【1人芝居用台本】鬼ヶ島
1人芝居用台本の練習として書いたものです
これは悪い夢で早く目覚めてほしいと、心から願ったよ…
人間たちは俺たちを恐れて、1度だって攻めて来やしなかった
異形に怯えて戦いもしない…それが俺たちの思う人間だった
そう…だからあれは人間の姿をした化物だ
「親分!奇襲です!人間が攻めて来ました!」
「なにぃ!?敵の数は?」
「そ、それが…1人です!…犬と猿と鳥もいますが…」
子分の怯えように違和感を感じ、俺は自分の目で確かめるためにアジトから外に出た
鬼の俺が言うのもおかしい気がするが、眼下に広がる景色はまさに…地獄だったよ
バッタバッタと斬り捨てられていく子分たち
攻撃においては、犬猿鳥が身動きを封じてそこを斬る
防御においては、背後や側面からの攻撃を犬猿鳥が妨害する
戦術も見事だったがそれよりも、人間とは思えぬ怪力と、無尽蔵のスタミナが常軌を逸していた
「全員退却させよ!いいか、絶対にヤツと戦わせるな!俺が叩きのめすところを見ていろと全員に伝えよ!」
と言い、側近には
「俺がもしやられたら、降伏して宝でも何でもくれてやれ」
とそっと伝えて、ヤツの前に立ったんだ
「やあやあ!俺は鬼ヶ島の大将である!貴殿は名のある剣士とみた!」
「我が名は桃太郎!鬼の大将よ!そなたの首は私がもらい受ける!」
勝負は一瞬で決まったよ
それにしても、あの化け物はあの後どうなったかな?
人間というのは異形なものを排除する
ヤツがその中で生きていけるとは思えないが…
ま、俺の知ったことではないがな