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金利が上がると株価が下がる?お金のシーソーゲーム


1. 金利とは?株価とどう関係するのか

金利とは、お金を借りるときや預けるときに発生する「手数料」や「お礼」のようなものだ。
たとえば、銀行にお金を預けたら利息がつくが、それが金利である。

一方で、お金を借りる場合は、この金利分を上乗せして返さなければならない。

ここで重要なのは、金利が経済全体に大きな影響を与えるということだ。そして、金利が変わると株価も動く。この2つはシーソーのような関係にある。


2. FRBが金利をコントロールする理由

アメリカでは、FRB(連邦準備制度理事会)という機関が金利を調整している。FRBは「インフレ率を2%にする」という目標を持っている。

インフレとは、物の値段がどんどん上がることだ。

値段が上がりすぎると人々の生活が苦しくなるため、景気が強すぎるときには金利を上げて調整する。

ただし、金利を上げすぎると、お金を借りるコストが高くなりすぎて企業や個人が支出を控えるようになる。結果として、景気が悪くなるリスクがある。この微妙なバランスを調整するのがFRBの仕事だ。

3. 最近の動き:好景気が株価に悪影響?

たとえば、先週のアメリカ雇用統計では予想以上に強い結果が出た。

普通なら「景気がいい」と喜ぶニュースだが、株価にとっては悪いニュースになった。

なぜか?理由はこうだ:

  1. 雇用が好調 → 経済が活発になる。

  2. 経済が活発だと需要が増え、物価が上がる(インフレ)。

  3. FRBはインフレを抑えるために金利を上げる、または引き下げない。

  4. 高金利が続くと企業の資金調達コストが増える。

  5. 投資家が慎重になり、株価が下がる。

つまり、景気が良すぎると金利が上がり、結果的に株価が下がるという現象が起きる。


4. なぜ金利が株価に影響するのか。

株式益回りと国債利回りの比較

次に、なぜ「国債利回り」が株価に影響を与えるのかを見てみよう。

国債利回りとは、国債を買ったときの「利益率」を示すものだ。一方、株にも「益回り」があり、次のように計算できる。

株式益回り = 純利益 ÷ 株価

たとえば、ある会社の1株あたりの純利益が50円で、その株価が1000円だった場合:
50 ÷ 1000 = 0.05(つまり5%)

PER(株価収益率)という指標を使えば、もっと簡単に計算できる。
株式益回り = 1 ÷ PER

たとえば、PERが30倍の株なら:
1 ÷ 30 = 0.033(3.3%)

現在、アメリカの10年国債利回りは4.7%と高水準だ。これを株と比べてみよう:

  • PER30倍の株 → 益回り3.3%

  • 国債 → 利回り4.7%

この場合、株はリスクがあるのに国債よりも利益率が低い。

そのため、多くの投資家が「株より国債のほうが得だ」と判断し、株を売って国債を買うようになる。

これが「金利が上がると株価が下がる」理由のひとつだ。

5. PERが高い株と小型株は特に危険


PERが高い「ハイパーグロース株(急成長株)」は、この影響を大きく受ける。PERが高いと益回りが低くなるため、金利が上昇すると真っ先に売られるからだ。

また小型株も金利上昇すると売られる傾向がある。まだ成長途上の企業で、借金が比較的大きいため、金利が上昇するとコストが増大する。


6. 金利と株価の未来

今のアメリカ経済は強い。

FRBが金利を急に下げる可能性は低いが、ソフトランディング(景気を大きく壊さない調整)が成功すれば、主要企業の株価は堅調に推移するだろう。

特にGAFAMのような大企業や大型バリュー株は安定感がある。ただし、小型株やPERが高すぎる銘柄には注意が必要だ。


7. まとめ

金利と株価はシーソーの関係にある。

金利が上がると株価が下がりやすい理由は、国債利回りが株式益回りよりも魅力的になるからだ。

この仕組みを知っておくと、投資の判断に役立つだろう。

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