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OOUIの前に考えたい日本語文法の特徴

🧸 はじめに

伝説の名著「OOUI本」に書かれているタスクや要件は、非常に整っている。(ユースケース、ユーザーストーリーと呼ぶこともあるが、ここでは、広く、要件/要求を記述するための文章のこととする)。特に、目的語を明確にするために「を」の使用が推奨されており、これがタスク記述の鮮明さを増す要因となっている。

「オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理」より

正直、プロダクト開発の中で、わかりにくい日本語を書いてしまうことも、実際にはある。
それでは、どうすれば、そのように、わかりやすく「タスク」を記述できるだろうか?
今回は、そのテーマについて考えるために、日本語文法の特徴や難しさを紹介する。


👉 「に」を使用したタスクの例

オブジェクトを示すための「に」

日本語: 「画像素材素早くアクセスできる」
英語: As a designer, User can quickly access images.
SVO: User (S) can quickly access (V) images (O).


一般的に、オブジェクト(目的語)は、「を」で表されることが多いが、「に」を用いることもある。「に」を用いることも悪くはないが、「を」を用いた方が、目的語を明確にできる場合が多い。「に」を用いることが、間違っているわけではない。書き直すと、以下のようになる。

日本語: 「ユーザーは、画像素材素早く確認できる(する)」
英語: User can quickly see images.
SVO: User (S) can quickly see (V) images (O).

改善例

「アクセスする」を「確認する」と言い換えた。このように書けば、CRUDについて、より正確に記述できる。
尚、「動詞」の性質(状態を表す動詞など)については、更なる研究を進めたい。

移動先を示すための「に」

先の例で、目的語を表すために利用された「に」は、移動先や目的地を示すためにも使われる。これは、先の例も関連し、モデリングの難しさを生む。「に」は、非常にややこしい。

日本語: 「デザイナーとして、お気に入りポスト追加したい。」
英語: As a designer, I want to add posts to favorites.
SVO: I (S) want add(V) posts (O) to favorites.

この例では、「に」は目的語を示すために、用いられてはいない。

👉 「お気に入りしたい。」 vs. 「ポストをお気に入りに追加したい。」

日本語: 「ポストをお気に入りに追加したい。」
英語: I want to add posts to favorites.
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日本語: 「ポストをお気に入りしたい。」
英語: I want to favorite posts.

「お気に入り」はこのように、書くこともできるだろう。一つ目の例では、オブジェクトが明確だ。
2つ目の日本語例は、オブジェクトの解釈の仕方は、いくつかあるだろう。「favorite posts」「add post to favorite」「change post’s favorite status」。このように、「お気に入りする」「〇〇を登録する」など、「名詞+する」で構成される動詞は、モデリングする際に、複数の解釈ができる。

日本語: 「ユーザーは、お気に入りしたい(できる)。」

また、このようなタスクの書き方も見受けられる。これを、「UI自動詞」と呼ぶ。このように書くべきではない。
日本語名詞には、「加算名詞」「不可算名詞」の概念がないことも、文章からオブジェクトを抽出する際の、複雑さを生んでいるだろう。(例: 発注、発注する、など)
この点についても、研究を深めたい。

👉 「は」を使用したタスクの例

日本語: 「学習者として、進捗状況視覚的に把握できるようにしたい」
英語: As a learner, I want to visually grasp my progress status.
SVO: I (S) want to grasp (V) my progress status (O) visually.

日本語: 「編集者として、記事の公開日時自由に設定できるようにしたい」
英語: As an editor, I want to freely set the publication date of articles.
SVO: I (S) want to set (V) the publication date of articles (O) freely.

英語では、オブジェクトとして明示されるものも、日本語文法においては、主語のように書いてしまうことも多い。(ここで言う、「は」
は、主語にも捉えられる。)オブジェクトを明確にするためには、「は」ではなく、「を」を用いるべきだ。

👉 SVO、SVOO問題

以下のようなケースも、モデリングをするときに悩ましい例だ。ただ、今回は、直接目的語、間接目的語の話は、割愛する。

日本語: 「ユーザーとして、私は友人に写真付きメッセージを送りたい」
英語: As a user, I want to send my friends photo messages.
SVOO: I (S) want to send (V) my friends (O1) photo messages (O2).

日本語: 「マーケターとして、私は顧客にパーソナライズされたオファーを提示したい」
英語: As a marketer, I want to present customers personalized offers.
SVOO: I (S) want to present (V) customers (O1) personalized offers (O2).

👉 目的語の欠如(オブジェクトの不在)

日本語文法は、目的語自体が欠落しても違和感が少ないことが多い。UIをデザインする際に、日本語で記載する際にもオブジェクトを明確に記述ことが大切だ。ハイコンテクストな言語である特性も、起因していると思う。

日本語: 「編集者として、直感的に操作できるようにしたい」
英語: I (S) want to operate (V) [object unclear] (O) intuitively.

日本語: 「ユーザーとして、簡単に探せるようにしたい」
英語: I (S) want to search (V) [object unclear] (O) easily.

これらは、オブジェクトが不明瞭になっている、最たる例だ。このようなタスクが書かれていることは、多々ある。

👉 まとめ

このように、日本語の文法特性を適切に理解し適用することで、UIデザインにおけるタスクをより明確に表現することができる。
日本語文法をより理解することは、効果的なUIデザインのために非常に重要だと思う。
(※このnoteの日本語がよくわからなかったら、教えてくださいw)


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