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野崎に訊く!
野崎 はい、もしもし。
加藤 もしもし。
野崎 こんにちは。
二人 あっはっは。
加藤 いま電話大丈夫かい?
野崎 大丈夫ですよ。
二人 あっはっは。
加藤 血豆は大丈夫?(※野崎君は前日口の中に血豆が出来て喋れなくるというハプニングがありました。)
野崎 大丈夫ですね。お陰様でちゃんと喋れるようになりました。
二人 あっはっは。
野崎 昨日はすみませんでした。
加藤 とんでもない。
野崎 ご迷惑をおかけしました。
加藤 いえいえ。
二人 あっはっは。
加藤 では早速、『野崎に訊く!』ということで、色々聞いていきたいと思うので、よろしくお願いします。
野崎 よろしくお願いします。
加藤 じゃあ早速なんですが、野崎君は今日何をしていたの?
野崎 今日は午前中ちょっと外に出てましたね。
加藤 おお。外というのは?
野崎 上野とか日暮里とか、あの辺りに行っていたんですけど、写真を撮りに行ってました。
加藤 へえ、そうなんだ。
野崎 そうですね。次の『野崎が行く!』は東京編を予定しているんですけど、写真集的なものにしようと思ってて、今日は早朝から上野とか日暮里辺りに撮りに行ってましたね。
加藤 そうなんだ。そうだよね、『野崎が行く!』最新刊は東京編ということで写真集になるという話だったんだけど、やはり東京一帯を写真集にするという感じなの?
野崎 そうですね。大体二十三区で、一応今日で撮影を終えた感じなんですけど、極端に言うと家の近所から始まって、例えば阿佐ヶ谷の方まで行ってみたりとか、あと山手線とかですかね、東 京駅とか。二十三区を隈なくというか、広範囲で撮ろうかと思いまして。
加藤 大体何頁くらいになる予定なの?
野崎 どうですかね。撮影自体は多分フィルムで三百枚くらい撮っているんで。
加藤 そんなに(笑)。
野崎 そうなんですよ(笑)。けど、どうですかね。今まで通りにホチキス留めだったら全然頁が足りないので、三百枚の中から六十枚くらいchoiceして、今まで通りホチキス留めにしようかとも思ってますけど。
加藤 大体ホチキス留めだったら何枚くらいが限界なの?
野崎 多分六十頁くらいじゃあないですかね。
加藤 六十頁なんだ。
野崎 はい。いま作っているのがB5用紙に印刷してそれを折り曲げてB6サイズになるじゃあないですか、B5用紙十五枚くらいが自分の持っているホチキスの限度みたいで、それであれば合計六十頁くらいですね。
加藤 そうか。なかなかホチキス留めだと制限があるね。
野崎 そうですよね。それか写真を数多く載せる場合は本のサイズを一回り大きくして、そうしたら一頁に写真二、三枚とか載せることができると思うので凝縮されたレイアウトになるかと思います。サイズもいま検討中ですね。
加藤 写真集だったら大きくてもいいかもね。
野崎 そうですね。大きい方がよさそうだし、紙も替えてみたいですね。とりあえず現像して出来上がった写真を見てからですね。
加藤 へえ。いつ頃発売予定?
野崎 五月中には出したいですね。多分いけると思います。
二人 あっはっは。
加藤 コンスタントに出してるね。
野崎 そうですね。続けたいですね。
加藤 『野崎が行く! アジア諸国編』と『競馬感覚 最終号』の売れ行きはどう?
野崎 売れ行きはまずまずじゃあないですかね。ううん、そこまで最近書店と連絡を取り合っていないので詳しい数字は分かりませんが。何気に手持ちの在庫はあんまりないので、そんなに急激にではないですけどじわじわと売れているんじゃあないですかね。
加藤 『野崎が行く! アジア諸国編』は凄いお買い得で大人気だと思うんだけど、即完みたいな感じなの?
野崎 即完まではいかないと思いますよ(笑)。
加藤 そうなんだ(笑)。あのボリュームで二百円は凄いと思うけどね。
野崎 はい。結構書きましたね。
加藤 ZINEとしては野崎君の言うように、低価格で高品質、をまさに体現したような。
野崎 ありがとうございます(笑)。儲けようとはせず、今風で言う「コスパ最強」の精神でお届けしたいとは思っていますね。自分なりにパンクの精神でもあるんですよ。
ー商店街の静けさとか、閑散、とか好きなのかもしれないですね。
加藤 じゃあ今日は午前中は上野辺りに出掛けていたんだ。
野崎 そうですね。早朝なのでまだアメ横とか商店街は全然店開いてなかったんですけど、逆に良かったかなと思って。Closeしている感じというか、まだ街が起きていないというか、大体店のシャッターは閉まってましたけど、それもそれで絵になるなあと思いつつ巡ってました。
加藤 写真好きだよね、野崎君。
野崎 写真好きですね。
加藤 いつも撮ってるもんね。
野崎 大体撮ってますね(笑)。カメラも同じ機種のものを十五年くらい使っていますね。旅行とか遠出するときには必ず持っていくようにしてますね。
加藤 どういう写真を撮りたいと思うの?
