介護の日に考える、介護の現状と課題
介護の日とは?
昨日、11月11日は「介護の日」でしたね。正直、私自身も忘れていたくらいでしたが、X(旧Twitter)を見て初めて思い出したほどです。この日は、厚生労働省が介護に関する理解と関心を深めることを目的として定めた日であり、全国でさまざまな介護に関する無料電話相談が行われました。
石川県での取り組み
例えば、石川県では「介護・認知症なんでも無料電話相談」が開催され、フリーダイヤルで専門家に直接相談ができるという取り組みが行われました。今年は特に物価の高騰の影響が大きく、介護にかかる生活費の負担増加についての悩みが多く寄せられたようです。円安による物価の上昇やエネルギーコストの増加、さらには税金の負担などが重なり、経済的な厳しさが増している現状があります。賃金はなかなか上がらず、年金生活の方々にとっては、増えない年金と増え続ける出費の間でやりくりする苦しい生活が続いているのです。
福岡県での無料相談
福岡県でも同様に無料電話相談が行われ、ここでも多くの経済的な負担に関する相談が寄せられました。特に、介護サービスの利用に対して不安を抱える方が多かったとのことです。介護保険の利用方法や自治体による支援、インフォーマルな支援についてのアドバイスも行われました。介護サービスの利用には自己負担が必要であり、多くの方が1割負担ですが、介護度が重くなるとサービスの利用頻度が増え、それに伴って自己負担額も膨らんでいきます。たとえば、月々の負担が3万円から4万円に達することもあり、これが生活に大きな負担となってきます。
一人暮らしの高齢者の現状
また、一人暮らしであれば居住費や食費など、介護サービス以外の生活費もかかります。私の経験からも、年金のみで生活するのは厳しい方が多く、特に一人暮らしの方々はさらに困難な状況に直面しています。出ていくお金が増え続ける中、年金が10万円から13万円程度でなんとか生活をやりくりしている方や、年金がほとんどなく、生活保護を受けなければならない状況の方もいます。さらに体調を崩して入院が必要になれば、その費用も重なり、貯金が底をついてしまうケースも少なくありません。
貯金の重要性とファイナンシャルプランニング
私はケアマネジャーとして、一人暮らしの高齢者には貯金額や今後の生活に必要な支出についても聞くことが多くなっています。お金がなければ、必要なサービスを利用することができないため、収入と支出、そして貯蓄をどのように管理するかという点は非常に重要です。実際、介護においてもファイナンシャルプランニングの視点が求められるようになっています。しかし、残念ながら、こうした視点を持つための教育やサポートは十分に整っていません。
特別養護老人ホームへの入所問題
また、入院後に自宅に戻れない場合、有料老人ホームなどへの入所を考えなければなりませんが、その費用も大きな課題です。最低でも月に15万円程度は必要で、医療的な支援が必要な場合にはさらに高額になります。この金額を支払えないために入所を諦めざるを得ない方も少なくありません。結果として、自宅に戻ることになるものの、病状が悪化して再度入院せざるを得ないケースもあります。このような状況において、病院のソーシャルワーカーが生活保護の申請を考慮しなければ生活ができない場合もありますが、これは誰にでも起こりうる問題です。
社会全体で取り組むべき課題
こうした現実を目の当たりにすると、介護は決して個人の問題だけではなく、社会全体で取り組むべき課題であると感じます。経済的な問題は、介護を受ける人だけでなく、支える家族や地域社会全体にも影響を及ぼします。だからこそ、地域や関係機関と連携しながら、どのように支援を提供していくかを日々考え、行動することが求められます。もちろん、そうした連携を取ること自体が難しいケースも増えてきていますが、それでも諦めずに取り組んでいく必要があると思います。
まとめ
介護の日に関連する取り組みや、私のケアマネジャーとしての経験を通じて、介護の現状と課題についてお話ししてきました。これからも介護現場の課題を発信し、皆さんの将来に向けた備えや、どうやって生活を支えていくかといった点について一緒に考えていければと思っています。介護は誰にでも関わる可能性がある問題です。今から備えることで、少しでも安心して暮らせる未来を築いていきましょう。
介護の日に考える、介護の現状と課題について、皆さんも自分自身の生活や周りの家族に置き換えて、一度考えてみていただけたら幸いです。私たち一人一人の行動が、社会全体の介護環境を良くする一歩につながると信じています。