15・計算高くない、いや そもそも計算ができない親子
あるとき、バスのなかで中学生の男の子たちが会話していた。
「あそこの高校へ行ったほうが、大学入試に有利だとおもうんだよね」
「そうだよね」
これを聞いて私は、
「ダメだ。うちの息子はどうやったってこんな会話なんて出来ない」と思った。こんな将来の計算などできないアタマなんだ。
そういえば、うちの夫も中学生のとき、テストは(勉強などせず)実力で受けるものだと信じていたので
友達の家に遊びに行ったら友達から「あす、期末テストだから遊べない」と言われ 死ぬほどびっくりしたという経歴の持ち主だ。
夫に言わせると テストは 先生が教えたことを生徒がどれだけ理解したかというのをみるためのものなので、勉強なんかしたら 先生が生徒の本当の実力をわからないじゃないか ということらしい。
アナタ バカなんじゃないの?
で、その息子もひけを取らず、こんなことしたら内申が・・
などとはつゆほども思わず遊びほうけていたんだから
親子そろって、計算高くない いや計算の出来ない 潔い青春だった。
中学3年の高校入試のころになって、タタオはあわてた。
都立の普通高校に行きたい息子に 先生が勧めるのは、工業高校(今とちがって男ばっかりの)か定時制高校などである。
もちろん内申が足りないのだ。
タタオは「内申点の足りない分は、入試の当日点で取る」と、
十二月になって(中3なのに)猛勉強を始めた。
息子は、【30日でやれる高校入試】などという問題集を買ってやり出した。
1冊終わると、「新しい問題集買ってくれ」と言うから
私もつい「答えを消しゴムで消してまたやればいいじゃん」と言ったら
「子供が勉強したいって言ってるのに、問題集も買ってくれないのか」と怒られた。ごもっとも、すみません。
そのかいあって、無事、都立高校合格。
私立に行かせる気などない私は、「すべり止め受けないんなら2万円あげる」と言って息子を釣り、一発勝負に臨ませた。
あとで、タタオ「すべり止め受かったらもうちょっと金がいるのに、2万円じゃ安すぎた」と言ってきた。
ちっ、気づいたか(今ごろ)。
でもそれ以上の金を出す気などハナからなかったけど。
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