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ウケるからって売れるわけじゃない

昨年に漫才劇場に常駐するようになって、多くのことを感じます。その中の1つに若手のコント師、ピン芸人のネタの中でSEや照明変化、映像の使用など、演出面の進化を感じます。

進化と表現すれば褒めているようですが、僕の本音は逆です。そういうSEや照明を変化させる部分を「キッカケ」と表現しますが、1年目の新人が4分コントでキッカケが10回もあったりもします。

実際キッカケを使用したらウケやすいのは間違いないと思います。演出面を圧倒的に分厚くしてくれます。
しかしこれはウケはするものの、劇場の出番や巡業の数など舞台への露出が減ることになるかもしれません。

さて、劇場で色々見ていると
キッカケを使用するタイプで数年内に確実にキングオブコントの決勝にはいくだろうと断言できるようなコント師たちもいます。キッカケを使用したネタで良いネタが数本出来たら、瞬く間に賞レースで頭角を表し、チャンピオンにもなれると思います。

僕はこの部分が1番難しいとこだと考えていますが、若い頃からキッカケを使いまくるコントで賞レースを取っても、その瞬間は営業や劇場出番が増えてもそれがずっと続くことは無くなります。

チャンピオンになるとスケジュールは忙しくなり、1日で現場を何ヶ所も掛け持ちになります。

リハーサルを出来ないケースも出てきます。
地方の巡業は、開場時間中に出演者が楽屋入りしてくるし、東京や大阪などからみんな同じ行程で移動することも少なくありません。

リハが必要だからと、個別に早く劇場に来る時にもやはり誰かがアテンドしなくちゃいけなかったり、制作サイドへの負担が増えます。

地方公演では本当に必要最低限のスタッフで運営しているので、そこまでケア出来ない場合はやはり漫才のみになったり、リハ無くても大丈夫なコント師が選ばれ、キッカケスタイルの人は優先順位が下がってゆきます。

KOCやM-1、R-1など賞レースを目標に掲げる人も多いしですが、賞を獲ってからも芸人人生は続くし、あくまで賞レースは通過点と考えておかないと、どのネタでもキッカケ使うスタイルで優勝したらその後の自分の首を絞めることになるでしょう。

この辺はNSCの現役生時代から音源をちゃんと音響さんが出してくれるようになったり、時代が進んでナレ録りや音源の編集を自分たちで出来るようになった側面もあるでしょう。

数年前までは、NSC生のライブなどは自分でラジカセを再生したり、影マイクにスピーカー近付けて音源を使用するアナログな手法と、それがスマートに映らないマイナスな要素があったのですが、今はその懸念が無くなり、音源を使うことに抵抗が無くなった世代になったのだと思います。

少し先輩のそのアナログ音源時代を通ったけどキッカケを比較的よく使うニッポンの社長やビスブラ、ロングコートダディたちは漫才も出来るし、キッカケ0のネタも何本もあるのでやはり彼らは問題ない。

そしてその究極がジャルジャルです。

大晦日に108本コントライブを行いましたが、キッカケを使用したコントは10本程度で、ほとんどのコントがオチも「どーも、ありがとうございました!」だったのでコントの数は半端なく多いですが、リハはそんなに長くなかったです。

なんなら小道具の位置決めもこだわらず、だいたいの位置に置いてくれたらOKという、長時間携わるスタッフへの負担軽減してくれました。

108本もコントしてバミり0!笑

バミり無しの美しい床でした。
キングオブコントの準決勝とかはコント師50組くらいいて、全部の小道具のバミりを貼るので、それはそれは凄まじい量のテープです。暗転中はプラネタリウムくらい舞台で蓄光テープが光ります。


こういうツイートが流れてきて、本当に色々切実だと思います。先日理音とも上記のキッカケの話しをしましたが、彼もまたモニターを使ったネタで優勝したので、制作サイドからはややこしそうなネタをするように思われてるかもしれません。

しかしキッカケも無くリハも必要なく、めちゃくちゃウケるネタあるので、劇場に出してあげて欲しいなぁと、願っております‼

最後になりましたが、本年もどうぞ宜しくお願いします。既に忙しくなりそうな雰囲気を感じております。このnoteを通じて単独の裏側や仕事を紐解き、公演を観に来られた皆さんの余韻を少し膨らますことが出来たらなぁと思っております。

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