
アビスパ福岡を卒業する日。
ルヴァンカップ優勝の後夜祭、まだまだ続いているなぁ。と思うここ数日。いまだにルヴァンカップの文字を見ない日はない。昔は決勝の日すら忘れていたのに。
11月4日の優勝決定以降、福岡では、メディアがこれでもかってレベルで優勝をお祝いしてくれていて、改めて「タイトルってやばいな。」という気持ちになった。
YouTubeに挙げられた公式動画を見ても、「え、あの番組で、あんな長い時間?!」みたいな気持ちになる。優勝の破壊力は絶大である。
僕も周囲のいろんな人から、「アビスパよかったね」「やったじゃん」と言われる。都内で標準語の人から褒められているのが、このタイトルの注目度を表してると思った。どうもこんにちは、王者ですと言いたかった。ただ優勝したのに、仕事が免除される気配はない。おかしい、もう一度言うが、私は王者だ。頂点に立った男(を支えたつもりの男)だ。
歓喜の数日を終え、少し思う事があるので、続けて書いてみる。
サポーターをやって25年。十分すぎるくらい待った歓喜の瞬間は、鼻水と涙と、いろはすが噴出する感動的なものだった。家に帰っても、「いやーよかったねー」「城後がうれしそうだねー」「そういえば国立に〇払解説者いたねー」みたいな、もう何を言っても楽しい、面白い、幸せな状態だった。母親が珍しくYouTubeをザッピングして、動画が上がっていないかチェックしていたくらいなので、空前絶後の大イベントだったんだなと思う。
あれから10日が経過した。
ルヴァン優勝後のリーグ戦もガンバに逆転勝ちし、王者の貫禄を見せたアビスパ福岡。これまで常に弱者で、上位に勝利すると「調子がいい、ミラクルだ」と報じられてきたのがウソのような状況になりつつある。
僕のアビスパは、これからどこにいくのだろうか。
この表現が正しいかわからないが、ここ数日こんな気持ちになる。
九州を代表するチームになってほしいし、城後のいるうちにリーグ戦で優勝したい。そしてACLに出場するチームになってほしいと思う。
一方で、その状態のアビスパ福岡は、僕が見ているアビスパ福岡と同じなのか。という気持ちになるのだ。ここまでくると、ニーチェを問いただしたい。そんなレベルであった。
何を言っているんだろう。自分が応援したものが大きく育っているのだ、素直に喜べよ。と言われても仕方がないが、なんとなく不安になる。
類似する感情がないものか、自分のなかでいろいろ検索をかけた。
あった。
インディーズの頃から贔屓にしていたバンドが、メジャーデビューしMステに出た時だ。あの時の気持ちに似ている。
これまで新宿MARSや、どれだけデカくても新宿BLAZE、福岡ならドラムロゴスがやっとのこさのバンドだったのに、いきなりアリーナツアーですか。あらーバズリズムにも出て。え、CDTVの年越しライブにも出てる!。そんな風に売れていったバンドたちを、僕は「自分から旅立った」という気持ちで見ていた。
彼ら、彼女らを嫌いになったわけではない。売れるバンドになるという目標があって、それらが見える形で達成された。その状況を喜び、かみしめる言葉が卒業おめでとう!であったのかもしれない。新たな世界へ旅立っていけ、的なものだ。
自分がアビスパ福岡を卒業する日が来るのかな。と思った。来てほしくはないが、そのきっかけになる予感はある。繰り返すが嫌いになってはいない。めでたく卒業的なニュアンスだ。
いつか、試合の翌日にスマホで「おー、勝ったのか。よかったなぁ。」と思うのみの存在になってしまうのか。「今の選手、全くわからないんだよね、ドウグラスってあのドウグラスグローリじゃないよね笑?」みたいな事を言い出すのだろうか。
妄想が妄想を呼び、あぁ、あのバンドと同じかもと思う。
正直、昨日までは思ってた。Xで1つの投稿を見るまで。
シーズン最終戦もスタジアムで共に🐝
— アビスパ福岡【公式】 (@AvispaF) November 14, 2023
/
来場見込み
📣11,845人
\
10,000人突破‼️(11/13現在)
🏆2023明治安田生命J1リーグ第34節
🆚#サンフレッチェ広島
🗓 12/3 14時 #ベススタ
席種によっては残数が少なくなっています
⚠️チケットのご準備はお早めにhttps://t.co/XMVSRyESdN#アビスパ福岡 pic.twitter.com/9gGe90tpyS
旅立ったバンドと、違うところが1つある。
どんなに大きくなろうと、強くなろうと、アビスパ福岡は博多の森に帰ってくる。たとえアジアの片隅で、中東オイルマネーに打ちひしがれる日が来ても、きっと翌週には、僕らの博多の森に帰ってくるのだ。
売れてるバンドのくせに毎回DRAMB-1でライブをしてくれる、毎年福岡サンパレスでもやってくれるみたいなもので、しゃあねぇなぁ!今回も全通でいくか!という気持ちになる。
タイトル獲ったのに、いまだに収容人数の50%しかチケット売れてないあたり、「うん、これこれ、これがアビスパよ笑」という気持ちになる。現実をみるのに効果は抜群だった。
どうやら旅立つことはなさそうだ。
これから先、順調に強くなるかは、正直誰にもわからないだろう。年によっては残留争いをすることもあるだろうし、また降格しても驚かない。そっち方面の心の準備は、核シェルターが作れるレベルでやってきたから。
ただ今回の優勝を経て、どんなに強くなろうと、君たちが帰ってくる度に、僕はいつまでも「おかえり」といって、迎え入れたいと思う。
きっと来年も「ふー、残留確定まであと勝ち点〇〇か…」ってカウントしてる僕がいるはずだし、下位チームの引き分け総倒れを祈る秋がやってくるのも容易に想像できる。そんな風に一喜一憂し、気づいたら少しずつ強くなるのが、現実的である。
だからこれからも僕は、ときどきライブハウス「博多の森」に行っては、同じような日々を過ごしていきたいと思う。
もし年をとっても、ちょっといい席で、座って楽しむつもりだ。