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ラストベイビー

「けんのこきゅう、にのかた」
と、テキトーな鬼滅知識で、100均のふにゃふにゃ刀を振り回す長男。
その横で突如猫ふんじゃったを爆速で弾き始める長女。
「そうちゃ〜〜ん!ほっぺがぷにぷにでかわいいねぇ〜〜!」
と次男のほっぺをツンツンしたりつまんだりと、少しうざ〜い絡みをする長男。
「ちょっと!そうちゃんいやがっとるやろ!ね〜そうちゃん、ねぇね好きだもんね〜」
と、長男の悪事は見逃さない長女。

それを
「なに?なんなの?」
といった顔でわけもわからずにこっとしてみたり、眉間にシワを寄せたりしながら見守る次男。

君はたくましく育つね。

今回は我が家の3人目、現在3ヶ月を迎えた次男が生まれてくるまでのお話です。

保育士として働きながら3人目を妊娠。
産休に入る年度からは、クラス担任からは外してもらい、副担任として補佐的な仕事を中心にしていました。

「ねぇ、あかちゃんおるんでしょ?」
「せんせい、けっこんしとん?どんなひとと?」
「わたしのしってるひと??」
などと、グイグイ聞いてくるおませな年長さん。

「せんせいがおいかけて〜!!」
と容赦なく職務の全うを求めてくる、追いかけられたい盛りのパワフル2歳児。

産休が近づくと、この子たちと過ごせるのもあと少しか…と少しおセンチになったりしながら、周りの先生方のサポートもあり、何事もなく産休に入らせてもらいました。

そして、上の子二人との少しゆったりした日々は嵐のように一瞬で過ぎ去り、あっという間に入院の日。

子どもたちと、病院の駐車場でしばしのお別れをします。
「行ってくるね。仲良くするんよ。」
と言うと、長女は、
「ぎゅーさせて。」
…かわいいじゃねぇか。
長男はおそらくよく分かっておらず、
「ばいばーい。」
と、車内で流れていた教育テレビを横目で見ながら何ともテキトー。

コロナによる面会制限は部分的に解除されましたが、1日二人まで、小学生以上は不可など、まだまだ制約が多かったので、今回は家族との面会は無し。
…ちょっと寂しいな、などと思ったりもしましたが、出産してしまえば術後の痛み、そして夜間頻回授乳との戦いが開幕。
寂しいなどと感じている余裕はありません。

3回目の帝王切開は、さすがに勝手知ったる、という感じでそこまで緊張感は無く、手術前日には着実にOS1を2.5本飲みきり(うっぷ)、血栓予防の着圧ソックスも自分で履きこなします。

そしてオペ室へ、いざ参らん。
手術開始から30分もしないうちに、赤ちゃんとのご対面です。おぎゃー!
横たわるわたしの顔の近くに、看護師さんが赤ちゃんを連れてきてくれます。

「はぁぁ、かわいい。。。」
無事に生まれてきてくれたことへの安堵から、涙がツーッとつたいます。

手術も無事に終わると、さっそく病室に赤ちゃんを連れてきてくれました。
おさるさんのような、宇宙人のような、新生児独特の表情、動き。
赤ちゃんってこんなに細かったっけ?とビクビクしながら初めての抱っこ。
はぐはぐと口でおっぱいを探し、上手に吸い始める我が子、毎度のことながら、人間の本能ってすごいなと思わされます。

夜には必ず、子どもたちとテレビ電話。
普段は母+子どもたちで寝るのですが、母不在のためパパと一緒に寝ます。
電話先では、
「おしりアターック!ぶしゅ!」
「ねぇ、パパこちょこちょしてぇ」
「ひっさつ、ぜっとわざ!ぅおおりゃああああ!」
「こちょこちょしてみーや、、、きゃぁぁぁあああああ(喜びの叫び)」
と、何だか修学旅行の夜のようなテンションではしゃぐ子どもたち。
よしよし、大丈夫そうだ、とほっとします。(パパ頑張れ)

しかし数日後、パパは仕事再開のため、子どもたちを祖父母に預かってもらったその日の夜。
いつも通りテレビ電話をつなぐと、長女が真っ赤に目を腫らしていました。

「……ままがいい。おうち帰りたい。」

祖父母のことは普段から大好きで、毎週末には、
「ばぁばん家、今日はお泊まりしていい??」
と聞いてくる娘です。

ママはいない、ついにはパパまで…。
我慢していた寂しさがこみ上げて来たようです。

ままも早く会いたいよ。
早く元気にならなければ、と翌日からのトイレまでの歩行訓練にも力が入ります。(お腹に響かないように、すり足差し足忍び足。ふんふんと鼻で息をならしながら必死な私。こんな姿誰にも見せられないわ)

そんなこんなして10日間の入院生活も無事終了。
長男を連れて、祖父母の元へ、上二人を迎えに行きます。

「おかえり~~!」
とハグで迎えてくれた子どもたち。

…ん?なんかでかくなってない??
10日間、小さな赤子だけを見続けた私は、上二人がとっても大きく、お姉さんお兄さんになったように見えました。

それから早3ヶ月。
先日、保健師さんの赤ちゃん訪問がありました。
きょうだい3人とも母乳で育てているのですが、3人ではじめて、
「体重の増加が緩やかになっています。多分、よく動いているからですね。おっぱいの回数増やしましょうか?」
と言われました。
さすが、お腹の中で3回転した男、運動量が違います。

これから次男がどんな風に育っていくのか、乞うご期待。
3回目の帝王切開だったため、次男が最後の赤ちゃんです。
もう経験することの出来ない、次男とのはじめてを、一つ一つ大切に過ごしていきたいと感じます。


とにかくじぃじが好きな次男。気がつけばじぃじの方へじりじりと寄っていきます。

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