59・ミセス・ハリス パリへ行く
「ミセス・ハリス パリへ行く」という映画が上映された。
それの元となった「ハリスおばさんパリへ行く」という本があって、私は今も持っている。すぐ本を処分する私にとってはめずらしいが、それだけ気に入ってたということだ。
映画の予告編を見たが、本を読んだ当時 ハリスおばさんは年取った人という印象だったが、今は私より若い年齢である。
美しいドレスへの憧れはいくつになっても夢なんだなぁ。
私も、昔、ピンクハウスだったかインゲボルグだったか 金子功の会社の服を見て、すごく憧れたことがあった。
あのころは、ピンクハウスも今のようなロリータ一辺倒ではなく、甘すぎない感じだったように覚えている。
その服は、グリーンで袖のふくらんだワンピースで(赤毛のアンのパススリーブを思い起こさせる)、何ともステキだった。
グリーンの服など着た事もないが、それはすごくいい色だった。
値段が高いのと着ていく場所がないので 私には買うという選択肢はなかった。
しかし、ミセス・ハリスはそれを実現したのだ。本では確か 宝くじが少額当たったのだが 家政婦としてコツコツ貯めたお金を足してもまだディオールのドレスには届かない。さらにコツコツ働き、倹約し、工夫し、何とかお金を貯めてパリへ乗り込むのだ、ディオールのドレス(それもオートクチュール)を買いに。
私の場合、あるとき知り合いの人が、そのグリーンのドレスとそっくりなものを着ていた。何かお祝いの席に来ていったそうだ。
都会の人はこういうドレスを着るということを考えるんだと感心したが、
うらやましいとは思わなかった。着て行く機会もないし、自分がそれを着ても似合わないという冷静な判断ができる私だった。
でも、きれいなドレスへの憧れは、不滅である。