天王寺の時計
天王寺の地下、近鉄百貨店前の天井に巨大な時計があることに気づいた。
前からあったんだろうか。文字は半分しかなくて、なんだか反対になっているような気もするけど、たぶん床に寝転んで見上げたら時計として読める。だけど、これを見て、やっべ、もうこんな時間!ってなる人はいないだろうな。
天王寺といえば、金の天女像がJRの改札前にそれこそ天井からぶら下がっていて、昔はその「天女下」で友だちや恋人と待ち合わせをした。
梅田はビッグマン前(紀伊國屋書店の前の大きなビジョンをビッグマンという)、難波ならロケット広場、天王寺なら天女下が大阪の有名待ち合わせ場所だったと思う。
ロケット広場はロケットも広場もハーゲンダッツもなくなった。天女像はちょっと移動して、改札横の券売機の上でまだぶら下がっている。天女下ではもう待ち合わせできなくなって、その場所は、もと天女下か、改札前になった。
ビッグマン前は健在、どころか企業イベントが頻繁に行われていて、合コンの待ち合わせというドキドキするのに、その華やかな企業ブースがふさわしいのかやや疑問だ。もう合コンってないのかな。
スマホがあり、LINEがあり、Googleマップがあるこの時代には、待ち合わせ場所というものはもう不要なのかもしれない。だけど、都市の風景には必要だ。記憶というものは愛着を生む。待ち合わせ場所なんて、記憶の風景そのものといっていい。
頼むから、JRさん、天女像をもとの位置に戻してあげてくれ。
そして、近鉄さん、あの時計はなんなん?
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