野崎 最近は何気ない日常的な感じですね。生活感と言いますか、割と淋しい感じとかが好きなのかもしれないですね。
加藤 つげ義春みたいな(笑)。
野崎 そうでしょうね(笑)。商店街の静けさとか、閑散、とか好きなのかもしれないですね。それこそ温泉地とかもそうなんですけど、ひなびた、とか堪らないですね。華やか、の裏返しの気がするんですけど、そっちの方が撮っていてしっくりくるのはありますね。
加藤 野崎君の視点から見た写真集なんてのは面白そうだよね。
野崎 人によってシャッターを押すポイントは異なると思うんで僕の場合はですけど、なんとなく、昭和、とかそういうのに惹かれる部分はあるのかもしれないですね。
加藤 無線綴じで写真集を作るのは考えたりしない?
野崎 無線綴じですか? 無線綴じ、ってどういう製法でしたっけ?
加藤 単行本や文庫本みたいな。
野崎 ああ、はいはい。無線綴じは厚みとか出すときによさそうですよね。無線綴じってやっぱり発注するんですか?
加藤 そうだね。業者の方に発注してお願いする形になるんだけど、やっぱりホチキス留めより手間が掛かるということでお金の方も高くなってくるという。
野崎 そうですよね。確かにこの前の『野崎が行く! アジア諸国編』も結局二冊みたいな感じだったと思うんですけど、それも頁の問題で綴じれなかったというのもありまして、百頁とか出すときは無線綴じの方がいいなとは思いましたけどね。
加藤 業務用のホチキスを買うのもいいかもしれないね。
野崎 一回り大きいホチキスですよね?
加藤 うん。それでホチキスの針も業務用のものを。
野崎 そうですね。それも考えてます。
加藤 最近の雑誌は多いよね。
野崎 確かにそうですよね。雑誌で頁の多いものでも大きいホチキスで綴じてるのもありますよね。あれは便利そうです。
加藤 一台あれば便利かもしれないね。
野崎 そうですね。あと今回は写真メインで考えているので用紙も変えたいですね。あの艶々してる写真の用紙は何という用紙でしたっけ?
加藤 多分、コート紙、かな。
野崎 ああ、はいはい。確かにコート紙だったら良さそうですね。
加藤 うん。じゃあ四月は編集作業?
野崎 そうですね。これから現像して、choiceして、レイアウト考えてって感じですかね。
加藤 あっはっは。そうか。そう言えば、カレー屋さんで修業する話はどうなったの?
野崎 カレー屋はですね、没になりました。
加藤 そうなんだ(笑)。
野崎 そうなんですよ(笑)。一応メールで内定はもらったんですけど、その後なかなか連絡が付かないのもあったりしまして、内定もらって、連絡下さい、とのことで連絡したところ二、三日連絡が取れなくて、改めて詳しい勤務時間とかの確認をしたんですけど、やっぱり条件が合わなくて。というのは細かく言いいますと、月曜から土曜の週六勤務で毎日長時間労働だったんですよね。それは分かってたんですけど、月曜から土曜の勤務で朝の十時から夜の十時半まではちょっと働き過ぎかなと思って。
加藤 ええ。長いね。
野崎 長いですよね。十二時間半拘束じゃあないですか? その中で求人に、シフト制、と書いてあったので、例えば九時間勤務だとして、朝一で十時に出勤したら十九時くらいに帰れると思ったんですよ。それか、午後の一時に出社してラストまでとかで、早番と遅番のシフトで回すのかなあと思ったらそうではなかったみたいで、もう完全に毎日十時から二十二時半の固定で拘束らしくて。まあその間、勿論九十分休憩はあるんですけど。一日に十一時間勤務なんですよ。一日に十一時間勤務で週六だったので、多分体持たないだろうなあと思って止めました。
加藤 そうなんだ。十一時間も同じ店の中にいたら気が狂いそうだよね。
野崎 そうですね。厨房とかも狭い空間だったので、しんどそうでしたね。シフト制だったら、ちょっと早く帰れる、とかで良かったんですけど。openからcloseまでそこにいなきゃいけないみたいだったので、厳しいかなと思いまして。というよりも店側も従業員の健康のことを少しは考えてほしいですよね。
加藤 そうか。
野崎 最終的には、東京を脱出して静かな所で美味しいカレーを提供する喫茶店をやろうかと思ってます。カレー屋修業は通過点ですね。まあ他に働きたいカレー屋がいくつかあるので、明日以降当たってみようかなと思ってますね。そんな感じです。
二人 あっはっは。
ーやっぱりどこかしら常に、バンドやりたい、というのはありますね。
加藤 じゃあ今度は最近の野崎君は普段どんなことを考えているの?
野崎 普段ですか? ううん。以前より、お金や時間に関して考えるようになりましたね。暮らし全般ですかね。イメージしている理想の暮らしを目指したいというか。
加藤 音楽はよく聴いてるの?
