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吸い込んだのは「完成の前に打たれた」から?

男子ネーションズリーグ2023は開幕から10連勝で、予選リーグ2位という素晴らしい活躍を見せています。実況と解説も、プレーの内容や戦術について分かりやすく伝えていて、ても評判がよく隔世の感がありますね。

ただ、ブロックについてはまだまだ難しいなと感じることがあり、ツイッターに連投したのでここにまとめておきたいと思います。

特に、ブロックの腕に当たったボールがネットと体の間に落ちる【吸い込み】について疑問を持ちました。

空中姿勢が崩れて吸い込んだのは「完成の前に打たれた」のでしょうか?

「吸い込み」って、ボールがネットと体の間を真下に落ちていくわけで、ブロックにボールが当たる瞬間には「両腕でネットに正対できている」のが普通です。それができてなかったら、ボールはあらぬ方向に飛んでいきます。

ブロックが遅れたために吸い込んだのだとしたら、「ジャンプのタイミングが遅くて、手が上昇していく途中でブロックヒットした」ということになりますが、それでボールはネットと体の間に落ちていくでしょうか?
上に向かって飛んでいくはずでは?
吸い込むためには、かなり下向きにボールを跳ね返せないといけませんね?

つまり、「吸い込み」が起きたということは【位置もタイミングも間に合っている】ということなんですね。

確かに、ブロッカーは「遅れた」と思って慌てて跳んでいたかもしれません。しかし、吸い込んだ原因は【ネットとの間合いおよび空中姿勢】であって、遅れて間に合わなかったためでは決してないのです。

そこを間違えてしまうと「もっと早く行かないとブロックは成立しない」と思ってしまうんですね。それはつまり「リードブロックでは無理」という思考につながります。
本当は「遅れたと思って慌てたから、姿勢が崩れてしまった」わけで、「十分間に合ってるから、慌てず、いい空中姿勢を取る」ことが必要なのです。

何が起きていたかをしっかり観察し、正しく分析しないと、真逆のことが起きてしまうのです。それはあまりに悲しすぎます。

こういうことが起きるのは「ブロックで起きていることを観察するのはなかなか難しい」からだと考えています。そのために「スパイクが決まったら『ブロックの完成の前に打った』、ブロックが決まったら『ブロックの完成が早かった』と言っておけばもっともらしい解説ができてしまう」ということになってしまっているのではないでしょうか?

一方で、今回の放送では希望につながる話もあって、「ミドルが遅れて跳んでくると、ブロックがないと思って打ったところに手が出てくるので、アタッカーとしては嫌だ」ということが話題になっていました。完成の前に打たれても、ブロックヒットの瞬間にスパイクコースにブロック面を置けていればブロックの勝ちなんですよね。

ところが、同じ放送中にミドルの高橋健太郎選手が「遅れて間を詰めてくるブロック」をした場面で、実況氏が「1枚ブロック」と言ってしまうということもありました。私も「え?」とは思いましたが、その後にスローリプレイが流れるまで確信は持てませんでした。やはり「ブロックがどうだったかは、それに集中して見てないと難しい」ということだと思います。

とりあえず「完成の前に打ったかどうか」って言うのやめてみたら?と思います。

間に合うか間に合わないか、ギリギリ時間の勝負をしているのは間違いないですよね。であれば、「時間がなかった」「時間さえあればうまくできたのに」という思考は敗北でしかないと思います。【限られた時間の中でできたことはないだろうか?】こそ考えるべきで、そこにはまだまだ手付かずの大きな可能性が残っていると思います。

まずは「ブロックが間に合う」ことを知らないという前提に立って、しっかり観察し、なぜ成功したのか、何が問題でどう改善できそうかの話をして、みんなで議論できるようになると、日本のバレーの未来はさらに明るいものになるのではないでしょうか?


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