ローリング膝栗毛(上)
「痛っ、痛い痛い痛い」
アーケード商店街、両脇に隙間なく自転車が駐輪されている舗道の真ん中で、上半身は岩本力、そして下半身は佐目毛の馬の半人半馬が地面に蹲って凝縮しているところへ、腰まで伸ばしたソバージュヘアーを風に靡かせて颯爽と通りかかった私は、湖のような気持ちで半人半馬に手を差しのべた。
「どうかしましたか? お加減でもお悪いのですか?」
「ああ、おネエちゃん、聞いてえな、あんな、脾腹に矢、刺さてもうとんねん、ほら、見てみ、ここ、ここ」
「おネエちゃんではないのですがね