どうしても分からない箇所の対応方法
滝川沙希です。
勉強していて理解に苦しむところ、ありませんか。
覚えられないではなく、「理解」ができない。いくつかの例を挙げて説明します。答えは、「もともと理解できるような代物ではない」です。
憲法9条
政治的にいろいろ議論のあるところですが、9条は、合憲説と違憲説に大別されます。当たり前ですが、ここをおさえてください。
合憲説の読みどころは、文言解釈をすると、違憲に決まっているわけですが、「現実の必要性」からどうやって合憲という結論を導くのか、説明方法をおさえて下さい。
違憲説も同じです。理由付けをおさえて下さい。自衛隊は1項で違憲なのか、2項で違憲なのかです。
泥沼は、「あらかじめ筋が通っているのであろう」と思い込んで学説を読むことです。そもそも日本語として相当におかしい文言が含まれています。
2項の「前項の目的を達するため」です。慌てて前項をみても「手段」はありこそすれ、目的に該当するような日本語は見当たりません。
文章がおかしいわけです。
それなのに、どうにか合理的に説明しようとしているので、読み手が混乱する訳です(法学には結構ある)。
なお、憲法学者でない学者の解説として、面白い本がありますので、ご紹介します。篠田英朗『ほんとうの憲法』ちくま新書 2017年
商法502条
こちらも訳が分かりません。憲法とは異なり、ここの日本語の意味は分かるのですが、どうして営業的商行為として、13の列挙があるのか。
しかも、限定列挙が通説だと聞けば、なおさら意味が分かりません。ビジネスって13の類型しかないの?501条とか503条とか、4条とかを使えば含まれるの?っていうわけです。
それから6号の「出版、印刷または撮影に関する行為」というのも「撮影」という言葉が唐突すぎて・・・。スタジオアリスの話ですか?
前回紹介した有斐閣アルマにありますが、通説を明確に示す近藤光男著『商法総則・商行為法』では、私にはまるで理解ができません(整理が行き届いていて、とても良い本で好きです)。
13の類型があるのは、商人という地位にある人がもともと特権的で、昔の商人が行っていたビジネスがそれだけだった・・・。ということなのです。
撮影というのも、大昔は、撮影は印刷の一種だという理解が一般的だったそうで、知りませんという話ですよね。
そういうわけで現在の私たちからすると、歴史的経緯で説明されることが多すぎて、分からないのも、まあ分かる(笑)ということなのです。
まとめ
分からない箇所は、皆様の頭が悪いとかじゃなく、そもそも矛盾を孕んでいる箇所なのかもしれませんよ。悩まないで。