62・R・Stonesの「黒くぬれ」~高校やめて男になる
「いいかげんにしろ」の黒つながりの最後は、R・Stonesの「paint it black」で。
息子が高校生の頃、うちの夫は癌になった。
私も、自営業の手伝い 夫の看病その他で忙しい。
子供のことなんて構ってられないし、逆になんでもっと手伝ってくれないのと不満だった。
そういうとき、息子も娘も学校でトラブルが降りかかってきた。
子供だって心細かったんだと私も反省し、子供に目を向けようとした。
だが、息子は出席日数が足りなくなって留年の危機。
あるとき、息子が父親に言った。
「オレ、高校辞めたいんだけど」
夫「わかった。けど、お前には、食費、水道代といろいろかかってる。毎月、〇万入れてくれ」
えっ? それだけ?
息子に「高校くらいは出てくれ」など一言も言わず
息子の「高校辞める」に一発 OKの父親。
あっさり中退を認める夫にあきれ、それなら私が「お願いだから高校くらい出てちょうだい」などと言うのもムダと悟った。
バックの親分がOKなら、子分(?)の私になど許可を求めるわけもない。
息子はさっそく、翌日からトビの仕事についた。
私も朝いっさい起こすのを止めた。
どーせ続きゃしない。はやく高校に戻ってくれと思いながら。
ところが、毎朝 しっかり自分で起きてくる。
朝4時から仕事のときも(とてもじゃないが、お付き合いできない私が、タイマーでご飯だけ炊けてるようにしておくと)自分で起きて、缶詰かなんかでご飯食べて、仕事に行く。
徹夜で遊んだときは、家で寝たら最後 絶対起きられないので そのまま現場に行って、みんなが来るまで寝てる。
ガテン系の仕事は、みるみる筋肉が付いてくる。
父親「お前、すごいね。ジムにもいかないで(金も使わず)いい体が出来て」と褒める。
フツーなら、息子が高校やめて大変な仕事してなどと嘆くところだと思うが、『ジムにも行かずいい体作り』とくりゃ笑うしかない。
物事は明るく考えるに限るね。しかし、どうやったらその発想が?
実は私は、近所の神社をはしごして「どうか、息子が高校やめませんように」とお願いし、一人ジタバタと悩んでいたのだが、
友達「息子が高校やめるっていったとき、すごく悩んだ」
私「私だって、三日(よく)眠れなかったよ」
友達「えっ?たったの三日? 私は半年悩んだんだけど」
というように、息子がしっかりと働き出したため、また夫がまったく問題にもしないため どうでもよくなってしまった。
これ以来、朝は起こさなくても自分で起きてくる男になったので、私は、すごくラク。
息子は、すぐ仕事辞めるどころか、日に日にたくましくなっていくばかりである。
高校を辞めたのもタタオのためにはよかったのかもと思えてきたころ、
タタオいわく
「オレは高校やめて男になった」
なるほど。
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