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【TBS:御上先生】霞ヶ関文学を、一般人が会社で使ってみたい
今年1月から始まった、TBSドラマ『御上先生』。
文科省官僚である御上先生の口から滑るように流れ出る言説が、隙なく皮肉たっぷりで、非常に痛快だ。
そんな御上先生が、学年主任の溝端に詰められる場面で『霞が関文学』なるものを披露してくれる。
「僕の記憶が確かなら」「不徳の致すところです」「覚えておりませんので、これ以上のことは申し上げようがありません」「日々、精進してまいります」
御上先生によると、『霞が関文学』とは
・便利で柔軟で、色んなとり方が出来る
・官僚による官僚のための、唯一無二の文学
なのだそうだ。
(”霞が関”は、多くの省庁が集まっていることから、官僚組織のことを指す隠語)
まぁ要するに、官僚がよく使う、人を煙に巻くような言い回しを皮肉っているのだが、
”文学”と定義してしまうあたり、なんて崇高で美しいのだ・・・
がぜん興味がわいて、色々調べてみたところ
霞が関文学とは主に、
後で言い逃れ、責任逃れをしたり、各方面に対し敵を作らないこと等を目的とし、考えようによっては様々な解釈が出来るよう、言葉を曖昧にする手法、と定義されているようだ。
特に政治家が好んで使う文学として『永田町文学』というのもある。
(”永田町”には国会があることから、政治家や政治を指す隠語)
また、似たような意味で『お役所言葉』という言い方もあった。
例文はたくさんあり、どれも耳障りがよく、いかにも頭が良さそうに聞こえる。
が、よくよく考えると、その絶妙な曖昧さと意味不明さが秀逸で、こういった中途半端な表現が許されるのは日本語ならではである、という点からも、非常に趣深い。
まさに、”御上の文学”だ。
アンサイクロペディアにある『お役所言葉』のページが、もっとも種類豊富に例文の記載があり、丁寧にも”日本語訳”までつけてくれているので、ぜひ参考にさせていただきたい。
(日本語を日本語訳するという矛盾がまた、味わい深い)
お役所言葉 - アンサイクロペディア
このように美しい文学が存在することを新たに知った今、
やはり、普段、どこかで使うチャンスはないものかという欲が出てくる。
そこで、例文から、使用頻度が高そうなものをいくつかをピックアップし、
初級~上級に分けて使用場面を想定してみた。
4月からの新社会人にも役立ててもらうことを想定し、どの職位の人間が言っても不自然のないものをピックアップした。
しかし、美しいバラにはトゲがあるように、
暗く静かな海が恐ろしいように、
秀逸過ぎる言い回しは、相手を激昂させる恐れがある。
よって、ここでは出来る限り、使用しても干されない範囲のものに留めることにする。(残念)
ただし、これらも、使いようによっては相手の神経を逆なでたり、本当に頭のいい人に使うと、普通に「意味が分からない」と聞き返されて窮地に陥ることが想定されるので、用法容量は守って服用されることをお勧めする。
【超初級】「等(など)、」
とりあえず様々な単語の後に付けておくことで、そこに無限の可能性をはらむことができる。
他にもいくつか挙げる必要があるが思いつかない場合や、本当は含まれている事だが、あえて口に出したくない場合に有効。(霞が関では主に後者のケースで多用される)
逆に、ぶっちゃけ明確に挙げた事以外何も無くても、罪には問われないので、『等』は、とりあえず何にでも付けとけば安心。
【初級】「前向きに検討いたします!」
上司や顧客からのダメ出しや無理難題に対し、
もはやめんどくせえ場合や、言われたことが意味わかんねえ場合など。
”前向き”という言葉で「私はあなたの言うことを受け入れますよ」と表明し相手に満足感を与えながら、
同時に、何をどうやるかは明確にしないことで、後々、何もしていないことへの免罪符となる。
明るい笑顔と共に、無駄にハキハキと叫ぶのがコツ。
【中級】「総合的に考えて」
会議などで、まったく話を聞いていなかったが、突如意見を求められた場合に使う。
”総合的に”と、それまでの全ての会話や諸事情の存在を認めるだけで、周囲は勝手に「こいつは全て聞いていた、分かっていた」と認識してくれる。
また、”全てを勘案した上で”という意味が入ることで、全体最適を考え意見しているという、頭の良さを匂わせることができる。総合的≒包括的である以上、その後にどれだけフワッとした意見を述べてもOKという、懐の広さも兼ね備えている。
「・・・総合的に考えて、、」のように、発言の前にひと呼吸おきつつ、ゆっくりと喋ることで、発言に見せかけの重さを出すと同時に、この後なんて発言するか、適当に考える時間を作るのがコツ。
【上級】「特段の事情がない限りにおいて」
プロジェクト等で、実は既に「特段の事情」が発生してしまっていて、良くない結果は既に見えているが、それを現時点では言いたくない場合や、
秘密裏に転職活動中で、内定のあかつきには、立つ鳥跡を濁しまくって去るつもりであることを公言したくない場合などに用いる。
イキりたい若者は「イレギュラーマターがなければ」と言い換えてもよいが、霞が関文学特有の趣と自分の信用を同時に失うため、あまりおすすめはしない。
これらの他にも、職種や業種によって、有用である霞が関文学例文は色々あると思う。
頭の良いフリをしつつ責任からも逃れることができるという、一挙両得な文学であるからして、ぜひ添付したリンク先をご参照いただき、皆様の快適な社会人ライフに役立てていただければと思う。
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