野崎 聴いてますよ(笑)。
加藤 前にお薦めしてもらったCharlie Marianoのアルバム『Bangalore』、凄く良かったよ。
野崎 良かったですか(笑)。あのアルバム、イっちゃいますよね。上品ですよね。
加藤 他にお薦めはある?
野崎 割と最近はジャズのトランぺッターのDon Cherryですかね。
加藤 Don Cherry。ちょっと待ってね、いま調べるから。おっ、出てきた。アルバム結構出てるんだね。Youtubeでも長い動画upされてるね。へえ、ジャケットが凄い個性的だね。
野崎 そうですね。Don Cherryでも1970年代ぐらいまでのアルバムは結構本気のジャズなんですよ。本気のジャズって正直あんまり聴けなくて(笑)。72年以降になってくるとインドとか東洋の影響を受け出して、作風にそれが表れているんですよね。その辺が凄く好きなんですよね。
加藤 1975年というと『Brown Rice』というのが出てくるね。
野崎 『Brown Rice』良いですよ。『Brown Rice』とか滅茶苦茶格好良いと思いますね。
加藤 この辺から東洋の?
野崎 そうですね。東洋思想が表れていると思います。その他にもアルバム名で『チベット』というアルバムがあるんですけど、その辺もかなり格好良いですね。
加藤 74年に『Eternal Now』というのが。
野崎 ああ、それも良いと思いますよ。その辺ですね。
加藤 これもジャケット格好良いね。へえ。他にお薦めは?
野崎 他にはよく聴いているのはジャーマンロック界隈ですかね。クラウトロックですよね。その辺は昔からずっと好きですけど、最近好きなのはEmbryoとかですね。
加藤 エンブリオ。ちょっと待って、いま調べるから。
野崎 Embryo、って、胎児、という意味です。Embryoはバシバシプログレ感漂ってて格好良いと思いますよ。
加藤 Youtubeだと出て来ないね。
野崎 Embryoはあれですね、E、M、B、R、Y、Oですね。
加藤 E、M、B、R、Y、O。あ、出てきたね。これも結構アルバムがupされてるね。へえ、是非聴いてみるよ。70年代のミュージシャンなのかな?
野崎 そうですね。Embryoは70年代前後に結成されたと思います。現役みたいで、数年前に高円寺のU.F.O.CLUBに来たらしいですよ。僕行ってないんですけど(笑)。いま来てたら行ってますね。その頃はあんまりハマってなかったんですよね。
加藤 へえ。これもジャケットワークが凄いね。
野崎 格好良いですよね。Embryoは、ジャズプログレ、みたいに言われているのかな? ジャズロック、かな? 無国籍ジャスロック、とも言われているらしいです。
加藤 そうなんだ(笑)。これは良いものを訊いたね。
二人 あっはっは。
加藤 執筆の際に聴いてみるよ。
野崎 あっはっは。Embryoはプログレ過ぎて全然落ち着かないと思いますよ。
加藤 あっはっは。そうなんだ。
野崎 バタバタしていて、変拍子とか。
加藤 変拍子なんだ?
野崎 時々変拍子みたいなものもありますよ。全然リラックス出来ないかもしれません。
加藤 へえ、いいね。最近もよくレコードを購入しているの?
野崎 レコード買ってますね。
加藤 いいね。野崎君、南ドイツ(Minami Deutsch)、というバンドをやってたと思うんだけど、最近の南ドイツの活動はどうなんだい?
野崎 相変わらず活動はしていると思うんですけど、やっぱりコロナの影響で制限は掛かったみたいで、コロナがなければ海外ツアーは引き続きやっていたんじゃあないですかね。まあ、コロナが収まったら来年辺りツアーするんじゃあないですかね。継続的に活動は続いているみたいです。
加藤 そうか。連絡は取ったりしているの?
野崎 連絡は時々取りますね。きょうちゃん(※南ドイツのリーダー)とは取ってないんですけど、他のメンバーのギターとベースが東京に住んでいるので。
加藤 東京に住んでるんだ?
野崎 はい。その二人は東京に住んでいて、時々連絡取ってますね。けどもう一年くらい会ってないですね。コロナの影響もあったし。
加藤 きょうちゃんがドイツに住んでるんだ?
野崎 きょうちゃんはドイツみたいですね。ベルリンに住んでいるらしいんですけど、向こうに行ってからは全然連絡取っていませんね。ベルリンに住んでいるらしい、ということしか僕は分からないですね。
加藤 そうか。また南ドイツみたいなバンド、やろうとは考えたりしない?
野崎 やりたいですね。やっぱりどこかしら常に、バンドやりたい、というのはありますね。ジャーマンロックでもいいですし、レゲエバンドとかもいいですね。
加藤 あっはっは。気軽なのがいいよね。
野崎 レゲエ格好良いですよね。
二人 あっはっは。
加藤 ドラムはやってる?
野崎 ドラムはあまりやってないですね。年に二回くらいじゃないですか。
加藤 オリンピックみたいだね(笑)。
野崎 オリンピックみたいなもんですよほんと(笑)。全然やってないですよ。一人でスタジオ入って一人で練習ですね。メトロノーム聴いてですね。
加藤 いま音楽スタジオはどうなんだい? コロナの影響というのは?
