触っちゃダメだよ
女の子には敵がいる。
生理と上下するホルモンバランス。同じ女の子の嫉妬。男の人より顕著なルッキズム。下心を持って近づいてくる男の人、ナンパ、痴漢。
わたしは痴漢に遭ったことがある。
恐らく九割九分の女の子が痴漢に遭ったことがある。これは本当に誇張でなく、電車通学とかを経験していた上で痴漢に遭ったことがない同年代の女の子をわたしは知らない。
初めて痴漢にあったのは高校1年生の5月くらい。結構混んだ電車で、ゴツゴツした指でお尻を触られた。あまり思い出したくないけど、あの気持ち悪い触り方がとにかく怖かった。何が起こったか分からなかった。ドアが開いて焦って降りた。そこからいつも通り乗り換えて登校したけど、教室に入れなくて保健室に行った。熱を測ったところで、「電車で痴漢に遭っちゃって」と言い終わらないうちに泣き出した。一時間目は保健室のベッドで泣いていた。
別のある日に遭遇した出来事は、ちょっと変わっていた。もう学校には慣れた初夏くらいだったかな?時期ははっきりとは覚えてない。最寄り駅から家に帰る途中で、おじいさんに近いおじさんに「ちょっとすみません」と話しかけられた。勧誘みたいな雰囲気じゃなかったし道でも尋ねられたのかと思って振り向いた。
「あー、お姉さん、耳が綺麗だねえ」
は?耳?
「ちょっと僕とお母さんに内緒で赤ちゃん作らない?」
速攻で無視して歩いた。早歩きだ。
この話を、わりと長いこと笑い話として扱っていた。こんな変なおじさんがいるんだねって。
でもわたしは思ってたより傷付いていた。自分の耳が人より大きくて特徴的であることを知っていたから、それが嫌で仕方なくなった。おじさんは耳なんてどうでも良くて、適当に褒めようとしただけだと分かっていても自分の耳が嫌いにならざるをえなかった。今ではそれは消化して耳はチャームポイントと思えているが、あの男は今でも許せない。
わたしは正直エッチなことは大好きである。なんか楽しいし、ふたり以外の人には言えないことってドキドキする。更に気持ちよければ大満足。ひとりでいるよりずっと心地よくて中毒性がある。わたしは性欲が強い部類の女の子だ。
それでも痴漢がこれだけ怖い。わたしがエッチなことが好きなのと痴漢が気持ち悪いのとが全く違う話であることを理解してもらうのってもしかして難しいのかもしれないけど、とにかく違う。ほかの女の子はどう考えているか分からないけど、痴漢や気持ちの悪いナンパが毎日世の中で起こっているのは事実で、ほぼ全員の女の子が痴漢という存在を憎んで生きている。
もしこの文章を男の人が読んでるなら、このことをちゃんと知ってほしい。女の子が男の人の下心を意識するのは被害妄想なんかじゃなくて、また嫌な目に遭わないために警戒しているだけなんです。
もし貴方の傍で女の子が笑ってくれてるなら(友達でも恋人でも)、警戒しないで安心して傍にいれる存在であると認めてくれている証拠だからそれを知ってほしい。それってすごく尊いことだと思う。絶対、嫌なことしたり嫌なこと言ったりして裏切らないであげてほしい。
恋人とエッチなことする時に自分の身体に触ることを許可してくれているのは、男女関係なくありがたいとか嬉しいことだとか認識しておきたいよね。あたりまえだけど、基本的に人の身体の大事な部分って勝手に触っちゃダメなので。