わたしのこと
遅くなってしまいましたが、ちょっとだけ作り手“わたし”についてのお話。
なかなか自分の事を話したり書いたりすることは苦手なのですが、どういう人が作ったレシピなんだろう、と興味を持ってくださったり、作る料理にもっと物語があったら滋味深いのではないだろうか、と考えて今回は書かせてもらいます。
会社勤めを5年で卒業して、飲食の世界に飛び込んだもののまあそれは苦労の連続で。帰れといわれたことも然り、泣きながら魚を捌き続けたこともありました。基本を覚えようと夜間の専門学校にも通いながら、とにかく必死に働き、学ぶ日々でした。
そこからパン屋、イタリアン、和食、ケータリングと様々な飲食店で修行をし、おべんとう屋“takiben”をオープンするに至りました。
もともとは製薬会社の営業マンでした。
仕事にやりがいもあったし生活にも不満はなかった。贅沢な話かもしれないのですが、それでも一生この仕事をしていくのかと思った時に、もちろん病気を治すための薬を扱う仕事は生きるためには不可欠で大事な仕事、だけどもっと人が生きていく中で根本的な“食べること”を仕事にしたいと思ったのです。
きっと生きていく上で人がごはんを“食べる”のに割く時間は多い。その“食べること”を暮らしの中の作業ではなくて、もっと幸せを感じられる一瞬にできたらなという思いを自分の手で形にしたかったのです。
というなんともシンプルな答えに行き着いたのです。
小さい頃からおばあちゃんが味噌をつけているのも見てきたし、おばちゃんの家の稲刈りも手伝ってきたし、お母さんが夜通し作るおせちも毎年食べてきた。食べることに関しては恵まれた環境でした。
だから私はご飯を“食べること”と大事に“作ること”が自然と生活の中で身についていたんだと今では思えます。
さて、おべんとう屋 "takiben"のことを少し。
料理の中でもやっぱりあの1つの箱を開けた瞬間に歓喜したり、いろんなおかずで楽しませられるのがお弁当で、私はそんなお弁当というものに惹かれて自分のお店をはじめるまでに至りました。
私がtakibenのおべんとうを作る中で大事にしていることは、
“物語のあるおべんとうにすること”と“新しい味を入れること”。
日常で食べてもらえる“おべんとう”にちょっとした特別感やふっとした幸せを詰め込みたいなと思いながら作り続けています。
〜ここからは2020年4月8日からのお話〜
コロナウイルスが猛威を振るう中、首都圏に緊急事態宣言が出されました。takibenの店舗販売もしばしのお休みにしました。
補償金もあるみたいだけれど、動けないもどかしさやこれからのことを考えると不安な気持ちや情けなさを片付けられないでいます。
できることを考えてみたのですが、やっぱり今の私には料理しかないし、料理を直接届けることにも不安が残る以上、みんながおうちで作れるようにレシピやごはんの記事を公開してみようと思い、このnoteをはじめてみました。
時が流れる限り、変わらなくてはいけないタイミングがあって、たまたま今がその時で、だから私も少しずつ“おべんとう”や“ごはん”の届け方を変えてみようと思っています。
そしてそれが、誰かの暮らしの中の幸せに繋がればいいなと。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
どうかお気をつけてお過ごし下さい。
taki