歌劇『群盗』(ヴェルディ)

いらっしゃいませ。

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、ヴェルディ作曲の歌劇『群盗』です。(数字は19-165・名曲解説全集第19巻P165)

本日は祝日という事で、昼から開店なのですが、オペラが休日にあたって良かったです。ゆっくりお聞きください。


ジュゼッペ・ヴェルディ先生。1813年-1901年の、イタリアの作曲家です。87歳まで生きた、オペラ王。

同じ年の生まれは、かのワーグナー先生。

1813年、とんでもない年です。


早くから音楽に興味を覚え、8歳でスピネット(小型のチェンバロ)を買ってもらうと夢中で弾き、教会のオルガニストのバイストロッキに演奏を教わるようになると、代わりに教会でオルガンを弾くようにもなりました。

10歳で音楽学校での基礎の学びを得、町で作曲・演奏・式などの音楽活動を積んでいきました。

ミラノ音楽院の受験をするも不合格になり、ラヴィーニャという先生に個人指導を受ける事になります。この先生が、スカラ座で作曲や演奏で出入りをしていたため、ヴェルディ先生もたびたびスカラ座に出入りをするように。

んー、人生、何が吉なのかはわかりませんね。


そのころ、恩師の訃報に接し、地元ブッセートに戻ると恩師の職を引き継ぎ音楽監督の職に就きます。23歳で結婚もし、子どもを2人設けるも、早くに病死、妻も4年後には亡くなってしまうという、辛い経験をします。この間の1938年に、第1作目のオペラ『オベルト』が色々な事を乗り越えて初演され、好評を得る。この時、26歳くらいです。スゴイ。

『オベルト』の上演の翌年に妻が亡くなり、契約を破棄して作品提供を断ろうとしたものの拒否され、作品は上演されるも、酷評。さらに失意のどん底へ。。

そんな折、スカラ座の支配人にして、『オベルト』のスカラ座公演を働きかけ、2年間で3本の制作の契約を結んだ(その契約で酷評された作品を作ることに…)、「メレッリ」に街中で出会います(メレッリさんの意図、なんか感じますよね)。

その時メレッリが渡したのが、『ナブッコ』の台本。やる気のなかったヴェルディ先生が意欲を取り戻し、大成功を収める。劇中3幕の「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」は、イタリアの第2の国歌と言われるようになるほどの、圧倒的な大成功でした。この時、29歳くらいです。スゴイ。。


ヴェルディ先生の11作目(改作含めて28作品中の)のオペラが、本日の『群盗』。

1847年、33歳の年に完成し、初演されました。

この年、『マクベス』と『エルサレム』(十字軍のロンバルディア人の改作)も上演されています。『マクベス』と並行して書いたとのこと。スゴイ。。。


この作品は、初の国外から依頼のあった作品。依頼側のロンドンでは、初演は熱狂的な成功を収めた。ただ、本国イタリアではそうでもなかったらしく、イタリアでの上演期間を経たのち、90年近く上演されることはなかったようです。

元は、シラーの戯曲『群盗』。台本を担当したもは、友人で詩人のマッフェイでしたが、この方は台本作家ではなく、登場人物の性格付けや劇の構成などがどうやらまずかったようです。


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話のおおすじ

カルロ:主役。兄。人並過ぎれていましたが、家出し、悪い仲間の一団に入っていた。

フランチェスコ:弟。父と兄を追い落として領主の座を狙っている。

アマーリア:妻(カルロの)。カルロと婚姻関係にあり、老伯爵であるマッシミリアーノのそばにいる。

マッシミリアーノ:父。統治者。

主要な相関図はこんな感じです。

相関図


カルロは、懺悔と妻への思いから、許しを請う手紙を父に送っていたが、弟がそれを渡さず、代わりに、父からの手紙と偽り、勘当の手紙を仲間のロッシに渡す。カルロは絶望と怒りから、盗賊団の一員になり、首領になる。弟は家来のアルミーニオに、うその報告をさせる。家来は、父と妻に、兄が戦死したという事を伝え、遺品として剣を渡した。その剣には「自分(兄)の死後、妻は弟の妻になるように」との遺言が書かれており(ウソ)、父は気絶、妻は半狂乱に。


弟と妻の披露宴。家来は懺悔の思いから、カルロが生きている事をを妻に伝える。真実を知ると、弟からの求愛を退け、身を守る。一方カルロは、今までの所業と相続の首領という今の状況、愛する妻への自責の念で、深い悩みに沈んでいる。軍が包囲しているという報を聞くと、剣を取って、走り出す。


モオルに近い森で、逃げ延びてきた妻と、カルロは出会う。真実を改めて確認したが、自分が盗賊の首領である事は言えないでいる。カルロは、城塞の塔の近くで、家来のアルミーニオを見つけ、その塔の中に父が幽閉されている事を知り(気絶した父をそのまま棺の中に入れ幽閉したと)、復讐を誓う。


弟は、良心の呵責にさいなまれ、司祭に慰めを要求するが、司祭は父・兄殺しの大罪を詰問し、弟は怒る。そんな折、城が賊に攻撃されていると知り、弟は自らの死を覚悟する。父と兄は改めてそれぞれの罪を詫びながら抱擁していると、妻がやってきて、父が生きている事を知り驚く。妻はカルロに寄るも、冷たく拒絶する。カルロは自分のしてきた罪・盗賊の首領である事とそのために別れを必要があることを伝えるも、妻は別れるくらいならいっそのこと殺してくれと。カルロは元々自ら罪を自首するつもりだったので、妻の希望に沿い妻を殺し、一同呆然とする中で、急速に幕を下ろす。

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これと『マクベス』を並行して作っていたのだから、ヴェルディ先生、とんでもない人です。

上演回数、録音本数も多くはないみたいですが、一度は聞いて頂きたい作品ですね。


本日の音源は、ボニング指揮/ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団&合唱団の演奏を聴きながら紹介致しました。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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