野崎 ねえ。まあ開いてるとは思いますけど、厳しいんじゃないですかね、経営的にも。バンドマンも年々減ってるというのは聞いてたんですけど、それにコロナの影響もあって店の経営もヤバそうだし、皆バンドやってる場合じゃないのかもしれませんよね。練習したところでライブも出来ない状況ですし。
加藤 そうだよね。ライブハウスに出演出来ないとなると、スタジオなんかも使う頻度も少なくなっちゃうよね。昔なんかはスタジオよく入ってたのにね。それこそ、インドアーズ(※野崎君が組んでいたバンド)、のときなんかは。
野崎 ねえ。やってましたよねえ(笑)。凄いですよね、いま思ったら。普通にスタジオ週四とかで入ってましたからね。仕事終わった後に自転車でスタジオ行って練習してたりしたんで。いまは十九時前には絶対に家に居る感じなので。大分生活が変わったなあと思いますね。
加藤 そうだね。前は頻繁にスタジオに入っている感じだったもんね。
野崎 スタジオに入って自分がライブをしたり、友人のライブを観に行ったり。出歩いたりしてましたからね。帰りも遅かったり。
加藤 住んでいたのは中野のなんてアパートだっけ?
野崎 寿楽荘ですか?
加藤 寿楽荘(笑)。
野崎 実は昨日あの近くに行ったんですよ。その辺りとか、ZINEの制作で中野、高円寺、阿佐ヶ谷とか写真を撮りに行っていて。折角だから丸の内線の新中野で降りてみようと思って、新中野辺りとか、鍋横あるじゃあないですか? あの辺りをウロウロしてましたね。
加藤 そうなんだ。よく泊めてもらったもんね。寿楽荘、懐かしい。
野崎 懐かしいですね。
加藤 寿楽荘見に行った?
野崎 昨日は見に行ってないですけど、この前見に行きました。意外と昔住んでいたところに行っているという(笑)。
加藤 新しい住人は入ってた?
野崎 入ってましたね。生活感ありましたよ。
加藤 あっはっは。鍋横祭り、とかあったよね。
野崎 ありましたね(笑)。
加藤 南ドイツで出演していたよね。
野崎 そうですね、覚えてます。時が経つと夢のようですよね。あの日々が。
加藤 何年前だっけ?
野崎 六、七年前ですかね。2014年、2015年くらいじゃあないですかね。
ー市場とかに行くとアジアの人たちは逞しいなと思うんですよね。
加藤 盟友・カルロス(※インドアーズのリーダー。野崎君とは高校時代の同級生)とは会ってる?
野崎 最近会ってないですね。会ってないですけど、この前手紙が来ました。ZINEを送ったら、ありがとう、という手紙が来たんですけど、使いかけのQUOカードが入ってました(笑)。
二人 あっはっは。
野崎 500円のQUOカードで、残高が350円くらいでした(笑)。
加藤 あっはっは。カルロスはいま何をしているの?
野崎 おそらく俳優業じゃあないですかね。
加藤 へえ。Twitterで、『あの頃。』という映画に出演した、というツイートを見て。
野崎 色々出演しているんでしょうねえ。
加藤 あんまり連絡は取ってない?
野崎 そうですね。最近何してる? という連絡は取ってないですね。多分二年近く会ってないですね。それこそコロナの影響か分からないですけど、ここ一年くらい僕自身あまり友人と会ってないですね。
加藤 そうだよね。外の店で会うのも少なくなったからね。お花見はした?
野崎 お花見してないですね(笑)。近所で見ましたけどね。もう葉桜になってましたね。
二人 あっはっは。
加藤 本はいまどんな本を読んでいるの?
野崎 夫馬基彦さんの本ですかね。もう七十歳くらいの方かな、70年代の、元祖バックパッカー、みたいな。有名なのが『熱と瞑想 あるインド紀行』とか『印度巡礼』とか。僕が最近読んだのが、2006年くらいに出版された『按摩西遊記』という本なんですけど、昔バックパッカーをされていた夫馬さんが五十肩を患っているらしく、五十肩を抱えつつも旅行に行った話とかが書かれていました。自分も五十代、六十代になると病を患いながらも海外に行くのかなと思いながら読みましたね。
加藤 へえ。やっぱり読む本は旅行記が多い?
野崎 旅行記が多いですね。元々蔵前仁一さんが好きで、蔵前さんの作品を読んできました。あとは旅行記ではないですけどやっぱりアジア物が多いですね。例えば雲南省やラオス、タイ辺りに暮らす少数民族の刺繍の本とか、インド奥地の壁画アートの本とか。そちら方面に自然と寄せられてゆくというか。
加藤 西洋よりは東洋に惹かれる?
野崎 そうですね(笑)。昔からそうですけどがっつり東洋になっちゃいますね。西洋には行ったことがないので行ってみたいんですけどね。
加藤 野崎君は二十代の頃から東洋的なものに惹かれていたよね。東洋の何に惹かれるのだろう?
