【PART2】泉大津市×タクトピアトップ対談
理想の人材育成について語り合った南出市長と長井。後半はその理想をどう実現していくかを掘り下げます。泉大津市とタクトピアが考えるこの事業のビジョンとは?
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街ぐるみでワクワクする学びを創り、誰でもチャンスが得られる環境を
浅岡:さて、今までの話を踏まえてもっと具体的な話に移って行きたいと思います。このような人財育成をするための環境整備が大切とおっしゃっていましたが、具体的に市として目指していきたいことをお聞かせください。
南出:そうですね、原体験をどう作るかですよね。できるだけ多くの子供たちに多様性に触れて「我が事ゾーン」を広げる体験をしていただきたいので、誰もがそういった教育に手を伸ばせば触れることができる環境を実現していきたいなと思っています。
浅岡:なるほど。このためにタクトピアはどのように協働する予定なのですか、長井さん?
長井:はい、そういった原体験を泉大津市で提供するため、いくつかのプログラムを実施予定です。その中で山場となるのは、春休みに予定されているイングリッシュキャンプだと思ってます。イングリッシュキャンプには様々なバックグラウンドを持つ海外大生がメンターとして参加して、中高生の皆さんと触れ合う。この泉大津市の街にありながら多様性にあふれた世界の形になっていく。そういうもしかしたら今後の考え方がキュッと変わってしまうような素敵な原体験をご提供したいと思います。
浅岡:多様な人を招待したイングリッシュキャンプですか。どうですか、南出市長?
南出 :非常に良い企画だと思います。泉大津市ではこの10月から外国の方向けの語学学校が開校するんですが、多様な国から泉大津に学びに来る人たちとの交流の場を、ありとあらゆる場で実現していきたいですね。そういう意味で、タクトピアさんと一緒に、手を伸ばせばチャンスが得られる環境を作っていきたいですね。そんなフィールドに触れてもらう中で子供達が自分たちの街だとか、自分たちの社会を自分たちで作るっていう意識が育まれるといいなと思います。
長井:やはり街でそういう環境が作れるというのは非常にワクワクしますね。街の中でいろんな接触点があって最後の大きな原体験となる山場がある、そんなストーリーが創れたらなと思っています。そして更には皆さんの日常生活にも教室型のプログラムを通して学びの場を提供したいなと思っています。イングリッシュキャンプに向けて着実に力をつけていくのはもちろん、世界で何が起こっているのかとかそういうものを英語を使いながら面白く学べる、そして更にそれに紐づいた簡単な体験型ワークショップのようなものもご用意しようと思ってます。
南出:学ぶことってまるで世界が広がっていくようで楽しいですよね。子供たちの変化が楽しみです。
長井:そうですよね、普段の学校の勉強ももちろん大事ですが、プラスこんなドキドキする体験ってあるんだ、とか、今まで知らなかった世界が見えるといった自分の変化や、何かアクションする力が自分の中にも備わっているかもしれない、みたいな自覚とかですね。そういったことがどんどん出てきたらいいなと思いますね。
南出:そうなった時に子どもたちが次のステップを期待できるような仕掛けが大事になってくるでしょうし、そういう学びを体感してワクワクしている子がいて、その様子を周りの市民さんによく知ってもらうっていうことはすごく大事になってくるんですよね。
長井:そうですね。
南出:これから教育のあり方って、どんどん変わってくるじゃないですか。そうなった時に、丸バツだけではなくて、答えが無いものに対していかに自分の考えを述べていくかとか、社会問題理解や知識があることが前提となるとか。重要なのは成績、大学、就職だけじゃないということを我々がメッセージとしてしっかりと伝えて、 啓発していくこともすごく大事だなと感じています。
目指すはコミュニティ形成と、人間の本質的なものを育む教育、そしてそれらの総合的な文化
浅岡:確かに、これからの教育は総合的な学びだとか、学びは「子供」だけのものなのかとか、変革していかないといけない点が多くありますよね。この事業も来年、再来年と広がっていくと仮定して、泉大津市でこういう形の学びが広がってほしいとか、お二人の未来の想像や妄想をお聞かせいただけますか?
