ヤマト運輸のニュースから、改めて2024年問題を調べてみた
ヤマト運輸が24年度末までに個人事業主との契約を解除することについて、波紋が広がっています。
これは2024年問題を見据えた日本郵政との協業が背景にあり、採算性の低い小型荷物の配送を縮小していくことが目的にあるようです。
逆にいえば、それだけ2024年問題はヤマト運輸にとって避けられない影響があるということになります。
ヤマト運輸に限らず2024年問題は物流業界全体に大きな影響があり、ネット通販や宅配便を利用する我々利用者層も影響を受けます。
そんな大きな問題ですが、では改めて2024年問題とはなんなんでしょう?
この機会に一度まとめてみようと思います。
そもそもは”働き方改革関連法”による影響
2024年問題とは、具体的には働き方改革関連法によって自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する諸問題の総称となっています。
(これまでは労使が合意した場合には時間外労働時間の上限はありませんでした)
トラックドライバーの労働環境が劣悪な状態なため、改善を目的とした制限ではあるのですが、このことによりトラックドライバーが運べる荷物の量が減少するため、輸送能力が14.2%低下する見込みとなっています。
このことを受けヤマト運輸は配送事業の見直しと最適化を行っている、という状況となります。
予想される影響は?
あくまで各所における予想のため確実なことはいえませんが、物流コストの上昇と運送会社の利益減少がどこへ影響してくるかが大きなカギとなります。
例として、下記の様な影響が予想されます。
トラックドライバーの賃金低下
配送運賃の上昇
配送コスト吸収のため、商品の価格上昇
配送時間の上昇(即日配送などの不可能化)
また、コスト面以外では冒頭に紹介した高速道路の速度アップ(時間あたりの移動距離を増やして対応する策)などによる事故の重篤化なども懸念されています。
明るい未来は描けるのか?
大手中小を問わず、配送業者ならびに物流に関わる業者は2024年問題に対し対策を行っています。
主には労働生産性の向上で、要するに業務の効率化を行っていく取り組みが多いようです。
また、すでに配送時間を伸ばす対応であったり、無理のない形でサービス継続ができるように調整を行っていく形も取られるようです。
我々利用者側も心がけることができる取り組みとして、配送を伴う商品の注文は余裕を持って行うことや、なるべく配送回数を減らす(細かい注文を何度も行わず、1回の注文・配送で済むようにする)、再配達が起こらないように受け取れる日時を指定する、配達ボックスの利用やコンビニ受け取りを活用するなども2024年問題に協力できる取り組みとなっています。
また、物流業界は人材不足でもあるため、不採算事業は縮小する一方、配送の副業を積極的に募集する動きもあるようです。
個人的に思うこと
ちょうどこの記事を書いている途中で、ヤマト運輸のパート従業員の一斉解雇について訂正の一報が流れました。
とはいえヤマト運輸としては「方針を変えたわけではない」としているので、一斉解雇はしないものの配置転換をした際の余剰人員は諭旨解雇に向かうことに変わりはありません。
なんとなく、言い方をマイルドにしているだけの様にも見受けられますが、当事者的に事態を見ているわけではないのであくまで印象の話です。
別の記事では障害者雇用がどうなるのか、といった点も指摘されていたので、単にトラックドライバーの方や運送・物流業界に止まらない社会全体への影響が懸念されます。
一方で、労働人口が今後減ることに違いはないので、これを機に効率化が行われ人不足の解消に向かうことも期待される点だと感じます。
ギグワーク・マイクロワークのような形で、パートタイムではないにしても仕事がまた振り分けられるような形になれば、全ての人へのwinに繋がっていいなあと思います。
物流は「経済の血液」とも言われます。
確実に誰しもが影響を受けるので、今後の動向も注視していきたいですね。