野崎 なんですかねえ。人間味、があるんですかね。、人間臭さ、というか。市場とかに行くと猛烈に反応する自分がいるんですよ。タイとかラオスとかに市場はあると思うんですけど、路上で野菜を売ってる、とか、魚を売ってる、とか。そういう所に突っ込んで行くのが好きで(笑)。
加藤 それは分かるね(笑)。
野崎 やっぱりエネルギッシュな感じなんですかね。その場所のエネルギーというか、空気感というか。市場とかに行くとアジアの人たちは逞しいなと思うんですよね。勿論西洋にもあると思いますけど。西洋だと、美しい、とか、綺麗、とか、勿論美しい風景も好きですけどね。そういう感情が先行してしまうのかな。アジアだとどこでも商売始めちゃったりとか、屋台とかもいいですよね。台湾の屋台とか。
加藤 路地の商売が多いよね。勝手に店を広げちゃったりして。
野崎 それが好きなのかもしれないですね。タイとかもそうだと思うんですけど、屋台文化じゃないですか? あの感じが好きなのかもしれないですね。
加藤 いまの日本だとまず考えられないよね。
野崎 そうですね。まず最初に、扉を入って、というのが第一だと思うんですけど、扉を開けて店に入店する感じじゃないですか? 東南アジアだったら外に店があるから、そこでサクッと食べてとか出来ると思うんですけど。まあ気候や四季の関係で日本では難しいかもしれないですけどね。
加藤 僕も西洋より東洋に惹かれる傾向があって。不思議だよねえ。
野崎 そうですねえ。もしかしたら西洋から見ると東洋って、渋い、のかもしれないですね。華やかじゃあないけど趣があるというか深いというか。特に日本なんてアジアの中でも特に渋い印象がありそうですよね。禅の世界とか渋いじゃないですか。インドのブッタガヤに行ったときなんですけど、インドのブッタガヤって色んな国の仏教寺があるんですよ。例えばタイの寺は華やかだなあとか、チベットの寺もイメージ通りなんですけど、日本の寺って渋いんですよ。全然華やかさも無いし、ただそこに在る、目立たない、みたいな。けどよく見ると凄いなあと思いましたね。宇宙観、といいますか。日本の渋さ。盆栽とか外国の人は好きじゃあないですか? あの感覚ですよね。全然華やかじゃあないけど、こみ上げてくる感覚みたいな。ただ単に金ピカで立派なのが良い訳ではなくて、渋さがあるものが格好良いというか。金沢の兼六園とかもそうだと思うんですけど。あのイメージですよね。石と緑と、みたいな。僕が日本人なので自国の文化に馴染みがあるのは当然なんですが。
加藤 あっはっは。『野崎が行く!』で言うと第一作目のミャンマーがいま大変なことになっていて、連日ニュースになってるよね。旅行に行った身からしてどう思う?
野崎 そうですね。正直社会背景が分かっていないところがあるので。知らなきゃいけないというのはあるんですけど。僕が行ったときは安心して旅行することが出来たので平穏な国だと思っていましたが。いま大変ですけどね。
加藤 一般人が射殺されるような。いまのような感じではなかった?
野崎 ないんでしょうね。信じられないです。
加藤 早く収束するといいね。
野崎 はい。
加藤 また訪れてみたい?
野崎 機会があれば。
加藤 いま行ってみたい国は?
野崎 インド、ネパールは行きたいです。インド、ネパールに行きたいというのは常にあるんですけど、それとは別にバリ島にも行ってみたいです。バリ島は本来新婚旅行で計画していたんですけど、コロナで行けなくなってしまったので。そのうち行きたいなとは思います。バリ島って華やかなリゾートのイメージがあると思うんですけど、バリ島のデンパサールには昔のバックパッカーの通りというか、そういう所も残っているらしいので、デンパサールには行ってみたいです。まあおそらく子供がいても旅行のスタイルはそこまで変わらない気がします。勿論宿とかは予約して行くと思いますけど。
加藤 へえ、バリ島かあ。ネパールはどうして?
野崎 そうですね。ここ十数年で海外を色々回ってきたんですけど、個人的にインド亜大陸が好きだなあというのは思っていて。ネパール、インド、スリランカとか、あと行ったことはありませんが、バングラディシュもそうですね。タイとか東南アジアも何度か行きましたけど、やっぱりまた行きたいなあと思うのはインド亜大陸になりますね。
加藤 じゃあコロナが収束したらバックパッカーに逆戻り?
二人 あっはっは。
野崎 あとは、派生の旅、ですかね。妻と子はバリ島に行った後に先に帰ってもらって、僕だけインドに行く、みたいな(笑)。まあ妻もインド、ネパールとか、基本的に海外が好きだと思うので、やっぱり行くなら一緒に行くのかなあ。妻も多分どこでも行ける性格だと思うので。
加藤 あっはっは。野暮なことを訊くようだけど、野崎君がバックパッカーを始めようと思ったきかっかけは?
