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【Oasis『オアシスがオアシスになるまで』】

Oasisが来年再結成します。
ファンとしてはとても嬉しい限りです。

なので、僕のこのnote でもちょくちょく
Oasisについて取り上げています。

今回は、Oasisが(真の意味で)Oasisになるまで、
というのを追ってみたいと思います。

〜〜〜

今年2024年にOasisのデビューアルバム
『Definitely Maybe』の30周年記念盤が
発売されました。

すべてのトラックではないですが
YouTubeでボーナストラックの一部も
聴けます。↓


ちょっとマニアックな話も含んでいくのですが

そもそもノエル・ギャラガーは
どういう音楽がやりたかったのか?
そして、ライバルを出し抜く為に
どういうサウンドを実現させ
どういうポジショニングをしたのか?

という事を話してみたいと思います。

【ローマは一日にしてならず】

そんなことわざもある通り、ノエルのビジョンも
野望も様々な音楽に触れ、現場に触れる事で
固まっていきました。

Oasisの初期だけを重点的に聴いている方には
意外かも知れませんが
ノエル・ギャラガーの個人的な趣味は
『ロックンロール』は当然好きだとしても

【サイケデリック】そして【ダンスミュージック】

この2つの柱があると思うのです。

ノエルはサイケでダンサブルな音楽を
やりたかった。

実際、ノエルでなくても80年代のマンチェスター
で青春時代を過ごした若者なら
多少なりともそういう趣味はあったと思います。

時が飛びますが、Oasisが解散した後
ノエルは始めこそOasis時代の名残(なごり)が
色濃い様な楽曲群をやっていましたが

アルバムを重ねる毎にどんどんダンスミュージック
に接近していきました ↓


…イギリスのマンチェスター、
ギャラガー兄弟が育った町。

治安が悪く、若者はみな労働者階級のゴロツキ
みたいな奴ばかり。

そこには数少ない若者の拠(よ)り所が
ありました。
それが【ハシエンダ】というクラブです。

ファクトリー・レコードというインディーズの
レコードレーベルが経営していたこのクラブは
典型的な若者のたまり場でした。

ファクトリー・レコードに所属していた
ニュー・オーダーやハッピー・マンデーズといった
バンド達がマンチェスターのヒーローだった。

ノエルも多大な影響を受けたに違いありません。
それは彼の作る音楽を聴けば分かります↓

上の2つはイギリスのMステみたいな番組
【Top of the Pops】というモノで
1964年〜2006年まで放送されてました。
(現在も特番はたまにやってるらしい)

ビートルズなども出演しました。

口パクが公認されている番組で
ハッピー・マンデーズのVo.ショーン・ライダー
の方は上に載せた動画内では
マイクすら持ってません(笑)


一方で、ノエルが最初に自分で買ったアルバム
として挙げているのが
セックス・ピストルズの『勝手にしやがれ!!』
です。

↑ 彼らの音楽、いわゆる【パンク】は
多くの若者を音楽に目覚めさせました。

ノエルもそうでしょう。
ただ、自分でやるには似合わないスタイル
だとは思ったでしょうね(笑)

そして、これは弟リアム・ギャラガーの
もつ色でもあるのです。


そして、ノエルが
『俺、音楽やりたい!ギターやりたい!』
となった瞬間というのはさっきの
【Top of the Pops】でザ・スミスの演奏を
聴いた時らしいです。

↑だから、せめてマイク持とうよ(笑)

このメガネのVo.モリッシーの横で
静かに、しかし格好良くギターを弾いている男
ジョニー・マー。

彼が最初のノエル・ギャラガーにとっての
ヒーローでした。

『ジョニー・マーになりたい!』

ここからノエルのギター人生が始まりました。

そして、今まで書いてきたバンドたち。
そういうモノを参考にしながら、
ギターの練習もしながら、

じゃあ、自分はどんな音楽を確立して
いけばいいのか…?


セックス・ピストルズで音楽に目覚め、
ハシエンダのクラブで遊び、
ジョニー・マーになりたいと願った少年は

自分のスタイルを模索して居ました。

そこにマスター・ピースとなるバンドが
出現します。

それがストーン・ローゼズです↓

『これだッッ!!!…ギターもイカしてる。
曲もイイ。ダンサブルでサイケデリックで
パンクでもある。
クラブシーンでもロックシーンでも
通用する。最高じゃないか!』

