非公表裁決/相続財産の権利の帰属に関する訴訟上の和解により相続税法32条に基づく更正の請求をすることができるか?
相続人間での相続財産の範囲確定請求事件において、被相続人の相続人等に対する債権が存在しない旨の訴訟上の和解が成立した場合に、当該和解が相続税法施行令8条2項1号に規定する「判決」に該当するかが争われた事案の裁決です。
審判所は、租税法規の解釈は、原則として文理解釈によるべきであるとした上で、以下のように、あっさりと訴訟上の和解は相続税法施行令8条2項1号に規定する「判決」には該当しないと判断しました。
相続税法施行令第8条第2項第1号は、「相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産についての権利の帰属に関する訴えについての判決」と規定し、判決に和解を含むと規定していないから、本件和解は、相続税法施行令第8条第2項第1号に規定する「判決」に該当しない。
お恥ずかしながら、私もきちんと認識していなかったのですが、通則法23条2項1号の「判決」には「判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。」という括弧書きがついているのに、相続税法施行令8条2項1号の「判決」にはそのような括弧書きがついていないのですね。
そうすると、しょうがないのかなとは思いつつも、いわゆる「馴れ合い判決」が通則法23条2項1号の「判決」には該当しないという判断をするような時には、結論の妥当性を得るために、「文理解釈?何それおいしいの?」みたいな判断をしているのに、本件のように納税者に不利な判断をする時には、「文理解釈」を金科玉条のように持ち出すのは何だかなという気はします。
因みに、この事案では、和解が成立してから2ヵ月を経過してから更正の請求をしていますので、通則法23条2項1号の「判決」に該当するかどうかは問題になっていませんが、相続財産の帰属に関する訴訟上の和解は、おそらく通則法23条2項1号の「判決」には該当するのだと思います(大阪高裁平成14年7月25日判決も、そのような理解を前提としたものであると思われますので。)。
つまり、和解が成立してから2ヵ月以内に更正の請求をしていれば、減額更正がなされていた可能性が高いのではないかということで、事情によっては、税理士の先生に矛先が向いてもおかしくはないのではないかと。。
私も申告はしないのですが更正の請求をすることはあるので気を付けなければいけないですね((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル