餅つきをする
小豆島に帰ってきて以来ずっと、年末になると餅つきをやっている。
いまどき珍しい臼と杵を使ってのクラシックな餅つき。
僕が子どものころ、毎年年末になるとじぃちゃんちに親戚一同が集まって餅つきをやっていた。
かまど(簡易的なものだったけど)にくべられた薪から立ち上る炎と煙、せいろから沸きあがるお米のいい香りのする蒸気。
あれやこれや笑いながら忙しそうに作業するおばさんたちとビール片手に米が蒸されるのを待って談笑するおじさんたち。そのまわりで薪のきれっ端で仮面ライダーごっこをする僕や弟やいとこたち。
米が蒸しあがると、せいろからポイっと臼に移され、まずは大人たちが杵でこね上げ、ぺったんぺったんと餅つきが始まる。
ある程度餅の形が整ってくると、子どもたちにもつかせてくれる。
あの頃は子ども用の軽い杵なんて用意されてなかったから、小さな子どもたちは大人と一緒に、ちょっと大きくなってくると「自分でやる!」と重い杵にふらつきながらも大人の真似をして頑張ってついていた。
できあがった餅は片栗粉をひいた机の上にどすんとおかれ、小さくちぎられ、みんなで丸めていく(関西ならでは)。
「こうやって丸めるんやで」とおばさんたちから教えてもらい、いとこ同士で誰が一番きれいに丸められるかを競走したものだ。
とはいえ、子どもたちはまずはパクリ。
あんこをつつんだり、醤油につけて海苔をまいたり、きな粉につけたりして食べる食べる。
できたてのお餅って、本当においしいんですよね。何個でも食べられるから不思議です。
4家族の餅が出来上がり、片づけが終わるのは、いつもだいたい夕方くらい。
「もろぶた」とこっちでは呼ぶ(通常ばんじゅう?)木で作られた平箱にきれいに並べられた丸い餅をもって、「よいお年を!」なんて挨拶をして、それぞれの車に乗り込み家路につく。
数日後のお正月にはまたみんなで集まるんだけど、「まだ遊ぶ―」なんて子どもたちはなかなか車に乗り込もうとしなかったな。
いとこたちが中学生にもなると、それぞれ忙しくなり(反抗期もあり(笑))、だんだんとみんなで集まっての餅つきは開かれなくなった。
そんな思い出の詰まったあの餅つきをまたやりたいと、故郷にUターンした年に復活させたのだった。
今年はうちの弟家族は参加できなかったけど、毎年両親と友だち家族でにぎやかにやっている。
あの頃のようにみんなで笑いながらワイワイと。
うちの子どももいつかそれを懐かしく思ってくれればいいな。