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どうして日本人はこんなに英語が出来ない? ~止まらない日本人の英語力低下
こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、
現在はニュージーランド在住の未来教育コンサルタントのTakuです。
少し寝ぼけながらネットニュースを見ていたら、
こんなニュースを見て一気に目が覚めてしまいました。
以前も2023年のEF英語能力指数が、
一年前と比較して順位を7位落として、
87位になったことを記事にしました。
あの時もかなりショックでしたが、
今回はそこからまた4位も順位を落とし、
ついに116カ国中91位になってさらにショックでした。
どうしてこんな日本人は、
いつまでも英語が苦手なのでしょうか。
今日は教育の視点からその理由を、
自分なりに考えてみたいと思います。
英語が苦手なのは日本語のせい?
EFの英語能力指数調査が始まってから、
日本の順位は凋落の一途をたどっています。
最初こそ14位と好スタートでしたが、
調査対象国が増えるごとに順位を落とし、
今年はついに91位に転落しました。
116カ国中91位という順位なので、
調査対象国の中では下から数えた方が良い、
英語が苦手な国と言って良いでしょう。
韓国や中国は言うに及ばず、
アジアの中でも最下位層に位置する、
極めて残念な順位です。
日本よりも順位の低い国の中に、
先進国はおろか新興国さえ、
1カ国も入っていません。
確かに日本語は言語構造的に、
英語とは大きく異なる特徴があるため、
日本人にとって英語が難しい事は確かです。
しかし日本語と言語構造が類似している、
韓国人たちの順位が高いことを考えると、
言語構造だけに問題があるとは言えません。
さらに言えば、日本は世界屈指の、
語学学校保有国です(笑)。
街を歩けば英会話学校に当たると言う位、
日本には地方都市にさえたくさんの、
英語学校が存在しています。
習い事でも英語は常に高い順位にあり、
多くの人々が英語を学んでいます。
その上日本の受験制度でいけば、
英語は最重要科目といってもよく、
参考書も塾の講座数も世界一でしょう。
にもかかわらず現実的には、
日本人の英語能力は世界的に見て、
最も低い部類に位置してしまっている。
一体その原因はどこにあるのでしょうか?
日本の教育が英語力を下げてる?
もちろんその原因は1つではないと思いますし、
これから私が書いていく内容も、
あくまで1つの見方でしかありません。
何度もお伝えしている通り、
この記事では「真実」をお伝えするつもりはもなく、
あくまで私見に過ぎないので、そのつもりでお読みください。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、
日本人の英語力が上がらないのには、
大きく分けて2つの理由があると考えています。
それは教育と昨今の内向的傾向です。
まずは教育から考えてみましょう。
海外で暮らしていて、つくづく感じるのは、
他国の人と比べて日本人は基礎があるのに、
英語力の伸びが非常に遅いということです。
英会話学校などでも真ん中あたりのクラスに、
日本人はたくさんいるのですが、
なかなか上のクラスに上がっていけません。
そればかりか元クラスメイトたちに、
どんどん追い抜かれて行く日本人を、
これまでたくさん見てきました。
なぜそうなってしまうのかと言えば、
日本の教育に大きな問題があるのではないかと、
私は常々考えています。
一体日本の教育の何が問題なんだ!
それと英語に何の関係があるんだ!
そう文句言いたくなる方もきっと、
いらっしゃるんだろうなと思いながら書いています。
でも日本の教育と日本人の英語の苦手の間には、
明確な因果関係があると考えています。
日本人の英語の苦手の大きな原因の1つは、
受験教育が日本人に骨の髄まで刻み込む、
「間違い恐怖症」です。
可算名詞単数形の前には必ず不定冠詞をつけ、
名詞が母音で始まるか子音で始まるかによって、
正しく使い分けなければならない。
主語が3人称単数現在の場合、
一般動詞の後には3人称単数のSをつける必要がある。
などなど
あなたもこうした規則について、
中学生の時にしつこいほど注意された記憶があるでしょう。
中には不注意でミスをして、
テストで失点してしまった人も少なくないと思います。
英語はミスせず正確に使い分ける必要がある。
もはや脅迫観念にも近いほどの感覚を、
私たちは受験勉強を通して叩き込まれます。
それはもはやトラウマのようになり、
私たちの人格の1部にさえなるのかもしれません。(笑)
こんな状態で実際に英語をしゃべるとなれば、
頭の中で必死に文法的に正しい表現を考えるまでは、
とても怖くて言葉を発することなどできないでしょう。
また、日本では正しい発音ができる英語の先生も少ないので、
発音に自信を持っている人も多くなく、
それがブレーキになることもよくあります。
要するに、英語の使い方を間違えることを恐れて、
日本人は英語を使うことをためらうことが多いのです。
しかし語学は体育のようなもので、
何度も何度も間違いながら使っていく中で、
そのスキルは伸びていく性質があります。