そんなノエルの発言は残っていませんが
ノエルの過去のインタビューのふしぶしから
そういう思考が見えてきます。

スッカリこのバンドの大ファンになったのは
ノエルだけではなく、弟のリアムも

『なんだよ、このボーカル格好良いけど
これなら俺のほうが上手く出来るぜ!』

実際、ノエルの方も
ストーン・ローゼズの「サリー・シナモン」
という曲を聴いて

『この曲いいな。だけど、これなら
俺のほうがもっと上手くやれるぜ!』

と思ったようですからね(笑)↓

ノエルとリアムの価値観の一致というか。
取り敢えず、初期のOasisはストーン・ローゼズ
のトレース作業みたいなモノから
スタートした様に思えます。

『0→1』 が出来る人達は本当にスゴイですが
なかなかそうはいきません。

例えば、YouTuber のヒカルさん
一番最初はゲーム実況からのスタートでしたが

顔出しして、自分を主体にした動画を
撮り始める時に

『はじめしゃちょーの真似をしよう』

と思ったそうです。
理由は、「出来そうだから」。

ただ、それだけではパクリなので
そこに『金を使う姿を積極的に見せていく』
という自分らしいカラーを付け足したのです。

【黒いはじめしゃちょー】がコンセプトだった
らしいです。
物事のはじまりなんて、みんな誰かの
真似なんですよね。

Oasisの始まりもまさにそうでした。

そこから本家ストーン・ローゼズは
もっとダンサブル寄りに偏っていきます。

その究極の曲がこの「Fools Gold」です↓

しかし、1991年にリアムと再会し、
Oasisの一員となったノエルは

『この路線ではダメだ。自分たちがやるなら
もっとロックを押し出さなければ。
ロックンロールでハシエンダ系のバンドみたいな
グルーヴを作るんだ』

そう思いました。それはほぼそういう発言を
過去のインタビューで見た事があります。
そして、

『メロディーだ。ストーン・ローゼズよりも
俺達は良いメロディーを持っている。
勝算はある』

こうしてOasisはコンセプトを固めていきました。

liveにてロックで、サイケで、ダンサブルで
メロディーの良い曲を演奏し続けたOasisは
1993年頃には音楽業界に注目され、

クリエイション・レコードのアラン・マッギーに
スカウトされます。

そして、1stアルバム『Definitely Maybe』が
作られる事になるのですが…

Oasisの完成にはもうひとつ大事な要素が
あります。
それは、リアム・ギャラガーの歌い方の完成です。

例えば、初期のOasisのデモを聴いてみて
ください↓

そうなんです!
初期のリアムはあの特徴的なネバっこい
歌い方じゃないんです。

インタビューで度々、他のメンバーから
『昔のリアムは天使みたいな声だった』
と言われる程、癖のない綺麗な声でした。

ある日の練習の際、たまたまリアムが
いつもよりネバっこい歌い方をした時
ノエルが気付いたのです。

『おい!その歌い方、最高じゃないか!
これからずっとそれで歌えよ!』

こうしてリアムのボーカルスタイルが
決定します。
あの『サンシャイ〜〜ンッッッ〜〜』みたいな
歌い方ですね(笑)

セックス・ピストルズのVo.ジョニー・ロットン
を彷彿(ほうふつ)とさせる様な。

この歌い方じゃないとOasisは売れてないと
思います。
ボーカルは歌が上手いだけではダメなのです。
それ以上に特徴的でなければならない。

この型が決まったOasisは完全体となり
無敵モードに突入します↓

↑ ノエルがイカつい(笑)
後ろに手を組んで歌うスタイルも
唯一無二だと思います。


ですがッ!

スタイルが決まり、liveで無双し始めたOasis
にも難関は立ちはだかります。

それは、アルバムを作る事です。
アルバムってliveなんかとはまた全然違って
録音芸術』なんですよね。

ですから、liveでやっている通りのモノを
録音すればいいというモノでもないし

そうしようと思っても出来ない場合もあります。

今年発売された『Definitely Maybe』の30周年記念盤
にはそうしたOasisの苦労が垣間見えるような
別Verのテイクがボーナストラックに
収録されています。

『Definitely Maybe』は計3回録り直しを
しています。

プロデューサーを2人クビにして
ようやくオーウェン・モリスという敏腕
プロデューサーに出逢って完成を見たのです。

最初に録った「Live Forever」を
聴いてみましょう↓

綺麗過ぎませんか?

1stが出た時、
『なんかギャンギャンうるさくない?』みたいな
批判も一部でありましたが
実はそれこそがOasisをOasisたらしめている
大切な要素でもあるんですよね。

少なくとも初期はそうです。

リアムの声、綺麗ですね。
まぁ、このVerが好きだという方も居ると
思いますが
完成版を聴いてみましょう↓

とにかく、すべての要素をラウドにしてます。
リアムの声もザラついた感じのイメージに
なる様な処理ですし
ダブルトラックも多用してます。

よく【ウォール・オブ・サウンド】と言われますが
(そもそもはフィル・スペクターという
プロデューサーが作った技)
ギターにしてもコレ、すごい沢山のトラックを
使ってます。

ノイズのパートとか、色んなフレーズを
それぞれ繊細に音量を調節しながらも
ガンガン入れてます。

ノエルのコーラスも所々で亡霊の様に
フワッーっと挿入されて来たりして

とにかく飽きさせない作りになってます。

まぁ、こういうラウドなロックを聴き慣れて
ない人にとっては『ガーガーピーピー
うるさいな!』となるかも知れませんが

この方法論をもってして、
Oasisのアルバム芸術は完成したのです。

〜〜〜

ハイ。
長くなってしまいましたが以上です。
ありがとうございます☺️🌟










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