見出し画像

エヌビディア主導の米国株バブルが崩壊する理由

こんにちは、タコペッティです。今日は、「米国発のAIバブルは崩壊する」というテーマでお話ししたいと思います。

最近、森永卓郎先生の新刊『こうしてあなたはババを引く 投資依存症』という本を読みました。

この本には、現在の投資ブームに警鐘を鳴らす内容が書かれています。そして、特に興味深かったのが生成AIバブルの崩壊に関する部分です。

ということで本日は、米国発のAIバブルが崩壊する理由についてnoteを書いていきます。

「S&P500にさえ投資しておけば、資産は右肩上がり!」なんて妄言を信じている方は、必ず読んでみてください。


AIバブルの主役、エヌビディアの凋落が始まる

米国発、AIバブルの主導株と言えば、皆さんご存知のエヌビディア(NVIDIA)です。

ものすごく簡単に説明すると、エヌビディアという会社は、人工知能に使用されるGPUで8割という圧倒的なシェアを持つ会社です。この会社のすごいところは、直近決算の営業利益率が65%もあるという点です。

一般的なメーカー、つまり物を作って売っている会社で営業利益率が65%というのはまさに化け物級の数字です。

エヌビディアは記録的な高成長を続けており、この成長は永遠に続くと思われています。

「エヌビディアさえ買っておけば、誰でも金持ちになれる!」

とまで言われているほどです。

株クラの間では、「一生一緒にエヌビディア〜🎵」なんて言葉も生まれているみたいですね。

(そもそも、こんな言葉が生まれている時点で既にバブルの兆候があるわけですが)

エヌビディアに見る、バブルの兆候

しかし、ここで重要なのは、「バブルの時期には利益もバブルになる」という点を忘れてはいけないということです。

「エヌビディアのPER(株価収益率)がまだ低いから、エヌビディアはまだ割安だ!」と主張する人が多いですが、彼らはエヌビディアの利益水準そのものがバブルであることを見過ごしているのです。

現在の問題はPERではなく、利益水準が異常に高くなっていることなのです。

技術優位性の限界

では、なぜエヌビディアの利益水準が今後下がっていくと予想できるのでしょうか?

それは、歴史を学べば明らかです。

過去の歴史を振り返ってみると、どんな革新的な製品でも、いずれは競争に巻き込まれ、価格は下がっていっています。

例えば、自動車業界ではかつてフォードが独占的な地位にありましたが、やがてトヨタなどの競合が現れ、価格競争が起こりました。

パソコンも同様です。昔は高価だったパソコンも、今では誰でも手に入れられる価格になっています。これは健全な競争が行われ、企業が利益を削って価格を引き下げた結果です。

エヌビディアも同様に、彼らの持つ圧倒的な技術優位性がなくなり、競争が激しくなったらどうなるでしょうか?

過去の歴史と同様に、価格競争に巻き込まれ、利益水準は低下していくはずです。利益が減少すれば、PERは急激に跳ね上がります。

事実、直近ではアマゾン、グーグル、マイクロソフト、メタらの米大手テック企業は自らAI半導体の開発に乗り出しています。

エヌビディアのGPUに対抗する動きが出てきているのです。

こうした一連の動きはすなわち、価格競争の激化の前兆です。価格競争によって利益水準が低下していけば、エヌビディアも高成長も持続不可能なものになります。

エヌビディアは現在、AIバブルの主導株であり、その決算一つでS&P500などの指数が左右されるほど重要な存在です。

しかし、エヌビディアの高成長がストップし、利益水準が下がれば、市場は高PERを許容できずに株価も下落し、それに連動して米国株指数全体も大きく下がる可能性があります。

ちなみに、名著「ウォール街のランダムウォーカー」には、こう書かれています。

革新的な技術が必ずしも優れた投資対象とは限らない。

例えばアメリカの産業史を紐解けば、1850年代に鉄道は通信及び商業の効率を飛躍的に高めると広く期待され、実際その通りになった。

しかし、そのことは鉄道会社の株価がどんなに高くなってもいいということではない。当時、鉄道株は軒並み投機的な高水準に達し、やがて1857年の8月にバブルが破綻した。

ウォール街のランダム・ウォーカー

もちろん、AIも今後の社会を変えていくと思います。しかし、AI技術の進展は同時に、株価バブルの醸成とその崩壊をもたらすのです。

以上の理由から、米国発の株式バブルはいずれ弾けると考えています。

日本のインデックス投資家は、AIバブルの崩壊で壊滅的な打撃を被る

また、日本人にとってはもう1つ大きな問題があります。

それが、円高です。

※今後、ドルの大暴落による超円高時代がやってきます。その理由についてはnoteに書いているので詳細はこちらをご覧ください。

円高と米国発のAIバブルの崩壊によって、特にアメリカのS&P500などのインデックスに投資している人は大きな損失を被る可能性があります。

ちなみに、森永さんは円建てでS&P500をはじめとする米国株インデックスが90%下落するという試算を出しています。僕自身はさすがにそこまでは行かないと思っていますが、S&P500が円ベースで半分くらいになる可能性は意識しておいた方がよいでしょう。

日本市場も、AIバブル崩壊の影響を免れることはできない

AIバブルが弾けたら、もちろん日本企業も影響を受けることでしょう。

日経平均の構成銘柄を見ても、東京エレクトロンやレーザーテックなど、生成AIバブルの恩恵を受けている企業が多数あります。

これらの企業の利益水準も今後下がっていく可能性を考えると、日本市場も無傷では済まないでしょう。

すなわち、これから米国株にしろ日本株にしろ、インデックス投資の冬の時代がやってくるのです。

「資本市場では、正しい行動もみんながやり始めたらそれは正しくはなくなる」

行動科学と投資

こちらの本には、みんなが一斉にインデックス投資をすると、大量の会社が信念からではなく単なる習慣によって株が売買され、大した情報もないのにPER(=株価収益率 Price Earnings Ratio)だけが上昇し、株価が本当の価値を反映しなくなる、という興味深いことが書かれています。

インデックス投資全盛期、現在進行形のAIバブルによる世界株高は、まさにこれを反映していると言えるでしょう。

今後の投資戦略。米国株指数売り、日本の個別バリュー株買い

しかし、かといって円やドルを保有したままでは、インフレによってその価値は目減りしていきます。

では、どのような投資をすればよいのでしょうか?

僕は、AIバブルとは関係なく、着実に利益成長している日本企業に投資をしていくことをオススメします。

具体的には、東京証券取引所のスタンダード市場に注目しています。

このスタンダード市場には、AIバブルとは無関係で、割安に放置されているにも関わらず成長している企業がたくさんあります。PBRが1倍を割り込み、PERも10倍未満という非常に割安な成長株が多数存在しています。

こうした銘柄に丁寧に長期投資していくことこそが、インデックス全盛期の今、有効な投資戦略となり得るでしょう。

まあ、こうした日本の割安中小型株に投資する手法について詳しくは僕のブログに書いているので、興味のある方はこちらも併せてご覧ください。

ではでは

いいなと思ったら応援しよう!