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民法の判例集あれこれ

滝川沙希です。
今回は、民法の判例集をいくつかご紹介します。

そうです。民法オタクへの道をお示しいたします。
最初にお断りしておきますが、これは樹海への入り口でもあります。
得意な方は、すぐに出口が分かるのでしょうけれども。
まとめだけをお読みになると、結論書いてます。

1 まずは有斐閣の判例百選?

民法判例百選Ⅰ
判例解説書の決定版。2017年の民法(債権法)改正に対応。近時の重要判例をカバーするなど,収載判例の見直しやアップデートも行った。総則・物権関連の重要判例を計101件収録。
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641115378

※改正民法に対応しているようですね。

ところで、私の立場は、次の通りでした。
①百選(有斐閣)はオワコンだからキライ。
②判例六法でいいでしょ。

上記①、②をくどく話しているのが、次のnoteです。

◆行政書士試験でやってしまう 非効率な判例の学習方法
https://note.com/takisaki/n/n180bc2ebfd9a

どうしても百選を使用したい人の学習方法https://note.com/takisaki/n/n6117818df2c1

行政書士試験 判例の勉強は六法で
https://note.com/takisaki/n/ne7490dafbca8

その考えには変わりありません。
行政書士試験では、判例百選での勉強はコスパが悪いと思います。
というか、判例の紹介が薄いくせに解説が長く、解説百選と名称変更したらよいのに。

2 百選でない他の判例集はどう?~基本判例集

民法基本判例集 第三版補訂版
ダットサン民法に対応した判例学習の決定版。新判例の追加、差換えにより最新化を図り、民法全編にわたる427件の重要判例を収録。
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b185566.html

2014年12月出版で、改正民法には対応していないようですね。
絶版のようですが、入手は可能なようです。

書きながら思い出しましたが、同級生の女子(当時)がこれを使っていました。彼女は今、弁護士をしています。

その子に私も見せてもらったことがあります。最初の権利濫用の判例のところがたしかカタカナで書かれていて、「古文かな?」と思った記憶があります。

しかし、一冊で家族法までカバーするという驚異的な効率性で、しかも非常に読みやすかった。余計な解説がありません。判例を少し加工してあるようです。
著者は鬼籍に入っており、改訂は望み薄です。もったいないですね。

3 『民法判例集』有斐閣

民法判例集全4冊
内田民法に対応させた体系です(債権総論と担保物権を一冊にする)。債権各論のみ、改正民法に対応(2020.4発行)ですが、これから順次改訂なのでしょうね。
私見としては、判例百選よりも引用ボリュームが多いので、良いかなと。ただ、4冊ですからね。約1.3諭吉。http://www.yuhikaku.co.jp/books/search

4 『伊藤真の判例シリーズ民法 <第2版>』弘文堂

一冊で家族法までカバーしています。そして、判例は厳選されて100!
第1審から裁判の流れを解説しており、学説も参照しています。
もとになる資料は、調査官が書いた本です。しかし、改正民法に対応していません。早く改正してもらいたいですが、おそらく無理でしょう。基になっている本の改正がたぶんないからです。https://www.koubundou.co.jp/book/b156059.html

民法の学習用としては使用できず、改正がない憲法、両訴訟法であればいけるということでしょう。商法、刑法については、改正部分を避ければ行けるのでしょうが、そこまでするのか・・・という疑問があります。
ただ、ゼミの資料作りとしては、種本として参照できるでしょうね。

5 『新・判例ハンドブック債権法1』日本評論社

『新』とあるように、もともと古い本が好評だったものをほこりを払って、出直したものです。

平成29年改正民法に対応。関連条文・論争点・事実・裁判所の見解・解説をすべて1頁に。改正法下の当該判例の位置づけを学習する。I巻(債権総論)には181件を収録。

とありますが、民法総則、物権法、親族相続は2015年くらいの発行で未対応。何をしているんだ?怠慢だろ?と編集者なら学者に檄を飛ばしたいです。おそらく、何人か原稿を落としている学者がいるんだろうと思います。

しかし、1ページにタイトル、事件名、問、事実、裁判所の見解、解説が詰め込まれています。私は他の科目ですが、愛用していました。1冊1400円くらいです。お勧めです。

6 『民法1総則 判例30! 』有斐閣

きれいな本でしたね。ざっと見ましたが、興味を引く点はありませんでした。判例数をおさえようとしているのはよくわかります。良いのかもしれません。悪いのかも知れません。コメントできるほど読んでおりません・・・。

まとめ

大学の講義で指定がないことを前提として考えますと、これから改訂されるであろう3か5ですかね。これから私が勉強するなら。

行政書士の試験対策、公務員(国家総合職含む)のため(だけ)には、これらは全く必要ありません。

購入する前に、慈善団体に寄付を検討なさっては?




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