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第4章 戦術分析と変化 4.1 各球団の戦術布陣
4.1 各球団の戦術布陣
野球は緻密な戦術とデータ分析が勝敗を左右するスポーツであり、特に2024シーズンはデータ活用と戦術の多様化が進んだ年となっている。各球団はチームの特性や選手の強みを活かしながら、攻撃・守備・投手起用の面で独自の戦術を採用し、シーズンを通じて戦略を変化させている。本節では、2024シーズンにおける各球団の戦術傾向を分析し、その特徴を明らかにする。
1. チーム別の戦術アプローチ
2024シーズンは、特に**「攻撃型のチーム」と「守備・投手力を重視するチーム」**の二極化が進んでいる。
📌 攻撃型チーム vs. 守備型チーム
✅ 攻撃力重視のチーム(パワーヒッティング・長打戦略)
代表チーム:ソフトバンク、巨人、ヤクルト、オリックス
戦術の特徴:
ホームランを狙うフライボール革命型の打撃を採用
1〜5番の強打者を中心に長打を狙う戦略
初回から積極的に攻め、試合序盤でリードを奪うスタイル
データ分析:
ソフトバンクはリーグ最多のチーム本塁打数(6月時点で110本)
巨人は長打率.430(リーグ2位)を記録し、長打で試合を決める展開が多い
✅ 守備・投手力重視のチーム(機動力・守備戦略)
代表チーム:阪神、日本ハム、広島、西武
戦術の特徴:
犠打やヒットエンドランを多用し、確実にランナーを進める
守備の連携を重視し、失策を減らすための布陣を敷く
投手陣を中心とした「守り勝つ」戦略
データ分析:
阪神はリーグ最少失策数(チーム失策率.980)を記録し、鉄壁の守備力を維持
日本ハムは盗塁数リーグ1位(チーム合計89盗塁)で機動力を活かした戦術を展開
2. 投手戦略:先発ローテーション vs. ブルペン重視
投手起用に関しても、チームごとに異なる戦略が採用されている。
✅ エースを中心とした先発重視型
代表チーム:オリックス、ソフトバンク、阪神
特徴:
先発投手に長いイニングを投げさせ、リリーフ陣の負担を軽減
エース級投手(山本由伸、青柳晃洋など)が試合の流れを作る
6回以降の勝ちパターンリリーフで試合を締める
データ分析:
オリックスは先発投手の平均投球回6.2イニングとリーグ最長
阪神の先発防御率は2.98でリーグ1位
✅ ブルペンを駆使する継投型
代表チーム:巨人、DeNA、日本ハム
特徴:
先発投手を5回程度で交代し、中継ぎ投手を多用する
リリーフ陣の層の厚さを活かして戦う
クローザーが確立されているチームほど安定した勝利パターンを持つ
データ分析:
巨人は1試合平均4.5人の投手を起用し、継投戦略を重視
DeNAのブルペン防御率は3.05でリーグ2位
3. 守備シフトの進化とデータ活用
守備戦略において、近年はデータ活用による守備シフトの進化が見られる。
✅ 極端な守備シフトの採用
代表チーム:ヤクルト、ソフトバンク
特徴:
右打者に対して極端に三遊間へ寄る
内野陣の守備位置を大きく変更し、打球の流れを制御
投手の持ち球に応じて守備シフトを細かく調整
データ分析:
ヤクルトは守備シフト成功率65%(リーグ1位)
ソフトバンクは内野シフトの採用回数がリーグ最多
✅ 伝統的な守備布陣を維持するチーム
代表チーム:阪神、日本ハム
特徴:
守備範囲の広い選手を揃え、極端なシフトを使わない
個々の守備力を最大限に発揮し、柔軟に対応
データ分析:
阪神の守備範囲カバー率(UZR)はリーグトップ
4. 2024シーズンの注目戦術トレンド
📌 ① ホームラン重視 vs. 走塁重視の攻撃戦略
📌 ② 投手の分業制が進化し、ロングリリーフの活用が増加
📌 ③ 守備シフトがさらに高度化し、データ分析の重要性が増す
今後のシーズン後半戦では、各チームがどのように戦術を適応させ、優勝争いやプレーオフ進出を狙うのかが焦点となる。今後の試合展開に注目しながら、さらなる分析を続けていく。
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