このような特質がある語学を伸ばすときに1番必要なのは、
ミスを気にせずにどんどん取らしていく、
前向きなメンタルだと私は考えています。
しかし日本人は受験教育を通して、
ミスを気にせずに取り組むと言う姿勢を、
完全に失っているようにすら思えるのです。
これでは英語が伸びないのも無理はありません。
ますます強まる、若者の内向的傾向
今回の調査結果を見てもう一つ気になったのが、
日本人で最も英語力が高いのか、
31歳から40歳の層であるということです。
他国を見ているとその大部分では、
20代以下の若い世代の英語力が、
他の世代よりも高くなっています。
この調査結果は、日本の若者の英語力が、
他国と比べてさらに低くなっていることを示しています。
グローバル化が進んでいる現代にあって、
若い世代の英語の必要性は、
増すこそすれ減ることはないはずです。
とすれば若者はさらに学習するはずなので、
他の年代よりも英語力が上がる方が、
自然の流れだと思います。
にもかかわらず、若者の英語力の方が、
1つ上の世代の英語力よりも低いと言うのは、
どういうことなのでしょうか。
それを読み解く鍵の1つに、
昨今の若者たちの海外離れが挙げられます。
どうやら最近の日本の若者たちは、
海外への興味を失っているようなのです。
海外留学はもとより海外旅行さえも、
当面行くつもりがないと考えている若者が、
相当数いるというニュースを見ました。
日本には何でも揃っているし、
何故わざわざお金を払ってまで、
海外に苦労しに行かなければいけないのか。
そう考える人がかなりいると知り、
私もかなりショックを受けました。
もちろん日本が素晴らしい国であると言う事は、
私も否定するつもりはもありません。
しかしいくら素晴らしいからといって、
その心地よさに安住して、
外を見なくなってしまっては成長はありません。
言わずもがなですが日本以外を知らない人が、
日本ほど良い国はないと言ったところで、
全くもって説得力は無いことでしょう。
比較対象は知らない人間は、
どんなに素晴らしいものを持っていたとしても、
それが1番と言う事はできません。
1番かどうかと言うのはあくまで、
3つ以上の比較対象を持って初めて、
判断することができるからです。
話が横道にそれてしまいましたが、
日本の若者が海外に対して興味を持たなくなれば、
当然英語の必要性も自覚しなくなるでしょう。
実際に日本の中だけで生きていくのであれば、
別に英語が話せなくても取り立てて、
日常生活で不便を感じる事はありません。
だとすれば受験のために必要な英語だけを頑張って、
実践的な英語力を身に付けなかったとしても、
何も困る事はないでしょう。
このような背景が今回の英語力調査で、
日本がさらに順位を下げる1位になっているのではないかと、
私は個人的に考えています。
若者の英語力低下の先にあるもの
ではこの傾向は放置しておいても、
特に問題は起こらないのでしょうか。
私は決してそうとは思いません。
好むか好まざるかに関わりなく、
世界のグローバル化はこれからも進んでいくでしょう。
そして世界の共通言語が英語である事は、
これからもしばらく変わる事は無いと思います。
こうした状況の中にあって、
時代を担う若い世代の人々の英語力が伸びない事は、
国際競争力の低下に直結します。
また国力が低下していく日本の未来を考える時、
海外とつながっていく事はますます重要となり、
その時に英語力の有無は大きなファクターとなるでしょう。
これからの日本の中では、
海外とつながっていける充分な英語力がある人と、
そうでない人の間で残酷なまでの格差が生まれると思います。
それは衰退していく国でこれまでにも、
歴史の中で嫌というほど繰り返されてきたことです。
そんなはずは無いと否定する事は簡単ですし、
別に私自身もすべての人に受け入れてほしいとは、
夢にも思っていません。
でも受け入れようと受け入れまいと、
歴史がこれまでに示した事はきっとこれからも、
必ず起こっていくことと思います。
だからこそ、現状を客観的に分析し、
未来を論理的に考えられる人にだけ、
参考にしてもらえたら充分だと考えています。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。
今の教育と日本国内の傾向を考えれば、
英語能力指数の向上は今後もしばらくは、
望む事は難しいと私は考えています。
でももし英語力の重要性に気づいたのであれば、
受験教育の中で「間違い恐怖症」を刷り込まれることなく、
常に海外を見る視点を持ち続けてほしいと思います。
こうした国全体の傾向に関わりなく、
自分自身が注意して努力していけば、
実践的な英語力は誰にでも身に付きます。
そして今のような内向的な傾向があればあるほど、
実践的な英語力を身に付けた人にとっては、
極めて大きなチャンスがある時代ともいえます。
受験勉強にどっぷりと使って、
昭和時代から続く偏差教育を追いかけるのではなく、
本当に必要なスキルは何なのかを考えて子育てをしていく。
これからはそんな姿勢が、
私たち親には求められているような気がしてなりません。
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