野崎 きっかけですか? きっかけは一言で言うと、本能、ですかね。行きたいから行く、ようなものだと。あんまりそういうことを考えたことがないかもしれないですね。東南アジアやインドに行く前から思っていたのは、写真集や本を読んでいて、絶対好きだろうなあと思っていたんですよ。行ってみたら絶対受け付けないことはないだろうなあと旅行に行く前から思ってましたね。旅行に行ってその国を嫌いになることはないんんじゃあないかと。
加藤 へえ。お決まりな台詞で、答えを見つけに、というのではなく、ただ行きたい?
野崎 行きたいというのもあるし、実際行ってみて肌で感じないと、国の雰囲気とか分からないと思うので。そういう所に身を置いて、自分はどう感じるのか。観察じゃないんですけど。基本的に汚いのとか大丈夫なんで(笑)。そういう拒否は反応無いなと思ったんですよ。アジアって汚いから嫌だ、という方もいると思うんですけど、逆にwelcomeと言ったら失礼ですけどそっちの方がアガるというか(笑)。そう考えると日本って綺麗過ぎるじゃあないですか? 綺麗過ぎると思うので、東南アジアやインド亜大陸の方がストレスが無いのかもしれないですね。より自然に近い状態というか。日本みたいに細部まで整備されていないと思うので。バイクでもノーヘルで走っているとか、三人乗りも普通じゃあないですか。そういう体験をした方が自分の視野も広がるんじゃあないですかね。海外に行って自国を見直すじゃないですけど。
加藤 単純に、知りたい、という知的好奇心なのかもしれないね。
野崎 そうですね。知的好奇心ですね。海外に限らず国内旅行でもそうですよね。現地に行ってみないと何も分からないですよね。写真だけじゃあやっぱり分からないですよね。
加藤 それはよく分かるなあ。ただ一説にはコロナが収束するには二、三年はかかると言われているね。コロナに関してはどう思う?
野崎 確かにそのくらいはかかるかもしれませんね。けど僕は、ステイホーム、とか逆に大事な時間だとも思ってますね。一回立ち止まって考え直す時間といいますか。勿論コロナが流行して病気になっていいという訳ではないですし、それは悲しいことではありますけど、社会的に一回見直す時間にもなっていると思います。働き方といいますか、賃金の得方といいますか。
ー自分で作ったカレーが全然美味しくないんですよ(笑)。
加藤 ステイホーム中のマイブームはある?
野崎 マイブームですか? ううん、いま息子が二歳半なんですけどちょうど子育てのタイミングでもあるので、夜に遊びに行くのが難しいのもあるし、まあ家に居る生活で満足出来ているというか。勿論旅行とか行けたらいいと思いますけどね。けど日常的だったら一人でふらふら遊びに行くのは難しいので。子供を連れて夜遅くまで外に行けないと思いますし、ちょうどコロナのタイミングでもあるので、自分の生活に打ち込めているというか、あんまり外に出なくなりました。
加藤 前は凄い外に出ていたよね。
野崎 出まくってましたね(笑)。
加藤 時間さえあればイベントに参加してた。
野崎 そうですね。そう考えるとこの時間を使って料理の一つくらい覚えた方がという考えになりましたね。ZINEの制作もしたいし。外に出れる自由があるとあっちこっちフラフラ行っちゃいますので(笑)。それが自分の問題点だとも思っていました。ステイホームでもそれなりに満足出来ているかと思います。
加藤 そうか。野崎君はお酒を飲まないけれど、何か理由がある?
野崎 僕は元々体質的に飲めないんですよ。一口飲んだらすぐに顔が赤くなって、気持ち悪くなるので。
加藤 飲んでみたことはある?
野崎 あります。学生の頃は飲み会とかあるし、音楽イベント、クラブとかで1ドリンクを背伸びして飲んでみたりしましたけど、あまり美味しいと思えなかったし、それで楽しいとなったことがないので、途中から飲まなくなりました。酒はもう五年くらいは飲んでないです。
加藤 そうなんだ(笑)。昔から飲まないなあとは思っていたけど、そういう理由だったんだね。
野崎 加藤さんはお酒好きですよね。
加藤 好きだねえ。ただもう飲めなくなっちゃったから。去年の五月に入院してから、ずっと飲んでないねえ。話は戻るけど、明日からは別のカレー屋さんを探す?
野崎 そうですね。
加藤 目ぼしいお店は見つかっている?
野崎 そうですね。昨日食べに行ってたんですよね。下見と言ったらあれですけど。食べたことがなかったので、どういう味かなあと。
加藤 そのお店はインドカレー料理屋さんなの?
野崎 そこはスープカレーなんですよ。北海道発祥と言われていて。出汁が効いてますね。スープに出汁が効いているカレー。
加藤 そうなんだ(笑)。カレーで出汁が効いている?
野崎 それがスープカレーじゃあないですかね。鶏出汁とかじゃあないですか?
