生きた英語
もう10年も前の、バンジージャンプに挑戦したお話です。
高さ42m(ビルの14階相当)のブリッジバンジーで、緊張しながら順番待ちをしていました。脇は歩道になっていて、観客も多く集まっていて、カウントダウンに合わせて飛んでいくのを見下ろしながら「こわっ」「無理」なんて言ってます。
自分の番がきました。ジャンプ台にはジャンプマスターと呼ばれる白人の男性係員が2名いて、ひとりが挑戦者に話しかけ、緊張をほぐしながらハーネスの装着を行います。事前に計量した体重は手に書かれているので、それを読み上げると、もうひとりの係員がウインチを操作し、ゴム紐をちょうど良い長さにセットします。
ハーネスの装着は、まず足首・膝・腰の3ヶ所のベルトで体を固定し、それらとゴム紐をそれぞれ固定します。足首はタオルを巻いて、その上からベルトでガッチリと固定されているので、ジャンプしたときの引っ張る力はみな足首にかかります。膝と腰は万が一、足首が抜けたときの予備のようです。
困ったのは、ジャンプマスターの確認がすべて英語だったということです。
タオルを足首に巻いて「OK?」
ベルトを装着して「OK?」
ゴム紐を固定して「アーユーOK?」
と、逐一英語で聞いてくるのです。
こっちもアタマをフル回転して、ヒアリングして、「イエス」「オーケー」と返事します。もう必死です。だって大切な説明を聞き逃したら、最悪の場合、命を落とすかもしれないわけですから。
セッティングが完了したようです。
足首を固定されているのでペンギン歩きでヨチヨチとジャンプ台に立ちます。この瞬間が緊張マックスで心臓バコバコです。
「オーライ!」
もう後には戻れません。
「カウントダウン!」
観客が一体となってカウントダウンが始まりました。
「「「ゴー!」」」
意を決して飛び降りました。
「「「よーん!」」」
???
飛び降りている最中に「4」という声が聞こたような。
やってしまいました。
カウントダウンは日本語でした。
「ゴー」は Go ではなく、5でした。行け!ではない。
ジャンプ中は記憶がなく、いや、あるのですが、やっちまったという後悔と気恥ずかしさだけが想い出となりました。
回収されて地上に戻ると、観客には拍手されながら、笑われていたような。
考えてみると、英語を命懸けで聞き取る(聞き逃したら命を落とすかもしれない)という極限状態で、頭の日本語スイッチがオフになり、初めて「生きた英語」としてダイレクトに処理されたのかもしれない。
見方を変えればTotal Physical Response(全身反応教授法)だったのかもしれない。
などウマいこと締め括りたかったですが、つまりTOEIC 415点ではダメということです🙅♂️
英語、頑張ります。ご清聴ありがとうございました。
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