創業7年目のご挨拶。正解なき時代のラーニングデザインについて
はじめに
お世話になっている皆さまへ。おかげさまでタクトピアは無事に6期目を終え、7年目の冒険をスタートいたしました(正確には弊社は3月が期初となりますが、一般的な年度初めに合わせてのご挨拶とさせていただきます)。この1年間はコロナウィルスの猛威によって大きな影響を受けましたが、未だタクトピアが健在でいられるのは日頃から応援してくださる方々と、粘り強く会社を支えてくれるメンバーのおかげであると日々感謝しております。
コロナ禍でのオンラインや国内プログラムへのシフト
昨年度は弊社の主力事業であった海外研修が1件も実施できませんでしたが、「一番悔しく思っているのは生徒さん、そして先生たちだ」という思いのもと、オンラインや国内でのプログラム開発に注力して参りました。地理的に海外へ行く行かないではなく、タクトピアが培ってきた学びの本質的な価値を突き詰めて考えた結果、創業以来大事にしてきた「圧倒的な原体験」を実現する学びの場を例年以上に生み出すことができました。特に、オンライン完結型のイングリッシュキャンプ、自己探究を主眼としたアートプログラム、社会実装にこだわった通年型アントレプレナーシップ講座、国内全域への波及効果を狙った官公庁プロジェクトなどは、この状況下だからこそ為し得た成果でした。
~コロナ禍で実施したプログラムの例~
・オンライン完結型イングリッシュキャンプ@山口県
・自己探究アートプログラム@都内私立高校
・社会実装を目指す通年型アントレプレナーシップ講座@山手学院
・日米交流の促進・相互理解の増進のためのプロジェクト@外務省(写真をタップすると動画を視聴できます)
また学びのプログラム提供のほかにも、ボストンキャリアフォーラムやサステナブルブランド国際会議など、教育文脈ではない場にもお声がけいただいてメッセージを発信させていただく機会にも恵まれ、いずれも貴重な体験となりました。
予測困難な時代を生き抜くために
まだまだ続きそうなコロナ禍の状況を見るにつけ、「予測困難な時代」の到来を益々強く感じています。ある意味、「世界はこんなに大変なんだぞ(あるいは、世界はこんなに凄いんだぞ)」と大人が偉そうに講釈を垂れなくても、いまの若者たちが十二分に時代性を理解するほどに、世界の状況は身近な生活に密着するようになりました。これからの時代の教育に必要なのは、「まだ見ぬ世界」を若者に振りかざして惹きつける劇場型のコミュニケーションではなく、「いまここにある世界」を共に受け入れて前へ進もうとする伴走型の姿勢であると強く信じています。
令和時代に求められる組織設計
さらに申し上げると、その延長線上として、組織と個人のあり方も問われる時代になったと感じています。決まった正解のない時代に、決まった正解のない学びを届ける組織(会社)が、唯一絶対の正解があるかのような組織形態を取ることは自己矛盾です。そのような理由から、タクトピアは1年前からフルタイム雇用によるピラミッド型組織であることを辞め、フリーランス契約によるネットワーク型組織へと改組しました。人の数だけ目指したい人生(世界)があり、組織の目指したい世界と重なるところに仕事が生まれる、という考え方に転換したのです。この考え方においては、メンバー全員が各自の世界観の創造者なのであり、創造主の「手下」は存在しません。各自のビジョンを実現するために、助け合い、試行錯誤し、経験から学び、幸せになる。そのエキスパートがラーニングデザイナーです。ラーニングデザイナーとは、「研修プログラムをいい感じに設計運営する人」ではなく、「幸福追求のための思考行動様式をデザインできる人」であると考えています。願わくば、日本のすべての組織が、ラーニングデザインの力をもって今後個人に求められる生き方を支援できるようになったら、とも思っています。
さいごに
今年度も激動の状況が予想されますが、タクトピアは上記のような哲学をもって、世界に唯一無二のラーニングデザイン・ファームとして活動を継続してまいります。変わらぬご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2021年4月1日 代表取締役 長井悠