第9話 ラケットを振って現実逃避
デザインのコンセプトでつまづいてしまった起業不発家・西村。ウェブ公開まで残り1ヵ月という大切な時期に、まさかの現実逃避に走る。
ウェブメディア公開まで残り1ヵ月。制作の進行が加速しなければならない3月半ば。私は何をしていたのでしょうか? その頃の記憶がほとんどありません。スケジュール帳を開いて三月の行動を確認してみると。目を疑う文字が並んでおりました。
練習、練習、練習……。試合、試合、試合……。
「……(愕然)」
3月半ばから4月の頭にかけて、私はどうやら熱心に卓球の練習をしていたようです(汗)。そして週末は子供の試合の応援。
一体、何の現実逃避ですか?????
「こらっ『4月の半ばに卓球のウェブメディア公開する』っちゅーて、何サボってるんねん。思い出した。あんたテストが近づくと、勉強せんとデスク周りの整理をするクセがあったな。普段、お母ちゃんにどんなに怒られても整理整頓できなかったのに。筆立ての底にたまった消しカスまで捨てて。それと一緒か???」
もし三月半ばにタイムスリップできるなら、自分を説教したくなりますね。
私はスケジュール帳を再度見直して、仕事をしていた日を探しました。すると、ありましたよ。3月25日。この日は確実にウェブメディアの制作をしておりました。弁護士の先生にお会いしたので覚えております。先生に利用規約を確認してもらったんです。そして「西村さんは個人事業主だから『当社』って書いちゃダメだよ」と指摘をもらいました。なんて初歩的なミスをしているんだか。私は4000字の中にちりばめられた「当社」の文字をひとつずつ拾い、「当サイト」と書き直しました。夜中に及ぶ過酷な作業。終わったらもちろん爆睡です。
次の日の朝、読み返すと、ところどころ直せていない箇所が見つかりました。私はあわてて訂正し、しっかりと見直しをして作業を終えました。ところが、次の日、またひとつ「当社」の文字を見つけてしまいました。そして訂正し、しっかりと見直しをして……※以降、4日間この作業の繰り返し。
泣いてもいいですか?????
直しても直しても、モグラたたきのように出てくる「当社」の文字。4日後、私は非行に走り、教室の窓ガラスを割って、盗んだバイクで走りだすような行動に出ました。それが卓球です。制作から逃げて練習に明け暮れた記憶がよみがえりました。
結局、利用規約はそのまま放置して、サイトオープンの前日に見直し、直すところは直して公開しました。特技が「一夜漬け」でよかったよかった。
さて、この話には続きがあります。4月26日のサイトオープン。いろんな方から祝福のメールが届きました。その中に起業塾の担当の先生からのメールもありました。
先生からのお祝いメーッセージ。それは……
「利用規約第〇条 「当社」※見た範囲で、〇条で2つありました。念のためサイト上で検索かけてみてください」
まだあったんかーい!!!!!
そして「あっ、そうだ、ワードの検索機能を使えば良かったんだ」と、なんとも基本的な機能を思い出しました。
こんなアナログ人間にウェブメディアの運営が務まるのでしょうか?
ウェブサイト公開まで25日。
つづく
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