朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」

 4月20~23日俳優座にて上演された朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」を4月20日、23日は配信にて22日は俳優座にて観劇した。

 大まかなあらすじを説明すると

 時代はコロナ渦、落ち目の作家で不倫相手の女優に振られた夫の孝志、元女優で最近シナリオコンクールで賞をもらった恭子はご無沙汰夫婦である。あるきっかけから孝志は恭子に「今夜、久しぶりにしませんか」とLINEを送ることから大きく事態は動く。「セックスレス」をきっかけに夫婦はどうあるべきかを互いにぶつけ合う物語である。

 キャストは
 20、21日 篠原涼子さん、荒木宏文さん
 22日 佐藤仁美さん、山崎樹範さん
 23日 篠原涼子さん、山崎樹範さん 

 また若かりし頃の二人を描いた劇中のドラマには早川聖来さん、ゆうたろうさんが出演した。

 早川聖来ファンである私は上演2週間前にドラマに出演することを知り急遽、福岡から駆けつけることを決めた。1年弱ぶり、かつ活動復帰後初のお芝居であったため何としても観たかったのである。

 「セックス」という普段会話に出しにくいワードが何度もでてきて、センシティブかつシリアスな物語に見えるが演者の2人の掛け合いや脚本がテンポよくコミカルであったため笑える内容であった。年齢としては大人である2人が本音や不満をぶつけ、関係を見つめなおすために喧嘩気味に話し合い段々と子供な部分を見せてしまうが解決へ向かってく展開となっていて、夫婦関係、それ以外の日ごろの人間関係に当てはめながら物語について考えることができた。

 また劇中ドラマで2人がラブラブだったころやお互いのずれにつながるきっかけが連想できたのでより現在のこじれた関係が分かりやすかった。
 
 キャストの3パターンすべてを見たが3パターンとも世界観が変わったのでその違いを楽しめた。
 篠原さんの恭子は常に気が強く圧があり我を出そうとしている恭子であっった。佐藤さんはここ最近のバラエティーのイメージからより圧を感じる恭子になるのではと予想していたが、実際はおしとやかな感じで少し可愛げがあってここぞというばかりに圧を感じた。
 荒木さんの孝志は堂々とした感じに見える時が多かったがそれがより子供っぽさのある孝志を卑屈にしていた。威勢があるけど突っ込みどころが沢山あるところが東京03の角田さんのコントに似てると感じた(東京03のお笑いと角田さんが好きな私である)。一方山崎さんのほうは一見なよっとした口調でふざけていて時折ネタに走っていたが恭子に嫌われたくないがために下手に出ている態度がより実際の孝志に見えた。

 篠原×荒木ペアはお互いの強気なので一番コントっぽさがあったので面白おかしさがあった。篠原×山崎ペアは恭子が強めでお互いのキャラクターがより浮き出ていたので二人の人となりを楽しめた。佐藤×山崎ペアは一番実際にいそうな夫婦のように見えた(劇場で見たのも関係してそう)。

 劇中ドラマも非常によかった(まあ、それ目的ではあるし…)。若い頃2人がどれくらいラブラブであったかを現在の2人と対比させるために美化された演出であった。早川×ゆうたろうペアがとにかく美男美女であって(現在の二人ももちろんきれいだが)爽やかなドラマだった。物語の展開上大人な場面があるのだがいやらしさがなかった。恭子の「大好き」連発シーンはアイドル早川聖来によるサービスシーンのように見えるが、それは自分に愛情を示してくれる恭子が孝志にとって大きなものであることを表現しているのだろうと考えた。学生などの若いカップルには描けない大人の甘い恋をずっと見ていてどこかで心が躍っていた。甘い恋を見せていたなかで孝志の子供っぽさ、恭子の母になるための決意、今の関係の原因となるわずかなずれも出てきていて美化された思い出の中にも現実と結びつくものがあった。

 
 1早川聖来ファンとしては休養後もしかしたら見ることができないのではと思っていた彼女のお芝居を素晴らしい作品にて観ることができてただ嬉しかった。今まで陰のある役が多かったが、純粋に恋をする役だったので新たな一面を見ることができた。AO IPro. がきっかけをくださったことにとにかく感謝しかない。
 
 今回の観劇で少し消えていた劇場への興味がわいてきたので少しずつ足を運ぼうかと思い始めた。やっぱり願わくは…であるがそこは信じながら気長に待つかあ。

 孝志と恭子の心情の考察としてもう一つ書くかもしれない。

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