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受験に勝ち抜くことが教育のゴール? 〜もう一度考えたい「受験との正しい向き合い方」
こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、
現在はニュージーランド在住の未来教育コンサルタントのTakuです。
受験指導に携わって30年以上が経ちましたが、
いまだに私の中に消えない違和感があります。
それはびっくりするほど多くの人がいまだに、
受験で勝ち抜くことを目指して我が子に、
教育を与えているということです。
確かに受験で勝つことも重要かもしれませんが、
一方でそれは目的化してはいけないのではないかという、
危機感を常に持っているのです。
そこで今日は「正しい受験との向き合い方」という、
ちょっと深くて重要なテーマについて、
改めて考えてみたいと思います。
目的と手段の履き違え
「手段は問わないから、とにかく合格させてくれ」
「合格させるのがあなたの仕事でしょ?」
こんな姿勢で依頼を下さる保護者の方を、
これまでたくさん目の当たりにしてきました。
こうした姿勢の方は学年やレベルを問わず、
幅広い層に存在しています。
基本これらの方々のご依頼は、
全てお受けしていないのですが、
その多さには正直閉口することもあります。
こうした方達はすでに、
受験以外のことが見えなくなっていて、
合格以外に選択肢が見いだせなくなっています。
すると当然のことながら、
視野が狭くなってしまって判断が狂いやすく、
選択を誤るリスクも飛躍的に高まります。
そしてその最大のリスクが、
受験そのものが目的化してしまうことです。
当たり前のことですが、
受験に合格したこと自体では、
子どもの幸せになるわけではありません。
私もこれまで生徒たちに繰り返し、
「合格は新しい挑戦の始まりに過ぎない」と、
言い続けてきたものです。
つまり合格そのものよりも、
合格した後が大切だという視点をもって、
受験する必要があると思うのです。
しかし受験に夢中になって、
合格さえすればいいんだと思うようになると、
合格後には目が行かなくなります。
そんなことを言っても合格しなければ、
その後のことも考えられないではないか!
きっとそんなお叱りを受けるかもしれません。
でも合格してもその後が望めないなら、
その合格にどんな意味があるのでしょうか。
それはまるで登山をして、
頂上で力尽きるに似たりではないか。
私にはそう思えてなりません。
受験が目的化していくプロセス
でも多くの人はそう分かっていながら、
なぜこうした過ちに足を踏み入れてしまうのでしょう。
誰しも受験を始めた時には、
受験を目的にしようなどとは、
夢にも思ってはいないのです。
純粋に子どもの幸せを願い、
良かれと思って受験を選択肢とし、
受験勉強をスタートするのです。
しかし受験には魔物が住んでおりまして(笑)。
受験をしている最中に、
知らず知らずのうちに受験にのめりこみ、
合格しなければと言う強迫観念に駆られる。
こんなに頑張ってきたのだから、
今更引き返すことなどできない。
もう少しだけ無理をすればきっと、
あと1歩上のレベルに合格できる。
そういう誘惑に支配されて、
気がつけば何が何でも合格しなければと、
思うようになっていってしまうのです。
そして一度この誘惑に駆られると、
何としてでも合格する方法を考えるようになり、
子供に無理を強いることが多くなります。
こうなると仮に結果として合格したとしても、
燃え尽き症候群などになってしまい、
入学後に学習意欲を失うことも少なくありません。
幸せになるために始めた受験が、
子供の学習力を失わせるという、
皮肉な結果に終わってしまう。
そんな例をこれまで何度見てきたことでしょう。
そしてその悲劇は今なお繰り返されています。
正しく受験と向き合うために
私は受験にはギャンブルのような、
中毒性があると考えています。
一度のめり込むと引き返せない、
そんな魔力とも言える力があるのです。
ほとんどの方が自分は大丈夫だと、
気軽に考えて受験に向かいます。
しかし一度足を踏み入れてしまうと、
時間も気力もお金も吸い尽くすほど深く、
受験は親子の中に入り込んできます。
だからこそまず保護者は、
受験のこのような中毒性を認識し、
一定の距離を持って向き合うべきです。
「すべて塾にお任せください」などとのたまう塾には、
絶対子供を預けてはなりません。
全てお任せして塾は、
不合格になったり学習意欲を失ったりした時、
本当に責任をとってくれるのでしょうか?
すべて塾にお任せしたら、
正しく中毒の度合いが増す事は、
火を見るより明らかでしょう。
なぜなら塾が追い求めるのは、
子供たちの入学後の飛躍ではなく、
あくまで合格と言う実績なのです。
これは塾を批判しているわけではありません。
塾は会社である以上、
利益追求を第一の目的にするのは当然です。
問題なのはそういった側面を意識せず、
塾の言い分を鵜呑みにして受験に向かう、
保護者側の姿勢にあると思います。
繰り返しになりますが受験とは、
子供が幸せな未来を掴むための、
手段に過ぎないのです。
特に中学受験に至っては、
受ける必要性など全くと言っていいほどなく、
完全に趣味の世界です。
そんな受験のために子供たちが、
学習意欲や自己肯定感をなくすなど、
言語道断だと私は思います。
親はこの観点を決して忘れることなく、
受験と正しい距離感を持って、
向き合って欲しいなと心から願います。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。
受験教育が王道である日本では、
受験の成功が過剰に意識され、
受験の目的化が顕在化しています。
しかしそれは子供たちの幸福にとって、
逆の効果しか生まないと私は考えています。
私たち親にとって1番大切なのは、
決して受験の成功などではなく、
子供たち自身が幸せな未来を掴むことです。
だからこそ、親はもっと賢くなって、
受験との距離感をもう一度改めて、
見つめ直す必要があるのではないかと思います。
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