきませんでしたよね。

これは自分達が変化しない事を選択した結果だと思います。

また、昨今は業界団体の既得権益だ。などという話をちょくちょく聞きます。全てを否定する事はしませんが、原因の本質からはズレているように私は思います。

いずれにしても、パンデミックで生み出された時間を有効利用して、新たな仕組みを再構築するにはいい時期です。
日本人は変わる時には一気に変わる事の出来る民族だと思います。

後世に残していくものと、刷新するものを整理し、正しい方向に時代を進めていきましょう。



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田丸琢
【古い文化を今に伝え、新たな文化を刻みだす】 ハンコ文化のコアな部分は残しつつも、既存概念を取っ払い、時代合わせて変化する! 僕はそんな挑戦をしていこうと考えています。 同じような挑戦をしている方!! 一緒に楽しく頑張っていきましょう!!