見出し画像

明日死んでもいい、 そう思えるほどに私を生きたくて。 | 1周年によせて

1年前の今日、ノマディック・アルティザンのウェブサイトをオープンした。

あれから1年。

作るのが楽しくて、食事も寝るのも忘れて制作に没頭した日々と、

全然作れなくて、無理やりミシンの前に座ってはため息をついた日々を、
ただただ繰り返しただけの記憶しかない。

土日も関係なく、予定さえなければひたすら作っていた。
しなければいけないからではなく、
今日は何しようかなと考えて、
作ること以外にやりたいことも特になかった。

1年前の今日、もしも誰も買ってくれなかったらどうしようって、
心臓が痛かったのをよく覚えてる。
まじでアフリカに身寄りもなく一人でのこのこやってきて、
何してるんだろうって、
いい歳して馬鹿だよなって、
何度も思った。

オープンして最初はずっと友達ばかり買ってくれて、そうだよね、
みんな優しいから買ってくれるんだなありがたいなって、
でもどうしよう、どうしたら知らない人にも買ってもらえるんだろうって、
また心臓が痛かった。
ハンドメイド販売を始めるということは、
大きな海に石をひとつ落とすようなもの、
と誰かが言っていたのを思い出して、
なんてちっぽけだろうって、泣けてきた。

資金も減るばかりで、もう日本に帰ろうかと考え始めていた矢先、
ナイロビで人気のフェアが出展者を募集しているのを見つけたのは、去年の6月、オープンから2ヶ月たたないくらいのこと。
ダメ元で申し込んだら選んで貰えた。
これはもしかしたら、もう少し頑張ってみなさいの神様の合図かもしれない、
そう思った。
それでも目の前で自分の作品が素通りされるのを想像すると怖くて、最後まで躊躇した。
どうせ誰も買ってくれないだろう、
でもたった1人だけでも、見知らぬ人が買ってくれたら、それはこの上なく素敵なことだ、と思って、
勇気を出して初めてのポップアップをした。

お金を貰い忘れるくらいの人だかりができた。
たくさんの人が一気に手にとっては、
あなた日本人なの?、
これ全部ひとりでやってるの?、
こんなの今まで見たことない、
と声をかけてくれて、
目の前で来る人来る人が、
次から次へとお金を差し出した。

それでもまぐれだったよねって思った。
たまたま今回は運がよかっただけだから、
きっと次は全然売れないと思ってまたやってみようと思って、またやってみたら、
そしたらまた飛ぶように売れた。
何で買ってくれるんだろう、
本当に買いたいんですか?
って何度も聞きたくなった。

知らない間に世界の色んな国の、全く見知らぬ人が買ってくれて、
気づけば日本でも知らない人からの注文ばかりくるようになった。

それでも買ってもらった後はいつも不安で。
気に入って貰えなかったんじゃないかって。

でもわざわざ、親切に届きました、すごく気に入ってますって、連絡をくれる人たちがいた。
忘れた頃にあれ気に入ったから違う布でまた作れますか、と連絡がきたりした。
贈り物に買ってくれて、プレゼントした人が喜んでくれたの、と写真が来たりもした。
世界中から。

うまく伝えられていないと思うけど、
それがどれだけ私を救ってくれたのか、
きっと、あなたは、知る由もない。

自分の名前の元で、自分の責任において制作したものに、
大事なお金を費やして貰えるということで、
文字通り、全てが報われた。

6年前に周りの反対を押し切ってユニバーサルを辞めて、
明日死んでもいい、
そう思えるほどに私を生きたくて、
貯金を使い果たして5年もあてもなく世界を旅をして、
私は人生を台無しにしたんだろうかと自問自答しながら、
ようやく出会えたやりたいことを、
こうして認めて貰えたことで、
あの6年前の決断と、今日までの全てが報われた。
無意味にしか思えずに、それでも打ち続けた点と点が全て繋がって、線になった。

お金というのはとてもやっかいで、
未だにその価値がなんなのかよくわからずに生きてるけど、
ただひとつ言えるのは、
大切なお金を費やし私の作品を買ってくれた人たちなしには、
私は今日の私であり得なかった。

購入してくれた1人1人のお陰で、
私は今日、例え明日死ぬのだとしても、
私は私を生きていると言い切ることができる。

ありがとう。
私の作品を見つけてわざわざ買ってくれたあなたへ。
応援してくれている全ての人へ。
心からのありがとうを伝えたいです。

2020年は既に不運が漂いまくっているけれど、
こうして好きなことをコツコツとやれる私は、きっと物凄い幸せ者だと思ってる。

ああほら、今日もケニアの空はとびきりに青い。
それはとても、泣けてくるほどに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?