朝の散歩で出会う、心温まるひととき
朝の空気がひんやりと肌に触れる。いつものように家を出て、ゆっくりと歩き出す。朝の散歩は、日々の雑多な思いから一歩離れて、静かな時間を感じられる貴重なひとときだ。
玄関を出て歩いていると、少し先にいる猫が目に留まる。いつもの場所で、穏やかに日向ぼっこをしている。まるで、「ここが私の定位置よ」と言わんばかりに、のんびりと座っているその姿。こちらに気づくと、一瞬だけ目を細めて、それからまた、空を仰ぐようにまぶしそうに目を閉じる。私には興味がない、とでも言っているようで、その自由な態度がなんだか愛おしい。
歩みを進めると、今度は尻尾を振りながらこちらに駆け寄ってくる犬がいる。顔を見ると、嬉しそうに目がキラキラと輝いていて、思わず微笑んでしまう。「おはよう」と言わんばかりに、尻尾を大きく左右に振りながら近寄ってくる姿は、心にぽっと温かなものを灯してくれる。何も言わずとも、その小さな動きや瞳が、こちらに寄せてくれる信頼を感じさせる。
猫も犬も、何も特別なことをしているわけではない。猫は陽だまりの中で自分の時間を満喫し、犬はただ「一緒にいるのが嬉しい」とその気持ちを全身で表現しているだけ。でも、その何気ない姿にふとした癒しをもらうたび、「こんな小さなことで心が温かくなるんだな」と思わずにいられない。
静かな朝の散歩道で出会う動物たち。彼らは人間のように複雑なことは言わず、ただその瞬間を生きている。私も少しだけその姿に習い、ただ歩くことに集中してみると、少しだけ肩の力が抜け、心がすっと軽くなっていく。