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非公表裁決/ネガティブサイトの対策費用が必要経費に該当するか?

診療所を営む医師である請求人が、過去に医業停止処分や刑事事件を受けたことなどが掲載されたインターネット上の記事の削除等するためにネガティブサイト対策業者に支払った費用を、必要経費に算入することができるかが争われた事案の裁決例です。

今年の1月の「税のしるべ」でも紹介されていましたね。

審判所は、ネガティブサイト対策業者に支払った費用が、事業所得を生ずべき業務と関連して支出する費用としての側面を有していることは認めつつ、請求人自身に対する悪影響を回避するという側面も有していることから家事関連費に該当すると判断した上で、請求人が、当該費用について、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要な部分を明らかに区分していなかったことなどから、当該費用を必要経費に算入することはできないと判断しました。

うーん、厳しいですね。

確かに、医業停止処分だけでなく刑事処分を受けたことが掲載された記事の削除というのは、事業を行っていなかったとしても依頼することがあり得ることですので、請求人自身に対する悪影響を回避するという側面を有していると評価することもできるのでしょうが、少し厳しすぎる気はします。

ほんの僅かでも家事費としての性格を併有していれば家事関連費になるという解釈というのは理論的には綺麗なのでしょうが、そのような厳格な解釈をすると、個人事業主が支出する費用はかなりの部分について家事関連費に該当し得るということにもなってしまいそうにも思えます。

特に、この事案では、「●●●●(請求人の名前)+医師」と検索した場合に表示されるネガティブサイトの削除等を依頼していたようですし、診療所を開業する前から医業停止処分や刑事処分を受けたことなどが掲載された記事は公表されていたにもかかわらず、診療所を開業するまでは特にネガティブサイト対策をしたことはなかったようですので、そのような点を重視して、家事費としての性格を併有しているとはいえないという判断もあり得たのではないかと思うところです。

因みに、原処分庁は、削除依頼がプライバシー権の侵害を理由としてなされていることなどを理由として業務関連性がない旨の主張をしていて、そのような原処分庁の主張を前提とすると、ネガティブサイト対策費用は必要経費に算入する余地がないということになってしまうところでしたが、審判所は、業務関連性はあるという判断をしましたので、この種の費用についても、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要な部分を明らかすることで必要経費に算入される可能性もあるということになりますね。

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