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『ザ・プロフェッショナル』(39)

『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行

<目次>

はじめに 予言は自己実現する

第1章「プロフェッショナリズム」の定義

第2章 先見する力

第3章 構想する力

第4章 議論する力

第5章 矛盾に適応する力


第4章 議論する力

大前研一氏は、かつて教壇に立った経験から、ビジネススクールにおける日本人の生徒が欠けているものを指摘しています。

それは、質問力と発言力だと。

米国のビジネススクールでは、「クラス討議で評価される現状」では黙っていたり、他の人の意見に迎合する態度は評価が低いということです。

「沈黙は金」ではありません。

意見を述べることは不可欠なことですが、ロジカル・シンキングとロジカル・コミュニケーションがベースになるということです。



特許紛争に至っては、アメリカの「先発明主義」に、日本のみならず他の先進国が採用する「先願主義」はもろくも敗れ去りました

かつて日本の経済力が世界最強といわれた時期に、アメリカは鉄鋼、半導体、テレビ、自動車など日本の主力産業において、ある時は日米間の貿易不均衡を、ある時はCOCOMを盾に、またある時は反トラスト法に照らして、激しくジャパン・バッシングを展開しました。

また特許紛争に至っては、アメリカの「先発明主義」に、日本のみならず他の先進国が採用する「先願主義」はもろくも敗れ去りました

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 1 〈691〉      





日本政府はみずから強い産業を制し、国際競争力に乏しい産業を保護することで、その意に反して日本の国力を弱体化させてしまいました

当時からわかっていたことですが、日本政府はみずから強い産業を制し、国際競争力に乏しい産業を保護することで、その意に反して日本の国力を弱体化させてしまいました

これはロジカル・シンキングとロジカル・コミュニケーションの欠如が原因です。パワー・バランスにおいて不利なことははなから承知のはずです。

これを何とかするのが政府の役割なのに、そもそも議論する力、つまりは考えうる選択肢から論理的に最善解を導き出し、そのための戦術と戦略を立案する能力に欠けていたため、アメリカへの追従と国民への一方的な言い訳という、最も安易な道に流れてしまったのです。

 『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 2 〈692〉            
            
                      
           


アメリカのビジネススクールなどでは、日本人の生徒が入ると、クラス全体のレベルが落ちます
これは知識が欠けているからではありません。彼らの決定的弱点は質問力、発言力です

アメリカのビジネススクールなどでは、日本人の生徒が入ると、クラス全体のレベルが落ちます。私自身も教壇に立って実感したのですが、日本人の知力の平均値は明らかに低いようです。

これは知識が欠けているからではありません。彼らの決定的弱点は質問力、発言力です

成績のかなりの部分がクラス討議で評価される現状では、これは如何ともしがたい問題です。

かつて盛田昭夫氏が『メイド・イン・ジャパン』(朝日新聞社)のなかで指摘したとおり、自分の意見や主張を公の席で提示したり、ほかの人が発した意見を瞬時に理解したり、それについて議論を展開することが、日本人は非常に不得手です。

ビジネススクールのクラスのレベルが下がるのも、日本人の生徒の数だけ議論への真の参加者が少なくなるからです。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 3 〈693〉            



下記のウェブサイトの内容は抜粋ですが、かなり内容が濃いですよ。





地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録





大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18

       


➳ 編集後記

『ザ・プロフェッショナル』という本について

『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。

一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。

そのあたりにも着目してご覧ください。

🔴「特許紛争に至っては、アメリカの『先発明主義』に、日本のみならず他の先進国が採用する『先願主義』はもろくも敗れ去りました」

米国が「先発明主義」(先に発明した者に特許権を与える制度 Wikipedia)を採用しているのは、私見ですが、発明王トーマス・エジソンが米国人であったことが影響していると考えています。

有名なトーマス・エジソンなどの発明家を生んだアメリカでは「先に発明した人」を尊重する風潮が強く、19世紀に採用した先発明主義を現在も続けている唯一の先進国である。

米が「先願主義」に転向か? 2007.06.05
 創英国際特許法律事務所



しかし、Wikipedia よれば下記のようになっています。

現在ではほとんどの国で、先願主義が採用されている。最近まで先発明主義が残っていた米国においても2006年、国際会議において先願主義の採用に同意し、米国特許法改正が2012年から段階的に開始され、2013年3月16日には移行が行われた。

先願主義 Wikipedia    
 

「先願主義」(最初に特許出願を行った者に特許権を与える制度 Wikipedia)はほとんどの国で採用されています。

『ザ・プロフェッショナル』が出版されたのは、2005年9月29日 第1刷発行です。実際にはその日付以前に原稿は書かれていたわけです。

最近まで先発明主義が残っていた米国においても2006年、国際会議において先願主義の採用に同意し、米国特許法改正が2012年から段階的に開始され、2013年3月16日には移行が行われた」(先願主義 Wikipedia
という経緯があります。

日米貿易摩擦は1960年代に顕在化していた言われています。

貿易摩擦自体は1960年代には顕在化していたと言われ、繊維製品から鉄鋼や電化製品、自動車、半導体など、広範囲にわたって日本からアメリカへの輸出拡大が続きました。

貿易戦争と特許 ― アメリカVS日本、そして中国
ロジック・マイスター
2018-11-20 14:21


歴史に「もし」があれば(実際にはありませんが…)、日本は米国に特許で勝利していたかもしれません。その後の世界は変わっていたかもしれないのです。

⭐出典元





大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。





✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対して警鐘を鳴らしています。

プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。

世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。

道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェッショナルです。

『ザ・プロフェッショナル』                         

大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。

次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。

下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』

本書は2005年3月に米国で出版された The Next Global Stage ----- Challenges and Opportunities in Our Borderless World (Wharton School Publishingより刊行) の日本語への翻訳である。発売以来ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、中国、韓国、トルコ、アラビア、インドネシア、オランダなど世界の主要言語に訳されており、日本語版が最後となった。

大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ  吉良直人[訳]         
日本版へのまえがき p.v    

という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。

大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。

奥付を見ますと、次のようになっています。

2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。




世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。

英国エコノミスト誌現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、 ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年のグールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。
2005年の<Thinkers50>でも、アジア人として唯一、 トップに名を連ねている。

大前研一 ニュースの視点Blog  大前研一について               


              



私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グールー(思想的指導者)と仰いでいるのです



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。




🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

⭐お知らせ⭐

前回の『ザ・プロフェッショナル』(28)までの元記事は7年前(2015.06.23)まではFC2ブログに投稿していました。
ところが、以前の編集後記で書きましたように、2015年6月に妻が体調不良になり同年8月にこの世を去りました。
そのため、深い悲しみが全身を覆い、心身ともに疲弊し、ブログを更新することができなくなりました。
というわけで、『ザ・プロフェッショナル』(29)以降の投稿は書き下ろしになります。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。



⭐今までご紹介してきた書籍です。
















⭐私のマガジン (2022.11.22現在)






















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