判例付き六法を使うことが苦痛である方は、公務員試験六法という手もある
滝川沙希です。
これまでも何度か判例付き六法について紹介してきました。
代表的なものとして有斐閣『判例六法』、三省堂『模範小六法』に繰り返し言及をしてきました。
判例付き六法 むずくね?
判例付き六法を手にとっては見たものの、なじめない。文字が小さい。
眠くなる・・・。
「滝川は、俺とは別の世界に住んでいる変態じゃないのか?」
変態かどうかわかりませんが、そういう方には、各社が出版している行政書士試験六法を購入するしかありません。ただし、あまりお勧めしないことは、これまでも申し上げてきました。
講義中に開きづらいということ、すでに判例付き六法をお持ちの方にとっては、重複するので、結局、どちらをメインで使用するか軸がぶれてくる等の理由があります。どちらかを使わなくなったなど、余計な出費になるということもあります。
それでも分からないなら、購入するしかない?
試験に不合格になるよりは、購入して学習が進む方がマシなのは、あえて言うまでもありません。
購入してください。
しかし、仮に、あなたの理解力が問題だというのであれば、その前に検討するべき判例付き六法があります。
『公務員試験六法』があるじゃない?
それは、『公務員試験六法』(三省堂)です。毎年11月に発売されます。
この六法は、公務員対策の六法ですから、書店の行政書士試験のコーナーにはおいていないはずです。
この六法の恐ろしいところは、収録六法を公務員試験で出題される法律に限定しているところ、学者が(少なくとも表立っては)編集に加わっておらず参照条文の記載もないことなどあります。
そして、過去の公務員試験で出題された年などを明示している(「国Ⅱ-平成29」などのように)点もやる気を出させる工夫となっています。
他にも工夫はありますが、最高に恐ろしいのは、条文の後に判例知識をQ&A方式で紹介しているところです。
たとえば、最判昭和61年2月27日の国賠法に関する判例は、次のように記載されています。
「Q 警察官がパトカーで現行犯人を追跡中、第三者に損害を与えた場合、当該追跡行為は違法となるのか。」
「A 原則として違法性はない。」
そしてそのあと、「およそ警察官は、・・・」と判例を要約した文章が続くのです。悪魔的な分かりやすさです。難しい理論をかみ砕いて説明しているテキストが多い行政書士試験でも、これほどのものはあまりみかけません。
判例の読み方、出題の仕方は、もっと幅があるかもしれないので、このように単純化してしまうのは疑問という方もいて、そこは好みだろうとは思いますが。
何故、紹介してこなかったのか?本当は意地悪じゃないのか?
大変申し訳ないのですが、紹介しなかったのは、すべての条文が収録されていないからです。民法や会社法には(抄)とされており、条文の一部が割愛されています。会社法は1条が掲載されていません。
私は、大学の講義との連続性を重視しています。
あなたが受講する講義では、どのような講義がなされるかはわかりません。したがって予想もしない形で条文を引くようになったときに「あれ?」となってしまうと、せっかくの講義が台無しになることを恐れています。
講義を離れてしまえば、行政書士試験と公務員試験とは、出題科目と傾向が良く似ていますので、相性を含めこの六法で行くという方は、検討なさってみて下さい。
まとめ
公務員試験六法という選択もあることをお伝えしました。
できればサポートお願いします。法律学の勉強の苦痛から少しでも皆様が解放されるように活動しています! 新規六法の購入費用に充てていきます(笑)