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第7話 コロ助だって起業できるナリ!

パソコンのトラブルで10日間作業が進まなかった起業遅延家・西村。中古再生品のPCが届き、他人の力でレンタルサーバーの設定も終了したが、ここから1~2ヵ月でウェブメディアの中身(コンテンツ)を作ることはできるのか?

「キテレツ大百科のコロ助みたいな人ですね」。OL時代、合コンで知り合った証券マンとの初めてのデートで言われました。確かに私はおっちょこちょいのかまってちゃん。体は風呂おけのように寸胴で精神年齢は保育園児並み。なるほど、私という人間を言い表す才に長けた人だなと感心しました。

証券マンはさらに「仕事ものんびりしてそう。土壇場になって焦るタイプですよね」と言ってきました。これには私、猛反発。会って二回目のポロシャツ襟立て野郎に仕事のことをバカにされる筋合いはありません。コロ助が武士として一人前のプライドを持つように、私だって営業事務としてのプライドがあるナリ。「残業食のうどんをすすりながら左手で電卓をたたく私の千手観音姿を見学しに来い!!!」と心の中で言ってやりましたよ。

あれから20年。

いや~、証券マンの洞察力と先読能力って優れていますよね。感心感心。「4月に卓球のウェブメディアを公開する」と宣言して2ヵ月が過ぎました。3月が勝手にやってきましたが、進捗状況は→パソコン購入→T平さんがレンタルサーバーを設定。That‘s all.この2ヵ月間、私はいったい何をしていたのでしょうか? 中学生の頃、定期テストの前日に「お前は今まで何をしておったのか!!!」と塾の先生にビンタされた記憶があります。今は自分自身をビンタしたい気持ちでいっぱいです。まずは急いでコンテンツを作らなきゃ……ですよね。

グルメ情報「会場近くの旨い店」のコンテンツ制作スタート。

試合の帰りに仲間と一緒に立ち寄れる店、試合の反省会という名目でお酒が飲める店。事前予約できて大勢で入れる店。そんなまとめサイトを自分自身が欲していたので、“卓球人の役に立つ”との思いから制作を始めました。試合の終わりに店を一から探すのは疲れますものね。

そもそも『卓球レディース』は女性向けのウェブメディア。ファッション、グルメ、トラベルの情報は必ず入れたいと思っていました。なかでも手っ取り早いのがグルメのコンテンツです。情報誌のライター時代、1000軒近くの飲食店を取材。段取りもわかっているので手始めにはもってこい。公開時には10~20軒の飲食店を掲載する予定でおりました。そのために、まずはリサーチ。卓球の試合会場となる体育館とその周辺のお店を20軒ほど探しました。以前は10軒のアポ入れなら1時間ほどで終わったので、今回もそのくらいかなーとたかをくくていました。

ところが、、、、、

全然アポがとれねー!!!!!!!

飲食店に電話を入れて「卓球……」と名乗った時点で怪しい人に分類される。さらに、雑誌やテレビでないと分かった時点で断られる。運よく企画書を送ることが許されても、そこから音信不通です。とりあえず調べた20軒にはすべて電話をいれましたが全滅でした。こんなことは初めてだったので、この先がとっても不安に。お~いコロ助、メンタルは大丈夫か???

雑誌やテレビの取材をしていた時はアポの段階で断られるということがほぼありませんでした。媒体を名乗るだけで店側はウェルカムモード。取材に行けば協力的で折り菓子を渡されるときもありました。なのに『卓球レディース』の現状はコレです。実績のないメディアだからなのか、ウェブだからなのか、それとも……卓球だからなのか涙涙涙涙涙。

翌日、私はさらに10軒を追加でリサーチし電話をかけました。すると、ようやく1軒電話取材がOKとなりました。ありがたや~嬉嬉嬉嬉嬉。なにが嬉しかったって、こちらの話を店長が丁寧に聞いてくださり、広報の担当者が迅速に対応してくださったことです。プロダクション時代は、それが当たり前だと思っていました。だけど当たり前じゃなかった。新たな媒体が出発する時、立ち上げた関わったライターさんはアポ取りにどれほど苦労されたことか。誰かの汗によって知名度をあげ、その恩恵で折り菓子がもらえたのに。己の手柄と思っていた自分が情けない。

「会場近くの旨い店」のコンテンツは1週間で仕上げようと思っていたのに、10日たっても1軒しか掲載の準備ができてない現実。証券マンが描いた未来予想図通り土壇場で焦っています。「媒体の立ち上げは予想以上に時間がかかりそう……」。再び起業塾から旅立ちたい気分に襲われました。しかし、先輩ライターが切り開いた道を歩ませてもらったなら、今度は後輩ライターに自分が道を作る番です。もう逃げ道を作りたくない。だから、「さよならとは言わないナリよ」。

WEBメディア公開まで45日

つづく


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