加藤 へえ。スープカレーとは珍しいね。
野崎 そうですね。けど意外と東京にもお店があったりして。僕も一年に一、二回は食べてますね。
加藤 葛西と言えばインド人の方が多く住んでいるという話を聞いたことがあるけど。
野崎 多いですね。家のアパートの下の住民もインド人ですよ。一部屋に何人住んでいるのか分からないくらい人が住んでいるみたいで、毎回出て来る度に顔が違うんですよ(笑)。五、六人くらい住んでいるんじゃあないですかね。
加藤 大変だよね。日本で住むとなると。やっぱりインド人の方が屯している場所がある?
野崎 ありますね。スーパーとかで家族連れをよく見かけますし、インド食材店でインドの方が買い物してます。
加藤 お店は出している?
野崎 カレー屋はかなりありますね。密集しています。西葛西とか。なにかで読んだんですけど、パソコンの、2000年問題、ってあったじゃあないですか? 2000年になった瞬間にパソコンの表記がバグってしまうのを回避する為に日本の会社がインドのバンガロールからITに強い方々を呼んだという話ですね。そのとき日本の会社が日本橋や大手町に多くて、東西線一本で通勤出来る葛西や西葛西に人を呼ぼうということで。初め三組くらいが家族で来たらしくて、それからどんどん増えていっていま五千人くらいが住んでいるとか。それでそのインドの方がベジタリアンの方が多くて、日本では食べれる料理屋が少ないし食材店も余りないからというのでどんどん店を開いて、いつの間にか、リトル・インディア、みたいになったそうです。
加藤 そんな歴史があるんだね。野崎君にとっては嬉しいことじゃあない?
野崎 そうですね。僕もよく買い物しているので有難いですね。スパイス屋も結構あるので。
加藤 カレーを作る?
野崎 作ってますけど自分で作ったカレーが全然美味しくないんですよ(笑)。食べれますけど、作る度にいつも首を捻ってしまうんですよね。流石に最初からお店の味みたいに出来ないと思いますけど、辛過ぎたとか、味にまとまりがないとか、とにかく食べにくいカレーになってしまうんですよね。
加藤 食べにくいカレー(笑)。一から作る?
野崎 そうです。レシピ本見て作りますけど、上手くいかないんですよね。上手くいくときもあるんですけど、まぐれですね(笑)。
加藤 葛西に住んでインド人のお友達はできた?
野崎 いやあ、いないですね。それこそ下の住民とか友達になれるかもしれないですけど。普段はそのような方はいないですね。
加藤 そうかあ。じゃあカレーもいま修行中?
野崎 そうですね。作れたらいいですよね。
加藤 やっぱり難しいもの?
野崎 難しいですね。けど割と最近一周してきて、日本のカレーが美味しいと思ってきました。元々ジャワカレーやバーモンドカレを食べて育ってきたんですけど、一旦インドカレーにハマって、インドカレー滅茶苦茶食べて、一周して最近日本のカレーが美味しいなあと思ってきて。店名で言うと例えば新宿中村屋とか、御茶ノ水のエチオピアとか。本気のインドカレーではなくて、日本人がスパイスを取り入れて作ったインドカレー、みたいな。一言で言うと食べやすいんですかね、そっちの方が。自分でスパイスを使って作ると何故か胃がやられるんですよね。自分のカレーで自分がやられるみたいな。なのでエチオピアみたいなカレーが最近好きですね。イメージあれですね、ランプに入っているカレーみたいな。あの感じが好きですね。ビーフカリー、チキンカリー、みたいな。洋食屋のカレーかもしれないですね。胃に負担がなくて辛くない感じの。
ー『野崎が行く!』はお爺さんになるまでやり続けようと思います。
加藤 本の話に戻るんだけど、旅行記以外で読む本はある?
野崎 そうですね。雑誌だと『Spectator』とかですね。『Spectator』は僕の中でmustですね。編集の方がおそらく一回りくらい年が上なので、僕はリアルタイムで購読し始めた訳じゃあないんですけど、バックナンバーを見たら元々自分の興味がある特集が多かったんだなあと。それでバックナンバーを買ったりしてますね。
加藤 そう考えると同年代のモリテツヤ君(※野崎君の盟友)が載っているのは凄いよね。
野崎 そうですね。この前、土のがっこう(※『Spectator』47号)、で載っていたので凄いですよね。
加藤 『仕事文脈』も読んでいると言ってたね。
野崎 読んでますね。
加藤 ZINEは買ったりする?
野崎 ZINEは好きなのでねえ、ちょくちょく買うんですよ僕は。ZINEを買うハードルはかなり低いですね。ZINEというメディア自体が好きなので、すぐに買っちゃいますね。勿論興味のあるものですけど。
加藤 模索舎とか?
野崎 模索舎とかタコシェとかですかね。
加藤 最近購入したものでお薦めはある?