南出:妄想ですか(笑)。コミュニティができるってことが大事でしょうね。
長井:そうですね。我々は様々なコンテンツを作ってますけど、極論最後はやっぱりコンテンツじゃなくてコミュニティとか環境になると思っています。泉大津市との事業が続くとして、3年目ぐらいのビジョンとして「好奇心」「ワクワク感」「自分と違う人と繋がって何かやったら面白いかも」という気持ちの元に、街の人たちが友達以外とも交流してみたり、何か一緒にやってみたりとか。それが大きくなって仕事やプロジェクトになったり。そういうことが街の中で自然と起こっていくような風景ができたらすごく面白いのかなと思います。
南出:良いですね。今政府がソサエティー5.0って出してますけども、もう少し先に行くといろんなことがロボットに取って代わられることは恐らく見えているので、むしろ人間にしかできない分野ってなんだろうって考えたら、やっぱり左脳ではなく、直感力とか感性、想像力、創発、運動神経の右脳のはずなんですよ。そういった人間の本質的な部分がちゃんと育まれるような教育をもっと実現できると良いですね。こういったことと論理的思考が相まって初めて色んなことが想像できると思うんです。だからそもそも人間とはなんぞやというような、その部分を少し深く考えたら、教育のあり方ってこれからの社会ますます問われるようになると思ってます。
長井:そういうことはやっぱり学校でも塾でも、プログラムされた学びの場ではできないことだと思っています。最初はプログラムとして提供していくんですけど、これが当たり前の形になる、そういう街になるとすごく素敵だなと思ってます。
南出:そうですね。最初の仕掛けは大事なんですけど、ゆくゆくはそういう文化ができるってことが理想的ですね。
長井:そうそう、文化ですよね。
南出:日常何やっても学びなんですよ。社会から学んで自分が成長することで、より世の中に還元できることがわかって、自分の使命が見えてくると、もう全てが学びですよね。そういったマインドセットが早い段階でできると子供たちが自らエンジンかけだすだろうし。だからキャリア教育がやっぱり大事なんです。選択肢があると自分で目標設定ができるんですよね。早い段階からいろんな出会いを経験して将来の選択肢が広がるんですよ。これもまた環境づくり、つまり最初にどう仕掛けて、その背景とかメッセージをいかに伝えるかっていうのが共感度を広げる上で大事なのかなと改めて思いました。
新しい世界、ワクワクする世界へ勇気を出して一歩踏み出してほしい
浅岡:最初の一歩が大事ですね。今回の共同事業もその第一歩かなと思います。それでは最後にこれから泉大津市でのプログラムに参加して第一歩を踏み出す中高生に向けてお二人からメッセージをお願いします。
南出:こういう応募をするとき、なんの躊躇もなくできる人もいれば、勇気が必要な人もいると思うんです。でもちょっと勇気を出して一歩踏み出していただいたらきっと新しい世界が持っていると思うんです。なので我々泉大津市で子供たち、若者を応援します。そして将来幸せに自分の役割を見つけて羽ばたいていただきたいなと思ってます。
長井:そうですね。やっぱりグローカルというのは、自分プラスどう我が事ゾーンを広げていくか、それが楽しい冒険のはずなんですね。まだ見ぬ自分みたいなものにワクワクして、ぜひ興味を持って参加していただきたいなと思います。
南出:そうやって良い教育環境がタクトピアさんと実現できたらすごく嬉しいですし、すごくやりがを感じますね。是非これからもそれに向けて我々も一丸になって頑張って行きたいと思うので、是非応募してくれたら嬉しいなと思います。
浅岡:たくさんの中高生に参加していただいて、市民のみなさんにも応援していただけると良いですね。まだまだ話したりないことはあるかと思いますが、今回の対談は以上とさせていただきます。本日は南出市長、長井さん、ありがとうございました。
南出・長井:ありがとうございました。
Part1、Part2とお読みいただきありがとうございました。
南出市長も弊社長井も全く話し足りず、いつまでも話し続けられそうな雰囲気でした。教育は人づくりであり、それは未来をつくることそのものだ、という強い想いを感じる対談で、進行役の私にとっても非常にエキサイティングな時間でした。
対談中、「環境」や「文化」という単語が何度も出てきていたのが印象的でした。社会に輩出される人を社会の中で(環境や文化の中で)育てる、という当たり前のようで実は難しい挑戦を、どう実現していくかがとても楽しみに思いましたし、私自身その挑戦に携われることにワクワクしています。(浅岡)
Writer:浅岡諒
岩手県出身、東京育ち。明治大学で学びながらリーダー育成のための国際的学生組織”AIESEC”に所属し、学生の国際交流の推進に没頭する。大学卒業後にハバタク株式会社の1年間アジアインターンシップ”XIP”に参加し、ベトナムはハノイにて社会起業家のイノベーション創出の現場を支援。その後日本の大手ITベンダーへの勤務経験を経て、再びハバタクグループのタクトピアチームへ帰還を果たす。
タクトピアではベトナムオフィスに所属し、アジアを舞台とした研修事業およびアジア市場の開拓をおこなう。自分自身の原体験を通して若者に「だれもが自分の選択ひとつで人生を変えられるし、世界を広げていけるんだよ」とメッセージを発信することに使命感を抱いている。