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【アロハ】で田植え、をはじめました

note編集部からのお題で「#今年のベスト本」というのがありましたので便乗して書いてみます。ワタクシの令和5年のベスト本は、こちらです。

1年分の米さえ自作できれば、お金に頼らず生きられる!? 赴任先の長崎で思わず発見した、社会から半分だけ降りて生き延びる方法。前代未聞・抱腹絶倒のオルタナ農夫体験記。ラランド・ニシダ氏絶賛!

◎ラランド・ニシダ氏、大絶賛!!
「近藤さん! 長崎の田んぼから、
都会で窒息寸前の僕たちに
“生き方“を教えてください!」

◎辛酸なめ子氏による描き下ろし挿画!!
文庫化にあたり、辛酸なめ子氏による挿画を加えパワーアップ。近藤&辛酸のお馴染みコンビ(?)が再結成し、新たな一冊として生まれ変わる!

一年間に自分が食べる分の米さえ作れたら、会社に頼らず生きられる。どんなプレッシャーからも逃げられる――長崎県への思いがけない赴任生活と、そこで始めたド素人による稲作実験。一年後、果たして稲穂は頭を垂れるのか!? 世の中から半分だけ降りて生き延びるための前代未聞、抱腹絶倒の稲作体験記。

Amazon「本の説明」より引用

1.なにかに導かれた

こちらの本によって「よしオレもやってみっか」と。
なのでベスト本です。
だがしかし。
「やってみっか」はいいんだけど、同い年の著者と同様、彼は渋谷の元祖シティーボーイ、こちらは新宿の元祖シティーボーイで、情けないが自分一人では覚束ないもんだから、相棒のひのきP(RE/MAX Dynamiteではもえち社長)と、学生時代からの友人で、在住する東京・武蔵野市で家庭菜園を楽しんでいるI氏を半分だまして巻き込んで、令和5年の8月、群馬在住の親戚の伝手で、同県内の空き家と田畑で1日だけ真似事をしてみました。

もちろんあっという間にヘタレ。
だがしかし。
なにかが宿った。

1日だけ真似事をしてみました。

それから3ヶ月ほどたった令和5年の年末、地元の図書館でぶらぶらしながら“なにかを物色”してたとき、なんの気なしに手に取った池澤夏樹氏の『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』をパラッとめくったP.514。
ほんとここだけしかめくってないんだけど、そこに本書の紹介があった。
なんたる偶然。
だってさ、この本はけっこう分厚くて、ぜんぶで444冊もの書評が載っているなかでだよ、たまたた開いたページにそれが、だもんね。
びっくりしましたけど、なにかに導かれたのかなと。
出た、都合のいいときだけスピリチュアル!!

2.もともとの書名は『おいしい資本主義』

文庫本では『アロハで田植えをはじめました』だけど、もともとは『おいしい資本主義』という書名でした。
資本主義が題名に入っていたんです。
で、昨今、巷では「資本主義は行き詰まっている」的なムードもあるでしょ。いわく拡大成長が至上命題となる資本主義だと疲れてきた、みたいな。
カネ・カネ・カネの世の中。
かといって他にどうするか、あてもない。
なのでどうするか。
ここらへんがサイコーなんだけど、ばっくれる。

ばっくれる。
逃げる、と書きそうになったが、逃げるとは、ちょっと違うかもしらん。逃げるというと、相手に背中を向けて全速力、180度違う方向へ駆け出す、というイメージ。ばっくれるのは、そういう真剣さがない。ふっと目をそらす。あらぬ方向へ、鼻歌でも歌いながら、肩でリズムでも刻んで、風ん中、プラプラ歩いてどっか消えちまう。
問題を、問題でなくしてしまう。

『アロハで田植え、はじめました』P.4から引用

でね。
ことの発端は、記者でありライターである著者の危機感で、そのあたりのことを『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』から引用させていただきますと

記者にしてもライターにしても先行きは暗い。紙のメディアは絶滅寸前。きちんとした取材の裏付けのある記事はスルーされ、素人が発信するエセ情報の類が量の威力によって世間を席巻する。
好きな仕事だがいずれ筆では食べていけなくなる。ここで著者は食べるという言葉を文字通りに受け取って考える。自分が食べる分の米さえあれば、あとはなんとかなる。一年分、数十キロの米を自力で作れれば生きていけるはずだ。
それは生きる手段であって目的ではないから、余計な力は注がない。朝の家に一時間だけ田に出て働き、その後はライターの仕事のほうに専念する。これを彼はオルタナティブの農業と称する。ライターという本業に「しがみついてなおかつ飢え死にしないための、最低限の生活の糧、いわば兵糧米を、自分の手で稼ぐ。できれば最小限の時間と労力で」。
無理をしない。ムキにならない。自分のスタイルを保持する。だから田植えも普段のようにアロハでやって何が悪いか?