野崎 シカクで買ったんですけど、建築の写真集で、大阪のあの感性は変態だなあと思って(笑)。シカクのホームページを見たら関東で取り扱いがない商品が多かったんですよ。好みの本がたくさんあって、二十冊くらいポチっちゃいました。『昭和街道』。写真集ですね。日本全国古い街並み巡り。高密度建築群。それこそさっきの、話が戻ってしまいますけど、古い建物や商店街の朽ちてる感じの写真集ですね。岡山、鳥取、島根とか西日本が多いみたいですね。
加藤 シカクは写真集系が多いよね。
野崎 そうみたいですね。視覚的に楽しめる、ということですかね(笑)? 僕的には視覚的に楽しめてますね。あと滅茶苦茶小さい本で、『金沢民景 金沢の路上で見つけた腰壁』。これは多分金沢の一般家屋の写真集なんですけど、バルコニーの特集とかあります。百円だったかなあ。バックナンバー含めて五、六冊ポチりました。これは良かったですよ、片手で持てるサイズで。おそらく街歩きをしてバルコニーの写真を撮って、二百文字くらいで一頁をまとめている本です。全部で十三カットとか、十五頁あるのでサクッと読めて、写真と文章があって、造りも良いですよ。フルカラーでデザインが良くて。
加藤 いいねえ。『野崎が行く! 東京編』はフルカラーにする予定?
野崎 イメージは白黒で考えてます。
加藤 白黒もいいよね。
野崎 そうですね。まあ半々ですね。あえて白黒という手法もありますが、多分予算的にも白黒になると思います。フィルムで撮っているので、フィルムの現像の出来次第ですね。どれだけ撮れているかというのはありますね。
加藤 やっぱりデジタルとは違う?
野崎 違いますね。デジタルは写りがのっぺりしている感じがするんですけど、フィルムだと凹凸があるんじゃあないですかね。僕は凹凸の方が好きなので。バシッとくるのが撮れているといいんですけど。現像が楽しみですね。
加藤 音楽系のZINEも出したいと言っていたけど。
野崎 音楽系はジャーマンロックで考えています。ジャーマンロック二十選みたいな。いま作業はストップしてますね。パソコンがあれば進みそうですけど、パソコンがあれば打てるなと思うときがあるんですけど、パソコンが無いので進められないと言ったら言い訳ですけど。まあネットカフェとかを利用するという手もありますけどね。
加藤 2021年にパソコンを持っていないのは凄いね。
野崎 昔からデジタルには無頓着というか、パソコンもそうだし、疎いですね。テレビも見ないし、オーディオも二十年近く同じものを使っているので。
加藤 作業するには手書きよりは進めやすいよね。
野崎 パソコンの方がノリますもんね。
加藤 逆に手書きが凄いよね。
野崎 手書きは書いてしまったら文章の組み替えが出来ないですよね。けどこの前思ったんですよ、小学生の頃書いた読書感想文って手書きじゃあないですか? パソコンで言うところのカットして貼り付けしたりというのが小学生の読書感想文では出来ないなあと思いました。ただ僕のZINEは原稿用紙に書いてそのまま発表するようなものかなあとも思いました。実際作業的にはカットして貼り付けは出来た方が良いと思いますけど。
加藤 いやあ。手書きであれだけZINEを作っているのは凄いと思う。
野崎 この前は百頁弱で『野崎が行く! アジア諸国編』を書きました。百頁も、それだけの量があると思うと戻れないし、ひたすら突き進むしかないですよね。まああれはあれであんな感じになりました(笑)。
加藤 あっはっは。では最後にこれからの『野崎が行く!』の展望を訊かせてもらえる?
野崎 はい。とりあえず『野崎が行く!』はお爺さんになるまでやり続けようと思います。
加藤 ライフワーク的な?
野崎 はい。一号が出たのが2014年だったので、なんだかんだいってもう六、七年くらいやってますね。そう考えたらお爺さんになるといっても、例えばお爺さんの年齢が六十歳だとしたら、今年三十五歳になるのであと二十五年ですよね。おそらく続けていると思います。続けていると思うし、出掛ける度に制作すると思います。元々書いたりするのが好きだし、まとめるのも好きなんですよね。新しい、まだ自分の知らない場所に行って、見て来て、それを文字や写真として記録して、発表して、それを皆さんに楽しく読んでもらいたいです。そういう形で読者の方々とコミュニケイトすることが出来たら本望ですね。率直に旅が好きなんですよね。旅が好きだし、知らない町を歩いたり、知らない所に行くのが好きなので。旅も続けるでしょうね。旅も続けるし、ZINEとして書くのも続けると思うし、楽しいのが一番ですよね。僕も楽しいしみんなも楽しい。みんなhappyなのがいいですよね。
加藤 じゃあ生きている間は『野崎が行く!』は続く?
野崎 続くと思います。
加藤 ありがとうございました。
野崎 ありがとうございました。
(2021年4月4日収録)
話し手 野崎卓也(のざき・たくや)1986年生まれ。千葉県出身。旅行作家、ドラム奏者、競馬愛好家。旅行記ZINE『野崎が行く!』、競馬エッセイ『競馬感覚』、『必聴!ジャーマンロック』発行人。nozaki.movement@gmail.com
訊き手 加藤知也(かとう・ともなり)1981年生まれ。岐阜県出身。
文学者。「正しいタコの茹で方」というWOW WAR TONIGHTなムーブメントを時には起こしたりしている。
katoutomonari@outlook.jp