【詩のようなもの】おかえり

帰宅途中のこんだ電車は
自分の居場所すらみつけられない

窓の向こうは
もう真っ暗
効きすぎる暖房
ひとびとの放つ熱気
こころに蓋をする理由には
充分すぎるほどしんどいね

耳にイヤホンつっこんで
スマホの画面、注視して
逃げるといいよ
それがまともだ

だけどふと目をあげたら
人込みのひとりひとりに
帰るべき場所があって

きょうあったちょっと嫌なことと
帰ってからのささやかな楽しみを胸に
家路についてることを思い出す

誰かが待っているひともいるだろう
暗い部屋に灯りをともすひともいるだろう

未来の不安におびえるひとも
過去の痛みに苦しむひとも

おかえり
おかえり
みんな、おかえり
きょうも一日おつかれさま

そんなことに想いを馳せたら
またイヤホンつっこんで
スマホの画面、注視して

でないとやり切れやしないのさ
こころを守れやしないのさ

お読みいただき、ありがとうございました！