『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』P.514から引用

痛快です。
かっこいい。
なので、オレもやってみようと思った。

3.食えれば生きていける

『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』からの引用を続けますと

小規模な米作りには金がかからない。少し余計に作って近所の農家が作る野菜と交換したりすればほとんど金銭の授受のないままに暮らせる。しかし資本主義の原理は「大量生産・大量消費の過程で、資本家・企業に多大な剰余価値をもたらす」ことだから、自家消費分の米を自分で作るような奴は社会の敵ということになる。
資本主義は行き詰まっている。「もっと買え、もっと消費しろ、成長しろと、政府がいくら躍起になって声をかけ、日銀がカネをじゃぶじゃぶ市場に垂れ流しても、だれももう、無駄なモノなんか買おうとしていないじゃないか」って、そうだよな。

『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』P.516から引用

ところがですね、令和6年1月3日の読売新聞にこんな記事が。

「消費拡大 さらなる期待」
国内総生産(GDP)の半分以上を占める個人消費の回復に期待

本気で言ってるのかと(笑)。
主要30社(社長30人)に聞いての答えなので、まぁそういうふうに言うしかないだろうな、という立場もわかりますけど。

果たして、個人消費ってまだ伸びるのか。
我々おじさんおばさんシニア層が世の中心のいま、まだなにか我々には、欲しいものは、あるか。
っていうか、そもそも個人消費の“個人”が減っていくのが趨勢だしな。
となると、メンバー(消費者となる個人)を増やさないと。
なので少子化対策うんぬんという話になってきていて、往時の国家スローガン『産めよ増やせよ』ではないものの、ってか、はっきりそうはいえないため政府も『異次元の少子化対策』というスローガンを編み出したりして、どうにかこうにか、そう持って行きたく、必死の様相だ。

たとえば。
幼い子から「ママ、将来ぼくが大きくなったらなにになればいいかな?」と聞かれたら「消費者よ」と答えよう。
その子がさらに「ママ、消費者になるにはどうしたらいいの?」と聞かれたら「誰かに雇用されて立派な労働者になることよ」と答えらればカンペキだ。「いい労働者になるためには、世間体のいい大学を出て、そして雇ってくれる人に気に入られるように振る舞うのよ」も付け加えてほしい。
するとなかには賢い子もいて「ママ、どこで労働者になればいいの?」と突っ込んでくるかもしれない。
そうしたら「都会よ。都会はお金が命なのよ。都会はお金がないと生きていけないの。あ、もしかしたら命より大事かもしれないわ。なので死ぬ気になってお金をいっぱい集めるのよ。そしたらいっぱい消費するのよ。国家や資本家、企業が喜ぶわ。だからあなたも死ぬまでお金を心配しながら稼ぐのよ」と。
「やだなぼく。地方で暮らしたいな・・・」
「ダメよ、ダメダメ。」

ここでみなさんは「日本エレキテル連合」のほうを思い出すか、はたまたピンクレディーの『S.O.S』か。どちらでしょ。ワタクシはもちろんピンクレディー\(^o^)/

なぜダメかというと地域社会のなかでの贈与経済というか物々交換みたいな暮らしぶりになるから。貨幣を使わない、つまり消費しないんだからGNPに貢献しないでしょ。
上述のとおり「自家消費分の米を自分で作るような奴は社会の敵ということになる」だ。

そのあたりの憂いは『アロハで田植え、はじめました』にも記されている。

東京の近くの関東近県であろうと、どこでもいい。どこでも土地は余っている。休耕地を借りて、田んぼにしちゃえばいいんだ。
もしも、そんなオルタナ農夫が増えてくると、迷惑か? そんなはずはないだろう。
朝だけ農夫をする。あとは小説だろうと絵画だろうと音楽だろうと陶芸だろうと、なんでもいい、自分の好きな道を追求して、それでもなんとか食うだけは食っていける。物価も安くて、人もよく、暮らしやすい。となれば、若い女性だって、結婚し、子どもを産む気にもなるだろう。ブラック企業から解放された男だって、子育てや家事を手伝う時間はあるはずだ。「地方消滅」とやらも、解決されるはず。
八方丸く収まる。万々歳。大団円。
・・・グローバルな大資本以外は、ね。

『アロハで田植え、はじめました』P.235から引用

どうなるかというと、こうなる。『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』P.517から引用します。

この実例に呼応して同じことをする「朝だけ農夫」が数十万人になったら必ずグローバルな大資本がつぶしにくる。と彼は言う。自力で食えるとわかれば誰も労働者にも消費者にもならない。資本主義は崩壊する。そこまで読んでいるところがこの賢い農夫の強みである。

『いつだって読む前は目の前の一冊なのだ』P.517から引用

ということでみなさん、いっしょに、こっそりやりませんか〜\(^o^)/
やるなら今。
なので『みんなで半農半X『宅建ダイナマイトファーム』』

今回は以上です。
編集部のお題「#今年のベスト本」に便乗てみました。
最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。
ではまた。

#今年のベスト本

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宅建ダイナマイト合格スクールおーさわ校長note
いいえあなた。ほしいものはないのよ。でも涙拭く木綿のハンカチーフという名のチップください。あざーっす!!