【第54話】ピックかポートか…。
普段なら採血をしない夕方の時間帯、研修医の先生が言いました。
「上原さん、発熱の原因を特定するために血液検査をしますね」
「はい、お願いします」
「では、針を刺します。うーん、うーん?ん?」
「………」
前回の入院時にも書きましたが、僕の腕は血管を探しにくいらしく、血液が1回で採れることはなかなか無いのです。結局、右腕に3回、左腕に3回、左足に1回、右腕に戻って1回、計8回も刺されましたが、採血できずに終わりました。
高熱でぼーっとしていた僕は、意地悪くこんなことを考えていました。
「今、大切なのは、おれから採血することであって、お前が採血することではない。担当者を変わってくれ」
のど元まで出かかって言わずにいましたが、彼が「何回も刺してすみませんでした。他の人にやってもらいます」と言って病室を出て行ったのでホッとしていました。
数分後、目を輝かせた彼が新しい針を持って戻ってきました。
「もう一度トライさせてください」
(え、なぜ笑? まぁでも9回も10回も変わらんから、どうにでもしてくれヽ(´▽`)/)
無事に採血が終わり、何回も刺されたことを看護師さんに愚痴ると、「ポートを検討してみたらどうかな?」とのこと。
ポートというのは、前回の入院時に紹介したピックと同じようなモノらしく、それを装着しておけば、点滴や採血の時に、針を刺す必要が無いらしいのです。
しかし、ピックとは違い、退院中にも身体に装着したままとなり、感染症のリスクもあるとのこと。これは悩みどころです。ピックかポートか、まずは、説明を聞いてから決断することにします。
2024.1.12
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