定年退職後の私の日々(人間関係編5:急速に疎遠になってしまう人達)
これから定年退職を迎える人達にとって、自分がそれまで構築してきた人間関係が定年退職後にどうなってしまうのか?は気になるところだろう。「定年退職後も、それまで構築した人間関係は極力維持したい」と、定年退職後も必死に関係維持に奔走する人達も多い。
特に、勤務していた職場での人間関係が中心の生活をしてきた人達にとっては、人間関係の維持=古巣の人間関係の維持となる。定年退職ノウハウ本でも頻繁に取り上げられるテーマだ。
私の経験から考えると、放っておくと古巣の人間関係はあっと言う間に廃れる・・・と思う。多くの場合には定年退職者の職場的人間関係を維持するためにOB会的なものがあって、やれゴルフコンペだ、新春親睦会だ、趣味のカラオケ同好会だ・・・とイベント企画があり、それに参加していれば人間関係は時々活性化するのだが、それでも方向性は急速に廃れる・・・になる。
私が勤務していた会社にも複数のOB会があって、私も定年退職直後に関係していた地域等の複数のOB会に所属はした。・・・・所属はしたが、OB会主催のイベント等に参加していたのは最初の1年間程度のゴルフ関係のイベントくらいで、2年目以降はほとんど何も参加しなくなってしまった。だいたい、イベントそのものがそんなに頻繁にあるわけでは無いので、当然人間関係は疎遠にならざるを得ない。
「それじゃ寂しい。私は極力参加する」と最初は考える人も多いとは思うが、大部分の人は急速に疎遠になってゆくはずだ。理屈から考えると、どうしてもそうならざるを得ないと思うのだ。
OB会等のイベントだけじゃもの足らなくて、足繁く古巣に顔を出す人もいる。私が現役時代にもこのような人が結構いた。しかし、これは止めた方が良いと思う。はっきり言って、現役の連中からウザイ時間泥棒的な存在として烙印を押されてしまうと思う。顔を出すことで喜ばれる人なんて、本当にごくわずかの人だけだ。
1.古巣(職場)の人間関係はどうして廃れるのか?
あくまでも個人的な意見なので状況が違う人も多いとは思うが、定年退職者にとって古巣の人間関係は面白みが無くなってしまうのだ(そもそも面白い訳が無いのかも知れないが・・・)。特に私の場合は現時点では関係者に”現役組”もまだまだ多いのでとりわけ面白みに欠ける。
端的に言うと、話題がどうしても古巣の人事と仕事の愚痴が中心になってしまうからだ。それはそれで定年退職直後は興味深い部分もあったが、2年、3年・・・と時間が経過するにつれてだんだん話を聞くのが面倒臭くなるのである。少なくとも今の私には興味は余りもてない。時々、「えー?!あいつが執行役員!?こりゃ、びっくり」的な話題で盛り上がる事もあったが、最近はそんな事をワイワイと話す時間と金がもったいないような気がしてしまう。
定年退職者ってそんなもんじゃないかな。違うかな?。私は少し偏屈なのかな?
2.古巣以外の人間関係をどうするか?
現在の大抵のサラリーマンは、60歳もしくは古巣における雇用延長で65歳で慣れ親しんだ職場を去らざるを得ない・・・わけだが、個人的な経験から考えるとこれは結構大きな環境変化だ。それまでの濃密で雑多な人間関係がほぼ無くなり、大部分の日常が本当に「シーン」となるのだ。
新たな仕事を古巣以外に得る人もいるだろうが、新たな人間関係の中でそれなりに楽しく過ごすのは想像以上に気苦労が多い。大抵の人は余り人間関係を必要としない肉体アルバイト的な仕事を見つけるケースが多いだろう。コンビニ等のアルバイトのように人間関係が濃密な仕事は少なくとも私はとてもやれそうな気がしない。
この人間関係希薄化のダメージは相当に大きいと思う。取扱を誤ると、定年退職者のその後の人生をボディーブローのように痛めつけるのだ。
定年退職者はお馴染みの承認欲求の取扱はさておき、この人間関係の希薄化をどのように乗り越えてゆくのか?を本当に真剣に考える必要があると思う。