34・老人のシェアハウス
夫は、うちのことを「老人のシェアハウス」と呼んでる。
大正生まれの母と、私達夫婦で仲良く暮らしている。
90才を前にして、母が私達との同居を決めた。
母は「こんなに長生きするとは思わなかったけど 90才になって一人で生活するのはちょっと」と言って、スパッと決めたのだ。
なかなか決断力のある大正生まれである。
私は一人っ子なので、頼るのはうちしかないのだが、
そう決めてくれて助かったのは私だ。田舎に通うのも大変なのだ。
「親と同居」というと何やら構えてしまうが
「老人のシェアハウス」というだけで、肩の力が抜ける。
“自分のできることをやって、助け合って暮らしていこうじゃないの”
という感じになるのだ。
私は体調不良で、この寒い朝のゴミ出しも買い物も夫や母に任せてた。
体調がよくなっても、母がゴミ出しをしてくれるときもあるが、それは止めない。何でもできる89歳の仕事を奪うほうがマズイと気づいたからだ。
私もまた健康になって、家事ができる幸せをつくづく感じてるので、
その幸せを、母と分け合わなくてはと実感する。
母にとっては ラクするよりも 少しでも自分が家族のために出来ることをやるほうがいいとわかったので、あまり大事にし過ぎるのをやめた。
この老人のシェアハウスで、みんなが自由に好きなことをやって、楽しく生きていきたい。
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