スポーツ自転車専用コースを作ってみたい話
以前、Twitterでも触れたのですが、日本では自転車に関する法律が厳しいからこそ、タイのスカイレーンのようにスポーツ自転車でもストレスなく走ることができるスポーツ自転車専用コースがあったらいいなと思っています。
(以下は専門的知識もなく、情報収集していない状態で思っていることを綴ったものです。間違っている・知ったかぶり情報があったらごめんなさい。)
日本の公園は基本的に(たとえ子供用のものでも)自転車の乗り入れは禁止のところが多いです。サイクリングコースのある公園でもスポーツ自転車は持ち込めたり、持ち込めなかったりで、基本は備え付けのレンタル自転車(ママチャリタイプが多い)が主役です。また、都道府県・市町村に整備されているサイクリングロードはたくさんありますが、歩行者とのトラブルはよく聞きますし、一旦停止、車止めポール、突然のレーン変更、段差、幅員狭め、いきなりダート、突然終了など、後付け感が強い道が多い傾向があります。かといって公道の車道に出ても、自転車は法律的にも存在があまりリスペクトされていない印象で、普通にサイクリングをするにしてもお世辞にも快適とは言い難い状況です。
スイスにいた時の経験ですが、スイスは山道でも車道の端に自転車道が整備されているところが多く(ただし自転車道があるところは車道を走ると怒られます。またサイクリングロードはいきなり対向車線側になったり?が多いところもありますが。)、サイクリスト向けの道路標識もあります。また、湖があるところは、湖を一周できるように道路が作られているところが多いです。自分がチューリッヒの近くに住んでいた時によく行っていたGreifenseeは、車道でも1周できるのですが、車道と湖の間にサイクリングロードがあり、そこでも1周することができます。さすがにレーススピードで本格的なトレーニングまでは難しかったですが、その道はサイクリストだけでなく、ランナーやインラインスケーターなどもサイクリングロードを共有していて、スポーツに対するリスペクト、フィットネス文化の高さを感じました。(中には双子用のベビーカーを押しながらインラインスケートをしていた肝っ玉母さんもいました。)
土地の広さや建設の法律などもあるので比較してもあまり意味がないのですが、日本は例えば湖があってもノンストップでまるっと1周できる道が少ない気がします。車道で回れても路側帯が狭く自転車では危険だったり、当然信号で止まることもあります。それにサイクリングロードがあっても例によって狭かったり、歩道と交差部分の一旦停止や速度が出てると絶対に曲がれないコーナー、軽トラが通るだけのただの管理道路しかない場合など、やはりサイクリングロードというだけにサイクリングが限界の道ばかりです。道路が整備された当時はこれほどスポーツ自転車が普及すると思われていなかっただろうし、自転車に乗ることを目標に人が来て、それがビジネスにつながるなんて1mmも思われていなかった時代だったのでしょう。ずっと川に沿った道を作ろうとしなかったのにも理由はあるだろうし、湖を1周できるようにしなかったのにも理由があると思います。ただもし自分が道を作るとしたら管理をする上でも湖は1周できる道を作りたいと思います。スポーツとしての自転車は2020年になっても、まだ置かれた環境がそんなによいわけではありません。
ところで、日本でスポーツ自転車が走りやすいコースとしては、伊豆・修善寺にある日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットや広島中央森林公園、武蔵丘陵森林公園などがあります。自分の自転車も持ち込みできますし、何よりずっと止まらずに走り続けることができる。しかし場所とコースの難易度、一般自転車の走行があったりと、スポーツ自転車にとってはそれでもなかなか快適に乗ることを許されません。むしろ日本CSCなんて止まらなくていいのに自ら止まってしまうように作られてるようにすら感じます。(ディスっているわけではありません。僕はCSCが好きです。念のため。)
そこで、本格的なスポーツジムの様に少し専門性を高めて、気楽にみんなで集団走行ができるような、スポーツ自転車専用のコースがあったらいいなと常々考えています。どんな人にも安全で、快適で、集団で楽に走れるくらい広くてフラットなスポーツ自転車専用コース。まさにタイのスカイレーンのようなコース。そんなコースがあったら、今までスポーツ自転車に乗ったことのない人でも、なんか巷で盛り上がってて健康にいいみたいだからスポーツ自転車乗ってみようか、とか、集団走行してみんなと時間を共有してみたいな、とか、あの選手(チーム)と一緒に走れるなんて夢のよう、などと思う人が出てくるかもしれません。イタリアにいたときの走ったMassa-Carraraの海岸線なんて(そこは公道でビーチがあり、夏の観光地なのでおそらく冬の間だけの話ですが)まさにそんな感じで、プロ選手からリタイアしたおじいちゃんまでいろんな人が集団を作って往復していました。そんな場所が近くにあって、しかもクローズドだったとしたらそんなよいことは他にありません。そしてプロ選手でもクラブの人でも、初心者の方々に乗り方やマナーなどを教えることができる人がいれば、すぐに直接教わることができるので上達は早くなって無駄な事故なども減らすことができる、またはそんなサービスを用意してもいい。また、トレーニングや機材の情報交換も盛んになって、自転車やそれにまつわる部品や衣類、レースにトレーニング方法など、あらゆる需要を生み出すことができるかもしれません。
現実の世界ではありませんが、ZWIFTの世界が理想的で、信号も落車の危険もなく、好きなだけ走り続けることができる。そしていろいろな人と交流しながら走れる。安全で、障害物もなく、人と集えて走れる場所というのは、サイクリングにとって非常に大きなモチベーションになります。
例えばフラッとコースに行って、集団に入ったり離脱したりしながら気軽に50〜60kmくらい走る。集団が流れて走れれば60kmは1時間半くらいで走れるので、パッときてパッと帰れるから、忙しい人でも効率よく乗ることができます。逆にたくさん走りたい人は基本人と一緒に走りたい人が多いので(プロ選手でもそういう人は多い)、回遊魚の如く走り続けているので合流はいつでもWelcome。そんな需要と供給が一致した場所なんて素晴らしいと思いませんか。(この需要と供給は少々偏ってはいますが。。。)
例えば、フランスの地域の練習会に参加した時には、ボロボロの金属フレームに乗った人も元プロの選手も同じ練習会に気軽に参加していました。走れる選手はどんどん走ればいいし、走れない選手は途中で抜ければいいし。でもその練習会の基本のペースは平坦を平均40km/h前後で一定なんですよね。どんな人でも楽しめるというところがポイントです。
車の世界でも同じで、サーキットで思いっきり走れることを覚えれば、公道では無理な運転をしなくなります。自転車だって、クローズドな場所で思いっきり走ることができれば、公道での無理な運転が減って事故を減らすことにつながるのではないでしょうか。いまだに専用コースが少ないのがおかしいくらいです。新しく作るもの難しいと思うので、都市にあった空港跡地とか、もう使っていないテストコース・サーキットとか、工業団地の外側とか、うまく使って整備できないものでしょうかね。
スポーツ自転車やフィットネス文化が高まってきた今だからこそ、どこかにそんなスポーツ自転車専用のコースを作ってみたいです。
Cover picture Image by David Mark from Pixabay