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定年退職後の私の日々(音楽活動編4:新型コロナは音楽を殺すのか?)

 本日のダイアモンド・オンラインの記事に下記のような内容があった。

 新型コロナ禍再拡大の現状を少し考えるだけでも、音楽業界を取り巻く経営環境の厳しさと業界内部の危機感は相当なものであることは容易にわかる。

 一方で、私のような音楽活動を趣味としている定年退職者にとっても、今回の新型コロナ禍の影響はそれなりにある。まず、記事で散々文句を言っているように、参加している全てのバンドでリハーサル・スタジオを利用した合同練習ができなくなっている。現状では、いつ再開できるかも全く目処が立たない。当然、素人ライブも企画されないし、ライブ酒場でみんなでセッションで盛り上がる・・・なんて事も今となっては全く無理な状況だ。

 「新型コロナが音楽を殺すのか?」という観点で考えると、リハーサルスタジオ、ライブハウス、ライブ酒場等の施設運営によってビジネスを回している事業体にとっては本当に経営的に崖っぷちの状況だと思われる。

 特に深刻なのは零細の市中のライブ酒場の経営だろう。市中のライブ酒場は、私のようなオッサンにとっては実に貴重な憩いの場所なので、何とか生き残って欲しいのだが残念ではあるが廃業は避けられないところも多いだろう。特殊な業態である事を考えると廃業すると残念ながら復活は難しいだろうな。うーむ。うーむ。

 10年前のリーマンショックの大惨事の時は、音楽、スポーツ、演芸、映画・・みたいな分野は軽傷だったが、今回は正に爆弾が中心地に投下されたような惨憺たる有様だ。このような色々な文化的な活動が縮小してしまうと、その後の社会においてボディブローのように悪影響が出てくると思う。殺伐とした社会の誕生だ。実にマズイ。

1.今や、私にとってヤマハ「SYNCROOM」の存在は大きい

 今回の新型コロナ禍において、私にとって唯一前向きな事として挙げられるのが、ヤマハのSYNCROOMを活用するようになった事だ。

 このSYNCROOMは新型コロナ禍とは無関係に今年の6月にはリリースされる予定のサービスだったのだが、私は新型コロナ禍がなければ存在を軽く流す程度にとどめ、今のように活用する事はなかったと思う。何故なら、「インターネットの特性を考えると、余り使いものにはならないだろう・・・」という先入観があったからだ。

 新型コロナ禍で緊急避難的に活用を開始したSYNCROOMだが、使い込むにつれてそれなりに大きな可能性があることを知った。さすが、天下のヤマハが20年間かけて開発して満を持して市場に投入したサービスだけのことはある。

 現在、私が参加しているバンドのうち、アメリカン・ロック・オッサンバンドはこのSYNCROOMを活用してほぼ毎週のようにそこそこのクオリティの練習が実行できている。これは、相当に大きい。活用ノウハウもかなり蓄積されてきた。

 ヤマハはこのサービスの課金はせずに、自社ビジネスのプロモーションを担うツールとして教宣を図るつもりらしい。無料でこれだけのクオリティのサービスを利用できるというのは実にありがたい。

2.新型コロナ禍の緊急避難的な活用だけではもったいない

 現在は、リハスタで行うことのできない合同練習をするためにSYNCROOMを活用しているのは間違い無いが、新型コロナ禍が終息した後はSYNCROOMの活用はどうなるだろうか?

 実は色々とやれる事が多そうだ。例えば下記のような活用だ。

1.遠距離メンバーの常時参加が可能となる
 私が参加しているアメリカン・ロック・オッサンバンドには大阪在住のメンバーがいる。彼が大阪から首都圏に出張で出かけてくるタイミングでリハスタでの合同練習スケジュールを調整していたのだが、そのような準突発的なスケジュールにメンバー全員が対応するのは意外と難しい。

 しかし、SYNCROOMを活用すれば、首都圏(リハスタ)と大阪(メンバー自宅)の2拠点をリモート接続して練習できるため、練習スケジュールの調整が格段に容易になる。大阪在住メンバー以外は横浜のリハスタに集合することになる。2拠点接続なので信号遅延等においてもコントロールがやりやすいはずだ。このような形態の練習をサポートするようなリハスタも当然増えると思う。

2.転勤、海外赴任等によるメンバー離脱を極力防止できる
 勤務していた会社で参加していたバンドの最大の課題が「転勤、海外赴任等によるメンバーの頻繁な離脱」だ。これはもう本当にどうにもならない課題だったが、上記1.のケースと同じようにSYNCROOMによってかなり解決できるようになるだろう。

3.新たなメンバーの発掘・人的交流にもつながる
 SYNCROOMは不特定多数が飛び入り的に参加して演奏をする・・・という利用方法がある。実際、何回かは素性が不明な同好の士が「ルーム」に突然登場して演奏して帰る・・・みたいな興味深い展開もあった。

 このような形態を積極的に活用して、メンバー人脈を広く確保するという手段にSYNCROOMは活用できそうだ。メンバーはリハスタに集合すれば、SYNCROOMの接続上限5拠点のうち4拠点はフリーになるから外部の同好の士は参加しやすいだろう。

4.田舎に引き籠もらざるを得なくなった場合にもメンバーとして参加できる
 これは私個人のテーマと言っても良い。現状では、将来の生活設計として四国にある妻の実家で生活する可能性がかなり高い。目的は義母の生活のフォローである。

 これまでは、そうなった場合は現在のバンド活動はできなくなるだろうなあ・・と諦めていた。しかし、SYNCROOMを利用することにより、メンバーとしてひとまず付き合ってもらえそうな感じだ。まあ、そのためにも「余人を持って替えがたいメンバー」になっておく必要はあるのだが・・・。

 ともかく、今回の新型コロナ禍は音楽を楽しむ・・という貴重な社会活動や文化を破壊しようとしている。これに少しでも対抗するために、色々と知恵を出してゆきたいものだ。